最近、Google検索をすると検索項目のすぐ下に「AI Overview」が表示されるようになった。これは複数の情報源をもとに、要約した簡潔な回答を表示するというもの。Googleの生成AI「Gemini」が、すばやくユーザーの求める結果や回答を示すものだ。

便利ではあるが、これのおかげで本来知りたかったこととは全然関係のない項目に関心が向いてしまう場合がある。とくに私(佐藤)は気が散りやすいので、提示された回答に気が行ってしまって、そもそも何を調べたかったのかわからなくなってしまう。

つい先日もAIが「ナポリタンにバニラアイスをのせる」と表示して来やがったために、何を調べていたのかわからなくなった。とりあえず、それが美味いのかどうかが気になったので、実際にためしてみるとしよう。

・AIのやんわりとした提案

「ナポリタンにバニラアイス」、何をどう調べたらそんなフレーズにたどり着けるのだろうか? 自分で調べていたはずなのに、それがどういう調べものから導き出されたことなのか、振り返っても思い出せない。何を調べてたんだっけな~?

おそらく食べ物のことについて調べていたはずだが、今となってはどうでもいい。むしろAIのこの発言の方が、私の関心をひいてしまったのだから。


「ナポリタンにバニラアイスをのせるのは、イタリアのデザートであるアフォガードに似た発想で、新しい組み合わせとして試されることがあります」

何を根拠に「試されることがあります」と言っているのか。参考にしている2つのサイトはそれぞれ、「バニラアイスにかける醤油」と「アフォガード」のことしか伝えていないというのに、どこから「ナポリタンにバニラアイス」を引っ張りだして来たのやら。

しかしながら、興味はある。アフォガードのようだと言われると、なるほどイメージできなくもない。やってみる価値はありそうだ。ただし1点気になるのは「味わいの変化:ケチャップの甘酸っぱさとバニラの甘さが合わさることで、意外な美味しさが生まれるかもしれません」

どうやら自分の提案に確信が持てないと見える。ふむ、お前もまだまだ発展途上。少なくとも味覚を有していないので、美味しさをたしかめる術がないというわけだな。ヨシ、それでは私が手伝ってやろう。味覚は俺に任せろ! 意外な美味しさかどうか、この私がたしかめてやろうぞ!



・実践して見えた可能性

ってことで買ってきました。冷凍パスタの「マ・マー THE PASTA ソテースパゲティ ナポリタン」(税込225円)と、「ハーゲンダッツ バニラ」(税込312円)。

パスタのトッピングにハーゲンダッツを使うのは惜しい気もする。だってパスタより高いんだもの。こんな形で贅沢をするのは気がひけるけど、たしかめないわけにはいかんのじゃ!


さっそくパスタをレンチンします。500ワットのレンジで5分30秒温めます。


チン! と鳴って完成です。最近の冷食は美味いんだよなあ。これも食べたことあるよ。麺は緩いけど、ソースの味はしっかりしている。


まずはそのままの味を確認しておこう。「うまさ、歴然」というキャッチコピーがついているだけあって、ソースはトマトの旨味が強く、200円台とは思えないほど満足度の高い1品である。


結構美味しいので、油断するとこのまま食い切ってしまう。なので、一旦フォークをおきます。バニラアイスをのせなければ。


この先の人生において、私が再びナポリタンにバニラアイスをのせる日は来るのだろうか? それも今日の体験次第。ひょっとすると、この先ずーっとバニラアイスをのせ続けるかもしれないし、今日が最後になるかもしれない


いざ、のせてみると……


う、美味そうだな。これはアリなのでは? 生クリームのようで生クリームではない。チーズのようでチーズでもない。そう、これはバニラアイスだ。ファーストルックの印象はかなり良いぞ。これは期待できる。


はたして、適度の混ぜて口の中に放り込んでみると……

あま~い! これハーゲンダッツの味しかしねえな。

しっかり混ぜ合わせて馴染ませるか、それとも少量ずつパスタに混ぜて食べないと、ハーゲンダッツが勝っちまう。う~ん、これは失敗の組み合わせか!?



しかし、よく馴染むように混ぜ合わせて食べていくと、最初のひと口とは違って、可能性が見えてきた。トマトの酸味はアイスの甘味で中和されるものの、トマト “クリーム” ソースと化して、口当たりまろやか。

多少塩気が欲しくなるので、コショウを振りかけたら、文字通り良い塩梅に。少し酸味が薄れてしまうので、別でカットしたオリーブを散らすか、それともオリーブ・ケッパーが味のアクセントの「プッタネスカ」にアイスをそえた方が良いのかも

いずれにしても、ナポリタンとバニラアイスは無茶な食い合わせではないことがわかった。まさしくAIが言った通りに「意外な美味しさが生まれるかもしれません」という表現がふさわしい味だった。皆さんもぜひ試して頂きたい。もうひと味足りないので、自ら調味料を加えて自分好みにアレンジして頂きたい。


参考リンク:GoogleGemini
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24