突然だが、当編集部にはポールダンスに熱狂する人間が2人いる。“ポールおじさん” こと佐藤記者と、その佐藤記者に誘われて、どハマりしたGO羽鳥編集長だ。

私(耕平)には、なぜ大人がポールダンスにハマるのか、まったく理解できなかった。そもそも私は生で見たことすらない。動画では見たことがあるが、わざわざ会場に行ってまで見るほどの興味は湧かない。

ところが、ひょんなことからポールダンスを生で見る機会に恵まれた。しかも、ただのポールダンスではない。着物の日本舞踊からスタートする「和風ポールダンス」である。

そして結論から言うと、見終わった瞬間、気がついたら感動で拍手していた。なるほど、ハマるわけだ。佐藤記者もGO羽鳥編集長も、これをやっていたのか……そんなわけで、順を追ってレポートしていこう。

・運命の出会い

きっかけは4月中旬のこと。私の行きつけのお店「発酵文化応援団」(東京・亀戸)で飲んでいたときだった。日本酒とクラフトジンが美味しいこの店は、亀戸駅から徒歩10分ほどの場所にある。


カウンターでいつものように飲んでいたら、たまたまやってきたお客さまを女将さんが紹介してくれた。名前は鷹島姫乃(たかしま ひめの)さん。なんでも「和風ポールダンス」を披露する大道芸人だという。


和風ポールダンス?


初めて聞く言葉だ。ポールダンスに「和風」って何だろう。気になって聞いてみると、着物を着た日本舞踊からスタートして、途中で衣装チェンジしてポールダンスに移行するのだという。

しかも、姫乃さんの経歴がとんでもない。世界9ヶ国20都市で披露した実績があり、バーレスク(華やかなショーエンターテインメント)にも出演。海外のバーレスク大会では優勝経験もあるとか。テレビやメディアにも多数出演しているらしい。

控えめに言って、すごすぎないか。世界9ヶ国20都市だぞ! こんなとんでもない実績を持つ人が、亀戸で同じお店のカウンターで隣に座っているのだ。人生どこで誰と出会うかわからないとはまさにこのことである。

さらに聞けば、亀戸天神の「藤まつり」に合わせて、この店の付近で和風ポールダンスを披露する予定だという。


これは行くしかないだろう。ポールダンスを生で見る、人生初のチャンスだ。しかも会場は行きつけの居酒屋の目の前。このチャンスが向こうからやってきた以上、乗らない手はないだろう。


・和から洋への衝撃

そして、亀戸天神の藤まつりの日がやってきた。


会場は「発酵文化応援団」の向かいにある特設ステージ。商店街の一角に赤い絨毯が敷かれ、その中央にはポールがそびえ立っている。足元には藤の花が飾られていて、なんとも雅な雰囲気だ。大道芸のステージって、こんなに本格的なのかと驚いた。


15時ごろ、着物姿の姫乃さんが登場。大道芸なので、劇場のように客が座って待っているわけではない。姫乃さんが笑顔で道行く人に声をかけ、客を集めるところから始まるのだ。これも大道芸ならではの光景である。


この「客集め」の段階から、姫乃さんの人を惹きつける力がすごかった。通りすがりの人が次々と足を止め、気がつけばステージの周りには人だかりができていた。さすが世界20都市で大道芸を披露してきた人は客の引きつけ方を知っている。


私も最前列にポジションを取り、発酵文化応援団オリジナルの「亀戸うめハイボール」を注文し、初めて生で見るポールダンスに期待を膨らませる。


そしてステージ開始。まず始まったのは、着物姿での日本舞踊「藤娘」だ。華やかなピンクの着物をまとい、藤の花を手に舞う姿は実に美しい。野外の自然光の中で見る着物の色が映えることこの上ない。藤まつりの時期に藤娘を踊るという演出も心憎い。


傘を手に取り和風調にアレンジされた音楽に合わせ、着物の袖をひるがえしながら舞う。


和の所作が優雅で、これだけでも十分にショーとして成立している。商店街を歩く人たちの足が次々と止まっていくのが見えた。


──ところが、ここからが本番だった。

着物から衣装チェンジし、紫のベールをまとったダンス衣装に変身。さっきまでの雅な雰囲気から一転、ステージ上の空気が一気に変わった。


和の世界から洋の世界へ。この落差がすさまじい。着物姿から紫のベールに変わった瞬間、観客がどよめいたのを覚えている。


そしてついに、和風ポールダンスが始まる──。


・気づけば拍手していた

ポールに手をかけた姫乃さんが、するすると登っていく。


登って、回る。また登って、回る。その繰り返しなのだが、見ていてまったく飽きない。回転のたびに紫の衣装がふわりと広がり、藤の花のようにたなびく。


動画で見るポールダンスとは次元が違う迫力がある。目の前で人間があんな動きをしているという事実に、とにかく圧倒される。

特に衝撃だったのが、ポールの上部まで登りきったときだ。商店街の看板よりも高い位置まで到達し、姫乃さんがこちらを見下ろしている。


その姿が青空を背景にして、とてつもなく美しくて思わず息を呑む。周りからも「すごい……」という声が聞こえてきた。


室内のポールダンスは動画で見たことがあったが、野外は初めてだ。空の広さ、風で揺れる衣装、街のざわめき。そのすべてが演技の一部になっている。

ポールの先端まで登った姫乃さんの衣装が風に舞う光景は、室内では絶対に味わえないものだ。野外のポールダンスには、空間そのものが舞台になるという圧倒的な強みがあることを初めて知った。


そしてショーが終わった瞬間、気がついたら拍手していた。自分でも驚いたほど、身体が勝手に動いていたのだ。周囲を見回すと、いつの間にか集まっていた大勢の観客たちも、みんな同じように拍手を送っていた。


冒頭で書いた「ポールダンスの何がそんなにいいのか?」という疑問。答えは「生で見ればわかる」、これに尽きる。あの圧倒的な身体表現を目の当たりにしたら、もう理屈ではない。理屈を超えた何かが、拍手という形で体から勝手に出てくるのだ。

佐藤記者がハマって、GO羽鳥編集長も のめり込んでイベントを開く理由も、このショーを見て理解できた気がする。ただ自分がこれから始めるには、あまりにもハードルが高すぎると感じてしまったくらいすごかった。

──そんなわけで、ぜひ生でポールダンスを見る機会があれば、足を運んで欲しい。

参考リンク:鷹島姫乃公式ホームページ公式Xアカウント
執筆:耕平 
Photo:RocketNews24.

▼これからの姫乃さんの活躍に期待したい!