筆者は幼い頃から漫画家を目指していた。はっきりとは覚えていないけれど、小学校低学年の頃にはそれらしきものを描き始めていたように思う。

小学生から高校生の間はひたすら創作漫画を描き続け、いくつかの賞を受賞したり出版社で担当さんについてもらったりしてきた。

その後、ありがたいことにエッセイ漫画である「日々限界集落」を当サイトで連載させていただき、それを主婦の友社から書籍化していただいた。


・創作漫画にもチャレンジしてみたい

おかげで夢だった「漫画家」と名乗ってもいいポジションにはなれたと思う。

しかし経験値を積んだ今、改めて「エッセイ漫画だけではなく、創作漫画でも勝負してみたい!!」と思うようになった。

そこで先日、今の全力で描き上げた作品を漫画雑誌の編集部に持ち込んできた。

本記事では、持ち込みの流れ実際に編集さんからいただいたアドバイスをご紹介させていただきたい。

なお、決してこの記事を書くために持ち込みに行ったわけではなく、一作家として営業活動をしに行ったので、その点はご理解いただけますと幸いです。


・作品のあらすじ

今回描いたのは、10ページの4コマ漫画だ。

日々「誰の役にも立てていない」と感じている女の子が、既に死んでしまっているものの食べ物への執着が強すぎて現世に留まり続けている幽霊に体を貸してあげることになる……というストーリーだ。

ストーリーにもキャラクターにも自分の好きな要素を落とし込めて、自分の中でもお気に入りの作品になった。


・漫画編集部に持ち込みしてみる

かわいい女の子が出てくる雑誌を作っている出版社といえば……「ゆるキャン△」「けいおん!」など、数々の有名作品を生み出している「芳文社」じゃないだろうか。

そこで芳文社の雑誌の1つである「まんがタイムきらら」の公式サイトを見てみたところ、「漫画家募集」のページに漫画を応募できるフォームが設置されていた。

数年前までは編集さんに漫画を見てもらうとなると対面か郵送での持ち込みがメジャーだった気がするんだけど、今はこういった形での持ち込み方法もあるんだ。

試しに他の出版社の投稿ページもいくつか見てみたところ、同じようにフォームが設置してあるところが多いようだった。

東京近辺に住んでいなくても漫画を見てもらえる時代になったのは、地方住みとしては大変ありがたい。

さっそく必要事項を入力し、漫画のデータを添付して送信。返事を待つこととした。


・お返事来た!!

応募を行ってから約2週間後。編集部の方からメールでお返事をいただくことができた。


メールを開封する時の気持ちは「あの『まんがタイムきらら』の編集さんに作品を見てもらえたんだ!」という嬉しさが半分。

「まんがタイムきららに載っている作品ってどれもめちゃめちゃ画力が高いよな……『まだまだ力不足です』とか書かれてたらどうしよう……」という不安が半分といった感じだった。

いろんな意味でドキドキしながらメールを開封してみる。


・講評

結果としては、思ったより褒めてもらっていた。

特にテンションが上がったのは登場キャラクターのことを「バランスよく非常にかわいらしいデザインだった」と言っていただけていたこと。

いろんなかわいいキャラクターが登場する「まんがタイムきらら」の編集さんに!! かわいいって言ってもらえた!! 

自分でも気に入っていたキャラたちだったので、これが本当に嬉しかった。


また、「塗りやトーン使いなどが現代的で素晴らしかった」とも。

実は筆者は、同社の雑誌「まんがきららフォワード」で現役で活躍されている漫画家さんのアシスタントをしている。

今の仕上げのやり方は、ほとんどがその先生に教えてもらったものだ。そのため嬉しさと同時に、「さすが先生だなぁ……」と改めて尊敬した。


・プロの目ならではの厳しい意見も…

一方で、改善点もたくさん教えていただいた。

まずはキャラクターデザインの面でもストーリーの面でも、片方のキャラクターがこれといった特徴のない感じになってしまったこと。

自分でも完成原稿を読み直してみた時に「想像より印象に残らない感じになっちゃったかも……」と思っていたので、これは次の作品に活かしたい。


そしてギャグ的な面では、4コマ目や8コマ目のインパクトが少々物足りなかったようだ。

たしかに話を進めることに意識が向いてしまって、オチをしっかりつけることが後回しになってしまっていたかも……

1つのエピソードを4コマ(または8コマ)で面白くするのってやっぱり難しいな~~~!!!! と実感した。


・盲点

たくさん書いていただいた講評もいよいよ終盤。

絵や漫画そのものに対して書いてある文章の中に、「キャラクターの輪郭線が少々太く均一な質感になっていたように思います」という部分を見つけた。


たしかにそう。これは筆者があえて行っている描き方だった。

輪郭を太めにしないと、キャラが目立たなくなっちゃう気がするんだよな。

とはいえもう少し細めでもいいのかも……? などと思いながら読み進めていると……


女性向けの作品によく見られる表現のような気がします」


_人人人人人人人人人人人_
> ──そうなの!?!?!?!? <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄


ま、全く知らなかった……完全に盲点を突かれた気分だった。

────ただ、原因には心当たりがある。


普段、女性向けゲームの二次創作活動をしているからだろうな……

いつも読んでいる二次創作作品にも女性向けのものが多く、知らず知らずのうちに女性向け作品の特徴を吸収していたのだろう。まさかこんなところで趣味の影響が出てくるとは思わなかった。


いろんな観点から様々な気づきを得ることができた持ち込みだったな……。

お忙しい中、作品を読んでいただいただけでなく、詳細な分析と濃厚なアドバイスを返して下さったきらら編集部の担当の方には感謝しかない。

おかげでさらに創作に対するモチベーションが湧いてきました。本当にありがとうございました。

久しぶりに漫画を講評される緊張感を味わったけど、改めてプロの編集さんに見てもらうのは自分がレベルアップするために必要な過程だと思った。

今回のアドバイスを糧に、また新しい作品作りに励もうと思う。

参考リンク:まんがタイムきららWEB
執筆:うどん粉
Photo:RocketNews24.

▼今回描いた原稿。また他の話も描きたい