そもそも駅弁が好きなのだが、駅弁を販売している店に行くのも好きだ。その土地ならではの弁当をあれこれ見て、どれを買おうか迷う瞬間はまさに至福。
中でも東京駅の「駅弁屋 祭」は首都なだけあって、日本各地の駅弁がそろっていて楽しい。知らない土地に思いをはせながら買うもよし、行ってきた、またはこれから行く土地の弁当を買うのもアリだ。
しかしながら地方暮らしの記者は、なかなか「駅弁屋 祭」を訪れる機会がない。コロナウイルスの流行を境に、より一層足は遠のいている。この状況を何とか打破しようと、文明の利器を使うことにした。
・東京に行かずして
関西で暮らしている記者は、先に書いた通り、コロナウイルスが流行してからというもの、とんと関東方面へ行くことがなくなってしまった。
それまでは仕事の打ち合わせなどで出かけることもあったが、今ではほぼすべての用事がオンラインで済んでしまう。また遊びに行こうにも、ホテルなども高いし、今は良いかなあと機会は失われるばかりだ。
しかしながら関東にも恋しい場所のひとつやふたつはあるもので、そのひとつが「駅弁屋 祭」というわけである。どうしたものかと思っていた時に、発見したのがオンラインサイト。
楽天市場にて「駅弁屋 祭」のページがあり、一部商品を購入できるのだ。駅弁の通信販売が増えてきたことは把握していたが、まさか「駅弁屋 祭」までもとは、文明の利器万歳である。
なんでも2024年の9月にオープンしていたらしく、楽天のほかJRE MALLでも販売中だ。実店舗ほど種類はないが、それでも北から南までの弁当がまんべんなくそろっている模様。
駅弁は旅とセットなので、道中が省略されるのはやや味気なくもあるが、家で食べるからこその楽しさもあるだろう。さっそくいくつか頼んでみることにした。
・買いそびれていた駅弁たちをチョイス
いずれも冷凍された状態で保存できるため、ついあれこれと注文してしまった。今回選んだのは「チキン弁当(税込800円)」「鯵の押寿し(550円)」「とりめし(800円)」「鯛めし(1180円)」の4つ。
別途送料がかかるが、新幹線に乗って東京へ行くことを思えば安いものだ。ちなみに選んだ基準は、「駅弁屋 祭」に行った際に気になりつつ「いつも置いてあるしいつでも食べられるよな……」と買わずにきたものたち。
まさかこれほどまでに関東方面へ行く機会がなくなるとはコロナ禍前は考えていなかった、という人は記者以外にもいるのではないだろうか。何でも伸ばし伸ばしにするものではないなと思いつつ、違う形で手に入る今の状況に感謝だ。
・自然解凍ができる
さて、それでは順番に見ていこう。まずは「チキン弁当」だ。こちら当サイトでも以前に紹介したことがあるが、昔からある駅弁のひとつだ。あまりに定番すぎてこれまでスルーしてきてしまったが、こんな形でファーストチキン弁当を味わうことになろうとは。
記者はレンチンしたが、約4時間かければ室温でも解凍が可能とのこと。レンジがない仕事場にも持っていけそうで、とても便利ではないか。そのほかの商品もすべて、自然解凍ができるようになっていた。
技術の高さに感心しつつ、ほかほか駅弁をいただく。からあげとトマト風味ライスが、シンプルイズベスト。温めたからか、からあげがジュワっとしていて満足度が高い。そうか、チキン弁当ってこんな味だったんだな……。
感動しつつ箸休めに「鯵の押寿し」を食べてみる。100年続くベストセラーの味らしいが、正直なところ、冷凍にしたとて生臭さがあるのでは……と疑っていたのだが、とんでもない。
今握ったのかな、と思えるほどの押寿しならではのうまさでびっくりだ。少しだけレンジで温めてから室温でじっくり解凍したからか、米もふわっとしていて店で買うよりも、もしかすると美味しいのではないかという気すらした。
・冷凍ならではの良さ
日をまたいで「とりめし」と「鯛めし」をいただく。繰り返すが、買ったその日に食べなくてもいいのが、冷凍駅弁の良いところのひとつでもある。
まず「とりめし」だが、笠をかぶり杖を持った鶏がパッケージにデザインされていて旅情を誘う。冷凍駅弁はレンジに入れることを考慮してだろうが、どれも容れ物がシンプル。
駅弁ならではの主張強めな容器やパッケージプリントが見られないところが悲しいと思っていたので、少し嬉しい。そんな「とりめし」は、具だくさんで食べ応え十分。
鶏だしご飯の上に軟骨入り鶏つくね、鶏そぼろ味噌味、鶏照焼き、蒸し鶏塩ダレ和えほか副菜などが載っているのだ。これで800円なのだから恐れ入る。
最後に東華軒の「鯛めし」であるが、こちらは今回注文した中では唯一以前に食べたことがあった。美味しいことは覚えていたが、もし店頭に並んでいたらば「前に食べたし今回は違うのにしておこう」と手に取ることはしなかったと思う。
それが保存が利くおかげで、ほかの駅弁を注文しつつ、こうして再び食べたい駅弁も併せて注文することができた。冷凍技術、宅配技術、駅弁屋祭サイト、さまさまである。
そして「鯛めし」は記憶にあった通り、甘めのおぼろと炊き込みご飯の組み合わせが最高だった。
今後、定期的に冷凍庫にストックするようにしたい。
・新たな発見
今回、いくつかの冷凍駅弁を食べてみて大きくふたつ、感じたことがある。ひとつは、やはり電車に乗りながら食べる駅弁は味以外の感動がプラスされて、よりワクワクさが感じられたなということ。
そしてふたつ目は、駅弁は冷めていても美味しいが温めると一層美味しいということ。特にこのふたつ目が衝撃的で、温めるともっと美味しいんだという、当たり前のようでいてこれまで気にも留めていなかったことに思い至ることができた。
常温の弁当と冷凍の弁当では、加工法などが異なることだろう。特に冷凍食品を解凍して美味しさが保たれている裏側には、開発した人たちの多大なる苦労があるに違いない。
そうした苦労のおかげで、温かい駅弁の美味しさを認識できたと思うと、ありがたい限りである。いつものちょっとひんやりした駅弁も良いが、ほかほか駅弁もクセになってしまった。
駅弁を食べたい人、駅弁屋祭が恋しい人、冷凍庫に美味しいご飯を常備しておきたい人、さまざまな需要にこたえてくれそうな「駅弁屋祭」のオンラインサイト。
弁当の種類がもっと増えればもっと嬉しいところであるが、追々そうなっていくことを願い、記者はまたすぐサイトを通じて注文しようと思っているぞ。
参考リンク:楽天市場、JRE MALL
執筆:K.Masami
Photo:Rocketnews24.
▼家で駅弁屋祭を利用できるなんて。どの駅弁も美味でした
▼レンチンほか自然解凍できるところも魅力