ラグビーワールドカップで日本中を熱狂させた五郎丸歩選手

そのトレードマークといえば、キック前に両手を組む「五郎丸ポーズ」だろう。

実はあのポーズにそっくりな仏像があるとして、一時期大きな話題を呼んだ寺が岐阜県関市にある。

名前は「関善光寺」。地元ながら行ったことがなかったので、ついに足を運んでみた。

・子どもの頃からなじみのある関市へ

私は子どもの頃、祖父母と一緒に関市の市場へ、よく野菜を出荷しに行っていた。

そんななじみのある町に、ずっと気になっていたスポットがある。

それが今回の目的地、関善光寺だ。

正式名称は「妙祐山宗休寺(みょうゆうざん そうきゅうじ)」。天台宗の寺院で、1753年(宝暦3年)に創建された。

関市の中心部を見下ろす高台に建ち、境内からは街並みを一望できる。

地元では、関善光寺として親しまれ、美濃四国八十八カ所の第21番札所にもなっている。

「五郎丸ポーズ仏像」が有名だが、実はもうひとつ、完全に真っ暗な中を歩く卍戒壇巡りができるお寺でもあるのだ。


・本当に五郎丸ポーズだった!

境内の階段をのぼっていくと、右手には素敵なカフェ「宗休」が。

観光客でも立ち寄りやすい雰囲気で、休憩にちょうどよさそうだ。今回は時間がなかったのでまた次回の楽しみとしておく。


目的の五郎丸を探してみると……早速ご対面。

八角堂に安置されている宝冠大日如来像だ。

思ったより小ぶりな仏像だが、しっかりとあの集中ポーズに見える。

せっかくなので私も、集中力が切れそうなときのために、このポーズを目に焼き付けて習得しておこうと思う。

台座には1,000体以上の小仏像が刻まれており、じっくり眺めるとその精緻さに驚く。参拝客が集まるのも納得の珍しさだ。


・撮影は禁止。いざ戒壇巡りへ

さて、次のお目当ては戒壇巡り。

日本で唯一の卍の通路になっているらしい。料金は大人300円、子ども100円。今回は大人2人と小学生、未就学児という編成で挑戦だ。

完全に真っ暗と聞いているし、静かにしなければならない。入口で手の甲に蛍光シールを貼られ、「これが唯一の光になります」と説明を受けると、一気に緊張感が高まった。

中は想像以上に暗い。みんな先頭を嫌がるので、仕方なく私が進むことに。

大げさではなく、本当に「何も見えない」。頼れるのは手すりだけだ。これが結構怖い……。

ちなみに公式によると――

全国の寺院には戒壇巡り(胎内巡り)が54カ寺あると言われており、その中でも卍字型の戒壇巡りとしては日本唯一。暗闇の長さは人が亡くなってから成仏するまでの49日にちなみ49メートルあるとされ、古くは僧侶の修行の場だったそうです。暗所を巡ることで心身を清め、必ず極楽へ往生できると言われています。また中にある仏性の鍵(錠前)に触れると幸運に恵まれるともされ、お願いごとを唱えると罪が消え、願いがかなうとも伝えられています。

……と、かなり由緒正しい体験だった。

怖がりながらも、しっかり鍵に触れられて一安心。

子どもたちも最初は怖がっていたが、出てきた瞬間「もう1回やりたい!」と。

騒ぐことなく、無事巡れたことに安心しつつ、これはアトラクションではないことを言い聞かせ、1回で終了。

・岐阜出身としておすすめしたい関市のスポット

五郎丸ポーズの仏像に、暗闇を進む戒壇巡り。

関善光寺は「見る」だけでなく「体験する」要素がしっかりある寺だった。

地元の人にとっては身近な寺院だが、観光で訪れるにも十分に楽しめるスポット。

正直、戒壇巡りはかなりドキドキしたが……次回はもう少し堂々と先頭を歩けるように、五郎丸選手ばりの集中力を磨いてから再挑戦したい。

参考リンク:関善光寺
執筆:夏野ふとん
Photo:RocketNews24.
イラスト:稲葉翔子

▼帰り見かけた、この教習所も気になる……