
小学校や中学校のイベントなどでよくあるタイムカプセル。10年後に集まってみんなで掘り起こそう……なんていうのが定番だが、なかなか果たされることはないように思う。
2015年、長崎市のとあるイベントで「10年後の手紙」というタイムカプセル的な企画があったようで、亡き母は私宛に手紙を書いていた。
2025年10月、亡き母からの手紙は無事に私の元に届いたのだが、それは偶然とは思えないようなタイミングと内容だった。
・2024年5月に他界した母
ロケットニュースの記事でも何度か母の闘病生活のことを書いたが、私の母は胃癌を患った末、2024年5月に他界している。癌が発覚してから、わずか1年後のことだった。
苦しい闘病生活の間に母はイベントで書いた「10年後の手紙」のことを思い出したようで、わざわざイベントの事務局に連絡をして、私の結婚後の苗字と新しい住所を伝えて、確実に手紙が私の元に届くように手配していたのである。
おかげで、母が亡くなってから1年半後の2025年10月に、私の元に手紙が届いた。住所変更に対応してくださった事務局の方に感謝である。
しかし、10年前のイベントで急に書いた手紙である。何を書いたか内容までは母も覚えていなかったという。だいたいそういうときって、何を書いていいか分からなくなるものだよね。
・手紙の内容
さて、届いた母からの手紙にはどんなことが書いてあったか……。
実際の手紙をお見せしたいと思う。
今年は大変につらい日が続きました。平成27年10月18日(日)
今、水辺に(母の妹)といます。イベントの為。
10年後 皆 元気でいるかな?
マリコは幸福な生活を送っていますか? 小供はいますか?
皆 元気でありますように 母。
※原文ママ
簡単に背景を解説すると、母がこの手紙を書いた2015年は相次いで身内が亡くなった辛い年であった。
母の弟が白血病で亡くなり、母の兄もまた肺がんで亡くなり、さらに前夫である私の父も亡くなった。たしか、数年前には母方の祖母も亡くなっている。
ついでに、娘である私はブラック企業に勤めて苦しい生活を送っており、一家全体で全く明るい話がなかった年だ。そういうこともあって「皆 元気でいるかな」と案じているのである。
ちなみに、文中の「水辺」とは「水辺の森公園」というイベント会場のことを指している。死のうとして水辺に佇んでいたわけではないので悪しからず……。
・あまりにタイムリーな一文
さて、私が驚いたのは後半の、ピンクで線が引かれた一文である。
マリコは幸福な生活を送っていますか? 小供はいますか?
なんと、まさに、この手紙が届く3日ほど前に私の妊娠が発覚していたのだ。
40代という年齢的なこともあって子供はほとんど諦めており、妊娠はまさに青天の霹靂だったので、この手紙が届く直前に妊娠が判明したのは奇跡のようだった。
しかし———
・生前の母からの遺言
実は、結婚が遅く母に孫の顔を見せられないことを後ろめたく思っていた私に対して、母は亡くなる前にこんなことを言っていたのである。
「子供は好きだけど、あんたが子供を産む姿だけはなぜか想像できんやった」
「だけん、孫を見せられなかったとかは気にせんでよかよ」
「あんたは子供のころ可愛かったけん、それで十分やったとやろうね」
母は一度も私に対して結婚はまだか、子供はどうするのかと聞いたことはなかった。
しかし母は子供好きだったので、これはおそらく本心ではなく、私が後悔しないように気を遣って言ってくれたのだろうな……というのは感じていた。
・おっちょこちょいの母らしい矛盾
娘には「孫のことは気にするな」と言いきかせ、10年前の手紙もバッチリ手元に届くように手配した。
ところがどっこい、その手紙にはうっかり「小供はいますか」なんて書いていた……。
天国の母はそれはそれは慌てたと思う。「この手紙を読んだら娘が傷つく!」
しかし、手紙は絶対に娘の元に届いてしまう。
なんとか辻褄を合わせるよう、手紙が届く前に、私の元に子供が来るよう神様に母が慌ててお願いしに行ったのではないか……
というのが、我が家の解釈である。
あるいは、生まれてくるのは母の生まれ変わりか。
おっちょこちょいの母が、天国で血相を変えて神様の元へと走り回る姿を思い浮かべて、私も夫も叔母も手紙を見て笑ったのであった。
なんにせよ、お母さんどうもありがとう。もうすぐ生まれる子供にもこの話を聞かせようと思います。
執筆:御花畑マリコ
Photo:RocketNews24.
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御花畑マリコ


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