ここ数年でネットカフェの数が激減しているらしい。「東洋経済オンライン」の2025年の記事によれば、2008年からの20年足らずで、全国の店舗数は4分の1程度まで減少したそうだ。

数年前、私(あひるねこ)がよく利用していたネカフェが閉店した時も非常に残念だったが、よくよく考えると、あれはかなり奇妙な状況だった。

もう時効のはずなので、当時のことを少し書いてみようと思う。

・数年前の記憶

子どもが生まれる前の話だ。当時の私は金曜日の夜にネカフェへ行き、2~3時間ほど漫画を読むのが習慣になっていた。

そこは雑居ビルのワンフロアに入っている小さな店舗だったが、店内に不潔感はなく、店員の対応も至って普通。特に不満を感じることもなく、毎週のように利用していた。

そんなある日、もっとガッツリ漫画を読もうと思い立ち、有給を取った日の昼間にその店舗を訪れた。


入店してすぐの受付カウンターに誰もいなかったため、そこに置いてある呼び出しボタンを押して待つことに。ところが、しばらく待っても店員が来ない。

私は以前ネカフェで働いていたのでよく分かるのだが、混雑していない時間帯、店員はブースを清掃したり、裏で作業したり、あるいはサボったりしているものだ。

ただ、その際はフードコートで渡されるような「呼び出しベル」を携帯しており、誰かが受付でボタンを押せばすぐに戻ってくる仕組みになっている。


他の客の対応などをしていて時間がかかることはあるが……それにしても遅い。というか、まったく来る気配がない。こんなことは初めてだった。



もちろん店内の明かりはついているし、なんならブースの隙間から他の客の靴が見えている。営業しているのは間違いなさそうなのに、これは一体どういうことだ?

まるで店員だけが忽然と姿を消したかのようだった。


・無人のネカフェ

とはいえ、入店受付をしないことには中へ入れない。そこで私は、自分のスマホからこの店舗に電話をかけてみることにした。

もしかしたら呼び出しベルの電池が切れている可能性もある。電話ならさすがに気付くだろう。

さっそく発信してみると、受付の裏手から店内に電話の音が響き渡った。これだけ鳴っていれば、どこにいようと絶対に聞こえるはずだ。


しかし、結局その電話が鳴りやむことはなかった。私はスマホからの発信を切った。

どうやらこの店には、店員が一人もいないらしい。商業施設でそんなことがあるのだろうか?



・新たな来客

店内は静かだ。微かに人のいる気配はあるのだが、誰一人として姿が見えない。なんだか悪い夢の中にいるようで怖くなってきた……とそこへ、宅配便の男性が荷物を持って入って来たではないか。

自分以外にも人間がいたんだ! 私は密かにそんな感慨に襲われた。


受付の呼び出しボタンを押す男性。しばらく待つも、当然誰も来ない。何度か押した後、男性は不審な顔で店内を見渡した。私とまったく同じ反応である。分かるよ、その気持ち。

私は男性に「自分もさっきから待っているが誰も来ない」と伝えてみた。男性も「え、そんなことあるの?」というような反応だった。

また後で来ようと思ったのだろう。間もなくして、男性は荷物を持ったまま店を出て行ってしまった。

わざわざ有給を取って来たので私も漫画が読みたかったが、そもそも入店できないのでは仕方がない。満席だったと思うことにして、外に出た。


・数日後に衝撃

あれは何だったんだろうか? 狐につままれたような気分で帰宅する私だったが、その数日後、店の前を通って驚いた。なんと、そのネカフェが閉店していたのだ。

普通だったら事前にアナウンスがありそうなものだが、私が知る限りいきなりのクローズ。その時は、突如として店が消滅したかのような印象を受けた。



冒頭で書いたように、ネカフェの閉店自体は珍しくない。むしろ増えているわけで、この店舗が閉まったのも別に不自然なことではないだろう。


ただ、その直前にあった出来事があまりにも奇妙すぎて、何やら言葉にできないモヤモヤとした感情を抱いたことを今でも覚えている。

ちなみに、その店はチェーン店で、今も営業している系列店舗がいくつかある。実は当時、本社に問い合わせてみようかとも思ったのだが、結局連絡せずじまいだった。

SNSで当時のことを調べてみても、何も情報は出てこない。あれは本当にあった出来事なのか? 私と宅配便の男性だけが見た白昼夢だったのではないか?

数年経った今も、真相は闇の中である。

参考リンク:東洋経済オンライン
執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.