コロナ禍真っ只中の頃、冷凍食品の無人販売が爆発的にヒットした。中でも餃子は凄まじい加速度で店舗を増やしたものだが、今は随分と落ち着いてきたように感じる。

そんな無人販売は次のフェーズへ。ラーメンを併設したり、もつ煮込みを売ったりといろんなスタイルが試されているが、注目したいのが2024年11月に都内でオープンした「有名シェフの晩ごはん」なる冷凍食品専門店だ。

・ガチの有名シェフたち

「有名シェフの晩ごはん」の店舗では有名シェフが開発・監修しこだわり抜いた冷凍食品やレトルト食品、そしてセレクトした各地の高品質な逸品を取り扱っているそうな。

名前そのまま、そしてなんだかお高そうな気がするなと思ったのはさておき、東京は中野区鷺ノ宮にある店舗にやってきた。

どれどれ、どんな感じのお店なのかな……って、うわぁぁぁぁ!!!!


な、ななな、なんと……


日本橋の名店「たいめいけん」の茂出木シェフ!!!!


ガチの有名シェフが降臨していて、軽く興奮してしまった。スーパーの冷凍商品コーナーに行けば高確率で遭遇するだけに、その顔を知っている人も多いのではないだろうか。


ちなみに有名シェフは全部で4人で茂出木シェフ、それから……

「ファイヤーホール」五反田店、「4000 Chinese Restaurant」南青山オーナーシェフの菰田欣也(こもだきんや)氏。そして……


「オステリア・ルッカ東4丁目」のオーナーシェフである桝谷周一郎氏、恵比寿にある日本料理店「賛否両論」の店主・笠原将弘氏だ。


全員が店出し顔出し名前出しのフルコースというのは自信の表れと考えていいだろう。これは自ずと味の方にも期待してしまう。

・利用してみた

なお、店内は従来の無人販売所で冷凍庫がドンッと置いてあるスタイルだが、支払い方法に関しては少々難しく感じる人もいるかもしれない。

というのも、お賽銭スタイルの現金払いから進化。スマホでバーコードを読み取ってサイト上で決済するようになっていたのだ。

対応しているのは各種カード、もしくはPayPay。このあたり普段からスマホを触っていれば問題ないだろうが、疎い人だと戸惑うかも……と注意点をお伝えしたところで食べていこう!

まずは「たいめいけん」から。ナポリタン、コロッケ、ハンバーグ、オムライスとあるなかから、圧倒的に売れていたオムライスを食べてみた。


これで900円かぁと思ったら中には2つ入っていたから実質1つ450円。レンジで加熱するだけで出来上がりなのは楽チンでよい。


食べてみると、シンプルで過度なことをしていないのが印象的だ。何もつけずに美味しく食べられるあたり、計算して作られているのがよく分かる。

また、細かいところまで品の良さを感じられるのがさすが。ナイフを入れたらフワッと切れるし、シンプルな料理ながら卵の美味しさ、それから中身のケチャップライスまで味付けがしっかり行き届いていた。

・クセになる中華

まぁ「たいめいけん」はドライカレー、サイコロステーキピラフ、そしてハンバーグなどがすでにスーパーで売られているから安定しているのも納得しかない。続いて中華はどうだ。

直火炒め五目炒飯(385円)、それから餃子(660円)という冷凍食品でおなじみの商品を購入。内容量200gとはいえ、炒飯は良心的な価格設定にも感じる。


エビが入っていて海鮮風味漂う直火炒め五目炒飯は素直に美味しい一品。おそらく中華スープやXO醤あたりの影響だろう。口に入れたら後追いしてくる塩っけがイイ仕事をしていた。

そしてビビったのが餃子だ。最初こそ4個で660円はちょっと高いなとも思ったのだが……


その価値はあった。サイズが9センチくらいの大きさで食べ応えは十分!

しかも、噛んだら肉汁が飛び出す系でスーパーとかで売ってるタイプとは全然違った。肉そのもののパンチ力もあるし、タレとかつけずともデフォで味がついていたのだ。

まるで餃子の専門店のような肉汁の使い方。これが中華の有名シェフかと思わずにいられなかった。

・日本料理

それから日本料理店「賛否両論」はスパイスやラー油、七味などを売っていて他の冷凍食品とは違ったスタイルだった。

今回は鰹だし香る和風カレー(648円)を購入。実際に食べてみると……


サラサラしたスープ系のカレーで細かいタマネギが心地よく、口の中に鰹の香りが広がっていく。


肉は小さいながらホロッとほどけて……と上品なカレーであった。ちなみに食べ方は丼スタイルを推奨していて、カレーからちょっとした荒さが垣間見えたのもおもしろかった。

残念だったのが食べすぎちゃうラー油(864円)という興味しかない商品が売り切れだったことで、これは次の機会に試してみたい。

でもって、4人のシェフの料理を食べて個人的にもっとも刺さったのが……

・もっとも刺さったイタリアン

イタリアンの「オステリア ルッカ東4丁目」だった。いろんな種類があるなかから選んだのは……


こちらの海鮮トマトパスタ(700円)。実を言うとこの「魚屋がパスタ」なるシリーズ、以前スーパーで売られていたからそこまで期待していなかった自分がいた。だがしかし。


イカや貝といった海鮮系にナス、ブロッコリーなどの野菜、そして軸となるトマトソースが絡めば素直に美味しいし、何よりも味がいいから即リピを決意した。

具材がゴロッと入っているし、麺もまたオシャレ。これが700円……しかも、レンチンだけで完成するのはヤバすぎる。スーパーに置かれていた段階で手にとっていれば……と、ただただ悔やむしかなかった。

・新しい冷凍食品

てな感じで想像を軽く超えていた「有名シェフの晩ごはん」。それにしても、有名シェフの料理を気軽に味わえるのはおもしろい。しかも、洋食・中華・和食・イタリアンと揃っているのが選んで飽きないから革命とさえ感じる。

問題は店舗の数で現在5つか……と思ったら、ECサイトがあるから自宅に届けてもらうことだってできる。いやはや、スゴい時代になったものである。

参考リンク:有名シェフの晩ごはん
執筆:原田たかし
Photo:RocketNews24.

▼支払いはスマホで。これからこのやり方が増えそう

▼スキャンしたら商品が追加される

▼カゴに入れたらピッと支払い