
このところ、電話を使った詐欺が大流行中。
日本の携帯やIP電話からの時もあるが、海外からの着信が非常に多い。よってこの手口のことを「国際電話詐欺」と呼ぶこともある。
私の場合だと、ここ1年の間に香港、スイス、キリバス、スリランカ、フィリピン、セーシェル、サンピエール島、イラクからかかってきている。
しかし、あまりにも海外からの着信が多くなり、「海外からの電話=詐欺」という認識が日本人に広まったからか、最近は非通知設定でかけてくるのがブームの兆し。
そして今日もまた──。
電話に出ると、開口一番「GO羽鳥さまのお電話番号でよろしいですか?」と聞かれた。この時点で、私の名前と私の携帯番号がセットで流出していることがわかる。
相手の男は日本語を使っているが、どう考えても日本人ではないイントネーション。どんな雰囲気なのかは、YouTubeやInstagramにアップした動画を参考にしてほしい。
結論から書くと、この電話の目的は投資詐欺。250ドル(約3万8000円)を支払えば、あとはAIが勝手に運用してくれて大儲けできます的なストーリーだ。
少し気持ち悪いなと思ったのは、私の名前、電話番号だけではなく、メールアドレスまでセットで把握されていたこと。
しかしこれらは調査用に使っているものなので、どこかしらの詐欺サイトに入力したものが、そのまま詐欺師界の中でグルグルと回遊しているのだと思われる。
だが、そんなことはどうでもいい。
私が気になるのは、彼が何人(なにじん)で、どこから電話をしているのか? ということ。ウンウンと話を聞きつつ、一瞬の隙をついて聞いてみた。
すると彼は意外にも、拒むことなく様々なことを教えてくれた。名前はパヤン。モンゴル人で、首都ウランバートルから電話しているとのこと。
なぜモンゴルなのかといえば、本社はイギリスにある(←たぶんウソ)のだけれど、時差の関係でモンゴル支社にいる彼が日本に電話しているそうな。
モンゴルか……。これまでいろいろな国に行ってきた私だが、モンゴルは未踏の地。どんな空気なのか。どんな食べ物を食べているのか……ハッ!
チャーハンはどうなんだ?
チャーハン大国・中国に接している国なのだから、モンゴル式チャーハン、あるのでは? 居ても立っても居られなくなった私は、単刀直入に聞いてみた。
「モンゴルにチャーハンはありますか?」と。
するとパヤンは教えてくれた。モンゴルには「オタテホール(?)」という名の、チャーハンみたいな料理が存在すると。
ほとんどチャーハン。でもちょっと違うらしい。具材は牛肉、ネギ、ニンジン、そしてジャガイモ。これらを米と一緒に炒めた料理、それがモンゴルチャーハン・オタテホールなのであると。
心なしか、詐欺の話をしている時より、パヤンの声は楽しそうだった。「チャーハン好きなんですか?」と世間話をするような雰囲気にもなった。
チャーハン話が落ち着いたところで、ふたたびパヤンは詐欺話の続き。しかしパヤンが一息ついたところで私はチャーハン話でカットイン。
お互いが話したいことを話し、ふと気づけば30分以上も電話していた。最終的には、「これから仕事があるから」と、会話をエンディング方面に向かわせた。
最後にあらためて「オタテホール」の話を振ると、私のつたないモンゴル語の発音が面白かったのか、パヤンは笑いながら丁寧に発音についても教えてくれた。
いつぞやか、海外の詐欺師たちに私の料理の写真を見せたら、みな一瞬だけ「素」に戻り、率直な感想が返ってきたことがある。
人は、食べ物の前では素直になる。
パヤンは「またかけますね」と言っていたが、もう詐欺の電話はかけないで。がんばって覚えた日本語を、そんなことに使わないで。
きっとパヤンは、根はイイ奴。詐欺をしなければならない状況・環境にいるのが、なんともせつなく、そしてかなしい。
パヤンが次にモンゴルのウランバートルでオタテホールを食べる時、チャーハンの話ばかり振ってきた日本人(私)との会話を思い出してほしい。
楽しそうにオタテホールの話をしていた自分のことを、どうか思い出してほしい。
執筆:迷惑メール評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24.
こちらもどうぞ → 『GO羽鳥の【実録】迷惑メールシリーズ』
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]
GO羽鳥


【詐欺師のレシピ】第5回:まさかの具材が激ウマ! 韓国の国際ロマンス詐欺師J.pY式「レタスもやしチャーハン」
【詐欺師のレシピ】第7回:過去最高の完成度! 奈良から来た詐欺師の「牛のチャーハン」は九州で流行る予感!!
【詐欺師のレシピ】第3回:儲け話は、お茶の転売。国際ロマンス詐欺師かなえ式「魚のフライの中身チャーハン」
【詐欺師のレシピ】第2回:闇バイト的な日給3万円の副業あっせん詐欺師ユリ・メグミ式「たまねぎチャーハン」
【詐欺師のレシピ】第6回:さすがは海鮮がウマい釜山(プサン)の詐欺師!「白ワイン海鮮チャーハン」に感動…!!
かつやがコッソリ始めたグランドメニュー「トンテキ丼」が意外とテクニカル
【実録】東南アジアで仕入れたものを日本で売れば素人でも利益が出せるのか? 2年間の戦いの結果
回転寿司の「チーズ創作寿司」が深いから食べ歩いてみた結果 → 密かにぶっ飛んでるチェーンがあった
【福袋2026】珍しい業務用アイテムも! エバラ「おいしい福袋」は新しい味を求めるチャレンジャー向け
【超お得】楽天の「食品ロス福袋」が予想以上だった!この量でこの価格は…/ 福袋2026
【本日発売】「ローソンの福袋」(2160円)があまりにパンパンに詰まってて、持って帰るのちょっと恥ずい
【中国渡航自粛】ガチ中華だらけの上野・アメ横に行ってみたら → 取材拒否の連続に…
【値上げ検証2025】スーパーとコンビニで「全く同じもの」を買ったら価格差はいくらになるのか → 絶望が待ち受けていた
【抽選結果速報】ケンタ福袋2026の抽選に編集部20人で応募してみた → さすがに泣いた
【地獄の空気】あんなオペレーションが悪い「有名飲食チェーン店」は初めてだった
中国「渡航自粛要請」から2週間が経った京都市内「祇園」「清水寺」「錦市場」の様子を見に行ってみた
中国「渡航自粛勧告」から1週間経った、東京・浅草を見に行ってみた
中国の「渡航自粛勧告」から2週間、現在の「奈良公園」で目の当たりにした意外な光景
【納得】ガストの「ジョブチューンで唯一不合格だった」メニューを食べてみた → 不合格にする気持ちがわかった
【検証】10年間ほぼ毎日飲んでる「コーヒー」を1週間断ってみたらこうだった
【は?】楽天で見つけた「在庫処分セール半額おせち」を買ってみた結果 → 届いた数日後にブチギレかけた
【雑草対策】カインズで598円「撒くだけで防草できる人工砂」の効果がヤバ過ぎた / お財布にも環境にも優しい超画期的アイテム
【検証】「スタバはどのサイズを頼んでも量は一緒」という動画が出回る → 実際に試してみた
【事故】楽天で買った『訳ありB級フルーツ福袋』を開封した翌日、妻から信じられないLINEが来た「メロンが…」
寂しさに耐えきれずマッチングアプリを始めたら、8割がロマンス詐欺師だった 〜46歳独身の告白〜
【詐欺師のレシピ】第8回:かつてない異国感! 怪しい副業あっせん詐欺師ゆみこの「香り爆発牛肉チャーハン」
【詐欺師のレシピ】第11回:うまい話はウソだが、ロマンス詐欺師・晴子の「和牛チャーハン」は本当にうまかった
【詐欺師のレシピ】第4回:これ一番ウマイかも…! 国際ロマンス詐欺師かなえのカーチャン式「台湾チャーハン」
【詐欺師のレシピ】闇バイトを斡旋する「迷惑LINEの石川さん式チャーハンの作り方」が革命的に美味で感動!
【詐欺師のレシピ】第10回:裏切りの味 / 詐欺師コーディネーターかおりの「切り干し大根のエビ豚チャーハン」
【詐欺師のレシピ】第9回:炒飯クロスカウンター被弾! デートクラブ詐欺師ゆきこの「ハルピン腸詰チャーハン」
新連載「最強火力のカセットコンロ」とコンビニ商品だけでチャーハンを作ってみる第1回:セブンイレブン「焼豚モリモリ炒飯」→ 連載存続の危機(100万円の古民家64)
【チェーンのチャーハン行脚】第2回:ぎょうざの満洲の「チャーハン」(550円)は、やさしさに包まれていた
【国際ワン切り詐欺?】サンピエール島・ミクロン島とセーシェル共和国からの電話に折り返したらこうなった
【超簡単オートミールレシピ】米化なし! 「お蕎麦屋さんで教わった “まかないチャーハン” オートミール版」の作り方