発売前の最新ゲームをいち早く試遊できる東京ゲームショウ。SNKブースに行ったところ『餓狼伝説 City of the Wolves』の試遊コーナーが作られていた。

このゲームが餓狼伝説シリーズ26年ぶりの新作であることは以前の記事でお伝えした通り。ただ、餓狼伝説が26年ぶりということは、私(中澤)も26年くらい格闘ゲームをやっていないことになる。なぜならば……

・やれんのか

1990年代の格闘ゲーム黄金期時代、私は完全にSNK派で、SNKが没落してから格闘ゲームを触っていないからだ。しかし、一度は倒産にまで追い込まれたSNKが戻ってきただけではなく、餓狼伝説シリーズの最新作まで発売とは胸が熱くなる。やっぱりSNKはキャラ立ちが違うなあ。

一方で、26年もブランクがあるからもはや立ち止まった状態で必殺技を出せるかすら分からない。なにせ、格闘ゲームにハマっていたのも年齢的に考えるとおそらく3~4年ほどではないかと思う。その後26年のブランクはキツイ。

おまけに、最近の格闘ゲームって動きとか展開がめっちゃ早い。要するに、私はコンボなんて夢のまた夢のクソ雑魚なので、試遊コーナーがあるからとほいほい遊べるメンタルではないのだ。公の場でプレイして人に見られるのは恥ずかしいくらい。

・当時のゲーセン

でもなあ。そもそも最近のゲームについていけてないから、一番テンションが上がったのが『餓狼伝説 City of the Wolves』であることも確かだ。というわけで、恐る恐る試遊の行列に並んだ。クッ、全員うまく見えるぜ。

30年ほど前、ゲーセンもこんな緊張感だった。周りから見えるだけに、下手くそなことを自覚している私としてはコインを投入するのにも勇気がいったものである。また、田舎のゲーセンってヤンキーのたまり場だったから、あまり行きたい場所でもなかったし。

ただ、それでも行ってしまうほど、当時の餓狼伝説は輝いていた。大画面筐体でプレイする地元の達人を見る度、憧れたものである。そんな小学校高学年から中学生くらいのドキドキを思い出しつつプレイを開始してみたところ……


うおおおお!


必殺技が出せる!


いや、それどころか……


コンボも余裕で出せちゃう……!!

・ブランクがあっても

これは手が覚えていたとかそういう奇跡ではない。『餓狼伝説 City of the Wolves』にはスマートスタイルという操作設定がある。これはボタンの割り当てが従来の弱中強パンチ/キックではなく、必殺技とかコンボにボタンが割り当てられた新しいボタン設定だ。

難しいコマンド入力を端折って必殺技やコンボが出せるので初心者にも優しい。情報として見ていた段階では、そうは言っても慣れがいるのではないかと不安に思っていたが、ブランクのある私もCPU相手に勝つことができた。そこで取材に同行していたゲーマー・江川資具記者と対戦してみたところ……


勝った!


超楽しい!!!!

やっぱりワイワイ格闘ゲームをするのは良いものだ。なお、江川資具記者は従来の操作方法であるアーケードスタイルの方がやりやすいそうなので、どちらに合っているかは人によるという感じである。

・それぞれの良さ

同類として、現在流行中の『ストリートファイター6』にもモダン操作というものがある。スト6がここまで流行ったのはモダン操作の功績と言われているので、今回の私のようにハードルの高さを感じていたけど、実際触ったら「いける!」とハマった人が多いということだろう。

ただ、あえて1つ思ったことを述べるとすれば、スマートスタイルはコンボのオリジナリティーは出しにくそうだ。私は攻略本とか見ながら自分だけのコンボみたいなのを探すのが好きだったから、スピード感に慣れたらやっぱりアーケードスタイルでやりたくなるかもしれない。

まあ、その辺も含めて、どちらの操作スタイルを選ぶかは、それぞれがどこに面白みを見出すかである。そうそう、思い出してきた。格ゲーって勝つことだけが面白さではなかったよなあ。

・26年の時間を超える

時が経ち、大人になってすっかり忘れていた格ゲーの良さ。『餓狼伝説 City of the Wolves』はそんな26年の時間を超えてあの頃の自分に戻ったような感覚にさせてくれた。

懐古主義ではなく、むしろ最新をいく形で当時の良さも思い出させてくれる本作。チーフプロデューサーの小田泰之(おだやすゆき)さんによると、「今後、大会をどんどん開いていく予定」とのことなので配信も盛り上がってくるに違いない。

スト6はもう発売から1年以上経ってハードルがまた上がってきているので、『餓狼伝説 City of the Wolves』からもう1回始めちゃおうかな……? ガチで欲しくなったゲームは久しぶりであった。

参考リンク:餓狼伝説 City of the Wolves
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

▼実際のプレイ動画