北関東を愛し、北関東に愛された男たちがついにタッグを組む。群馬を背負う古沢、栃木を背負う砂子間、まさかの2人が仲間となり、地元民しか知らない北関東のディープゾーンへと足を踏み入れていく……「北関東ブラザーズ」の誕生だ!

我々が挑むのは、まだスポットライトの当たっていない北関東の魅力を掘り起こすこと。なぜなら我々は北関東に住みながら、北関東のことを知らなすぎるからだ。

今こそ学び直し、愛を深め、そして北関東に愛される存在になるべく全力を尽くしたい。というわけで、記念すべき第1回の舞台に選ばれたのは……この街だァァアアアア!

・北関東ブラザーズ


2025年9月某日、群馬県のとある路上。そこに立っていたのは当編集部の古沢だ。慣れないサングラス姿でやや緊張した面持ち……無理もない。今日から彼は故郷・北関東を背負うチームの1員になるのだから。



私も全く同じ気持ちである。普段はどこにでもいる男たちが、今この瞬間から「北関東ブラザーズ」として生きていかねばならない。助手である古沢が持っているのは「北関東ノート」。我々の調査を記録するダイアリーみたいなものだ。



「やるしかないか……」と私が小声でつぶやくと、「やるしかありませんね……」と古沢も静かに応じた。


いよいよ我々の長い旅が幕を開ける。北関東の未来は俺たちにかかっているのだ。顔を見合わせてうなずいた瞬間、我々の熱い冒険が始まった。


北関東ブラザーズ、いざ出発ッ!!


砂子間「こ、ここは……?」
古沢「館林(たてばやし)駅のようです」


・館林市

我々がやってきたのは、群馬県の東南部に位置する館林市。人口はおよそ7万人。浅草まで約70キロと県内で最も東京に近く、東北自動車道や東武鉄道で1時間ちょいの距離なので「転職しない移住先」「日帰りでも楽しめる観光地」として人気の街だ。

そんな街の玄関口となる館林駅は、カルピス模様にラッピングされている。どうやら館林にはアサヒ飲料の群馬工場と「カルピス みらいのミュージアム」があり、カルピス誕生100周年を記念して2019年からミュージアムと駅舎ラッピングが始まったらしい。

ちなみに当サイトでも館林は何度か登場してきた。館林うどん全国屈指の暑いまち全国初のドトールキッチンなど……ユニークなエピソードに事欠かないのが館林である。


・タヌキ像

さて、市内では駅前や市役所、商店の店先などにやたらとタヌキ像が飾られている。

タヌキは「他を抜く」の語呂から商売繁盛、開運、出世などの御利益がある縁起物とされているが、これは館林が古くから「分福茶釜(ぶんぷくちゃがま)」の舞台とされる茂林寺(もりんじ)の門前町であり、タヌキ伝説と深い関わりがあるからなのだとか。


さらに駅前には「巨人軍栄光の初V 不屈のG魂誕生の地」と刻まれた石碑が立っている。調べたところ、館林はジャイアンツが初優勝を遂げた1936年にキャンプを張った「分福球場」の所在地だという。プロ野球ファンならグッとくる歴史的スポットである。


古沢「ちなみに分福茶釜の茂林寺は館林駅から車で約10分とのことです」


砂子間「飛んで行きましょうか」
古沢「もちろんです」


北関東ブラザーズ、せいっ!!


砂子間「こ、ここは……?」
古沢「だから茂林寺ですよ」


・茂林寺

茂林寺は1426年に創建された曹洞宗の寺院で、群馬県民のほとんどが暗唱できる「上毛かるた」でも『分福茶釜の茂林寺』と謳われている超メジャースポット。茶釜に化けたタヌキが福をもたらす物語の聖地だ。


境内には20体以上のタヌキ像がズラリと並び、寺の宝物館には「分福茶釜」と伝えられる茶釜も展示されている。とにかくタヌキ軍団との記念撮影は必須。まさに館林ならではの光景と言えるだろう。


・地元民に愛される名店へ

もちろん地元グルメも堪能したい。ってことで、館林市で絶大な支持を集める老舗とんかつ店「福よし」へ。もうジャンプは面倒なので車で移動した。


17時過ぎに訪れたが、次々と地元のお客さんがやってきては席を埋めていく。どうやら同店は “特別な日にも選ばれる店” らしい。


私が選んだのは限定メニューの「上州麦豚特選厚切りロースかつ定食(2380円)」、古沢は王道の「ヒレかつ定食(1740円)」をチョイスした。上州麦豚は赤身が豊かできめ細かく、あっさりとした上品な風味が特徴とのこと。


料理が運ばれてきた瞬間、2人とも思わず無言に。黄金色の衣をまとった分厚いとんかつの迫力がただただヤバい……「頑張って完食してくださいね」と店員さん。最高過ぎる。


そして一切れ食べて絶句。ちょっと待ってマジで美味すぎる……柔らかさと脂の上質な甘みが絶妙。肉質が驚くほどにきめ細かい。


しかも店員さんに「頑張ってね」と言われるほどの衝撃ボリューム。それでいて最後まで飽きずに食べられるのはヤバい。このとんかつを食べるためだけに館林に来てもいいだろう。


砂子間「初回からこんな名店に出会えるとは……」
古沢「北関東バンザイですね」



デートでも接待でも選ばれる圧巻のクオリティ。「とんかつなら福よし」と地元民が誇る理由が分かった。そして我々は確信した。館林は “暑いまち” であると同時に “熱いグルメのまち” でもある……と。


・次の街へ

──こうして第1回「北関東ブラザーズ in 館林」は幕を閉じた。やはり北関東にはまだまだ知られざる魅力が眠っている。

果たして次なる舞台はどこになるのか……皆様からのリクエストも大歓迎。どうか引き続き、北関東ブラザーズの冒険にお付き合い願いたい。それではまた!


執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.
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