「ラーメンの聖地」と呼ばれる場所は日本全国にあるが旭川もその1つ。札幌の味噌に対し、醤油の旭川だ。事実、『らぅめん青葉本店』などは全国どころか海外からのお客さんも並んでいたりする。
しかし、地元民いわく、観光客は知らない激ウマ店があるという。そこで連れて行ってもらったところ……え? ここで合ってますか?
・アングラ観光案内所
話を聞いた地元民とは、旭川のライブハウス『MOSQUITO(モスキート)』の店長をしている大西さん。バンドマンである私(中澤)はライブツアーで何度もモスキートにお世話になっているのだが、大西さんは生粋の旭川民でライブハウスの店長だけあって、表面に出てこない地元の噂とかにも精通している。
そのため、いつしか謎の旭川情報をモスキートで仕入れるようになっていた。もはや私にとっての観光案内所である。
・闇の観光大使と行く旭川
そんなわけで、闇の観光大使である大西さん率いる観光案内所……もといモスキートの面々と車に乗り込み、謎のラーメン屋に向かった。駅の背を流れる忠別川を越えて爆走する車。駅のこっち側初めて来たー!
それもそのはず、観光客がフラッと歩いて楽しめるようなスポットは基本駅の正面側にかたまっている。こちら側は住宅街の色が濃く、歩いて散策するようなエリアではないのだ。
で、たどり着いた店が『朝吉』。使い古されたサッシのドアと暖簾が非常にローカルオーラを発している。
そのドアの軽さとは逆にガッチリした内装がまた良い味を出していた。こんなの、絶対ウマイ店やん。
ってホルモン屋やんけ!
しかし、気にせず2階に上がっていく闇の観光大使。2階には宴会席みたいな部屋があり、完全に良い感じだ。
・え?
メニューは基本焼肉屋のそれなのだが、確かに隅っこに「ラーメン(550円)」と書かれている。特に推されている感じでもないんだけど、もしやこれが……?
大西さん「そう、このラーメンがウマイと評判なんですよ! 絶対に地元民しか知らないと思うんですけど」
──ホンマか? メニューにおけるラーメンの扱いからすると、なんでもない醤油ラーメンでもなんらおかしくないぞ。
・注文してみた
そこで注文してみたところ、確かに、見た目は片手間という感じがしないラーメンが出て来た。醤油ラーメンだけど、ラードも入っていて豚骨醤油スープなのが旭川っぽい。
一応、らぅめん青葉や天金、蜂屋、みづのなど、旭川ラーメンで名店と呼ばれる店の経験値だけはある私。だが怖いのは、名店しか行ったことがないから名店としか比べられないというところ。
それらに並ばないと「ウマイ」とはならないんだけど、もう1度聞く。ホンマに大丈夫か? これだけウェルカムしてくれてるのに良いリアクションができなかったら申し訳ないな。そんな不安を覚えながらも食べてみたところ……
ウマイんかーーーーい!
豚骨醤油の味の深みはもちろん、煮干しの風味が凄い。そのツーンと来るくらい尖った煮干しの風味はとてもメニューの隅っこにあるようなラーメンの味ではなかった。専門店やがな。
気づけば、モスキートの面々は15人くらいに増えていたのだが、そんなことも気にならないくらいラーメンがウマイ。初めて食べる旭川勢も「これはよくできてる」とガチの反応。
また、食べたことがある旭川勢によるとラーメンだけ食べに来ることもあるそうな。ガチ地元民の噂の店という感じがする。
・されど焼肉屋
ちなみに、焼肉の質も高い。肉がガッツリしていて、厚みがあり、ラーメンがいくらウマくても、肉を食べるとやはり焼肉屋であるということを痛感させられる。ゆえに……
豚丼(550円)もウマイ。
優勝せざるを得ない。もはやその場にいる全員が優勝していた。酒を飲まない私でも優勝できる店、それが『朝吉』である。っていうか……
toeも優勝してた。
インスト中心のポストロックバンドである『toe(トー)』。あんなに尖った人達もここで優勝したのかと思うと感慨深い。あと、toeのサインってこんな感じなんだな。めっちゃ読みやすいところが逆に尖り散らしている。
失礼、思わずバンドマン的な感慨に浸ってしまったが、それほど突然現れたtoeのサインと朝吉の組み合わせが良い味を出していたとご理解いただけると幸いだ。
観光客目線で言うと、ちょっと隠れた場所ではあるけど、ゆえに雰囲気もメニューも最高。そのチョイスは、さすがモスキート、安定のアングラ観光案内所っぷりであった。楽しかったです。お世話になりました!
・今回紹介した店舗の情報
店名 ホルモン 朝吉
住所 北海道旭川市神居4条10-3-8
営業時間 11:00~00:00
定休日 月曜日
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
▼旭川アングラ観光案内所の皆さんです