先日香川県を訪れた際、ふと立ち寄ったコンビニで、ある商品が目に留まった。それは、あのベビースターの『四国限定 ベビースター讃岐うどん味』という商品だ。

パッケージには鰹パウダーと阿波のゆずペーストが練り込まれていると書かれた、4連パックの商品。讃岐うどんといえば、香川県が誇る名物中の名物。そのソウルフードを、まさかベビースターで再現しているなんて……?

私(耕平)は、この商品を見つけた瞬間、迷わず購入。本物の讃岐うどんと食べ比べて再現性を検証した結果、思わず唸った食べ方を発見してしまった──。

・微妙な第一印象

香川県のコンビニや高松空港のお土産屋さんなどで、短冊のように吊るされて販売されていた『四国限定 ベビースター讃岐うどん味』


同じ味のベビースターが、これほど大量に並んでいるのを見るのは初めてだ。値段は税込380円。特に「四国限定」の文字と、「鰹節のパウダーと徳島の柚子ペーストを練り込んだ」という説明書きが目を引く。


お土産としてもぴったりだと思い購入し、自宅に持ち帰ってさっそく実食してみることにした。


パッケージ裏面を見てみると、1袋あたり21gで104kcal。4連パックになっているため、1袋のサイズは通常のベビースターと比較してもかなり小さめだ。


袋を開けた瞬間、ほのかに良い香りが漂ってくる。確かに讃岐うどんを思わせる出汁の香りも感じられるが、正直なところベビースター特有の香ばしさの方が強く印象に残る。


まずは一口、そのまま食べてみる。


なるほど……


もちろん不味いわけではない。鰹の風味は感じられるし、ほんのりとゆずの香りもする。ただ、これを「讃岐うどんの味」と言われると、正直首をかしげてしまう。その後もどうにか1袋食べ切る中で特徴を探してみたが、前述の感想を超える発見はなかった。


──食レポは以上だ。


って、このままだと記事として弱い。いや、弱すぎる。せっかく四国限定のベビースターを買ったのに、「まあまあでした」で終わらせるわけにはいかない。


・食べ比べてみたら…

ここはやっぱり、本物の讃岐うどんと食べ比べてみるしかないだろう。ちょうど帰りの高松空港で購入した讃岐うどんがある。


さっそく、調理開始だ。もちろん食べ比べなので、素の讃岐うどんを味わう余計なトッピングは一切入れずに検証することにした。


ツヤツヤと輝く麺に、透明感のある出汁。これぞ讃岐うどん。一口すすると、口の中に広がる優しい出汁の風味と、コシのある麺の食感がたまらない。


直後に『四国限定 ベビースター讃岐うどん味』をつまむ。


それを5回ほど繰り返す。が、やはりスナック菓子からの領域を抜けることはなく、特筆すべきことがない。マジで記事として、取り上げるべきかどうか悩むレベルだ。

「ちょっと、どうにもならないかも……」と思い、半ばヤケクソ気味にうどんの上にパラパラと振りかけてみた。まるで天かすをトッピングするかのように。


果たして、この組み合わせは吉と出るのか、凶と出るのか……箸で麺をすくい、ベビースターと一緒に口に運ぶ。


うーん、やっぱり微妙……。


普通にツルツルの讃岐うどんの麺と、それっぽい風味のベビースターを一緒に食べているだけの感覚以上のものはない。完全に企画倒れでしかなかった。


・奇跡かよ

モチベーションは完全にダダ下がり。ただ讃岐うどんの器には、まだ麺もベビースターも残っている。フードロスだけは避けたいと思い、しばらく時間をおいて食べてみた瞬間……


あれっ? 美味くね??


最初はカリッとしたベビースターの食感が少し変わった程度だったが、時間が経つにつれてベビースターが出汁を吸い、いい具合に柔らかくなってきた。そして、この状態で食べてみると、完全に讃岐うどんの味が変化した!

ベビースターが出汁を吸って適度に柔らかくなることで、うどんと一体化してきている。そして、ベビースターから溶け出す鰹の風味とゆずの香りが、出汁の味わいをより一層引き立てているのだ。


特に、ゆずの風味がいい仕事をしている。讃岐うどんの出汁に、ほんのりと柑橘系の爽やかさが加わることで、味全体に奥行きが生まれる。しかも、ベビースター単体で食べた時よりも、うどんと合わせることで讃岐うどんらしさが際立つという不思議な現象が起きていた。


・シンプルイズベスト

「これはもしかしたら……?」調子に乗った私は、さらなる実験を試みることにした。

ベビースターといえば、かつて「ベビースターラーメン」として親しまれてきた商品。ということは、このベビースターに熱湯を注いだら、即席の讃岐うどん風スープになるのではないか?


普通のカップラーメンと同じく、残りのベビースターをカップに入れて……


熱湯を注ぐ。


待つこと3分、完成。


正直なところ、さすがにこれは無いだろうと思っていたが、おそるおそる一口すすってみると……


う〜んま!!


これは予想外だった。ベビースターが適度に柔らかくなり、スープも讃岐うどんの出汁の風味がしっかりと出ている。まるで「ブタメン」の讃岐うどんバージョンみたいで、カップサイズでも余裕で商品化できるクオリティじゃね? と率直に思った。

ポイントは、熱湯を麺の高さギリギリに入れること。そのくらいだと、熱湯が見事な黄金色のスープになる。


おそらく、普通のベビースターよりも麺が太めに作られているのが、インスタントとして相性がいいのではないだろうか?

適度な歯ごたえが残りつつ、スープとの馴染みも良好。鰹の風味とゆずの香りが、お湯に溶け出して讃岐うどんの出汁を見事に再現している。これは発見だった。


──というわけで、『四国限定 ベビースター讃岐うどん味』の検証結果をまとめよう。

単体で食べると、正直「讃岐うどんの味」としては物足りなかった。だが、本物の讃岐うどんにトッピングとして使うと、出汁との相性が抜群。そして、個人的に最も衝撃だったのは、熱湯を注いでインスタント風に食べる方法。これが予想以上に美味しかった。


もし香川県や四国地方を訪れる機会があれば、ぜひこの『ベビースター讃岐うどん味』を購入し、熱湯を注いで食べてみてほしい。新しいベビースターの楽しみ方が、きっと見つかるはずだ。

参考リンク:おやつカンパニー 
執筆:耕平 
Photo:RocketNews24.

▼讃岐うどんを食べた後に、残ったつゆに入れて「追いベビースター」にするものアリだ