先日、焼肉屋の前で変わった看板を見つけた。そこには「世にも奇妙なバカ舌メニュー」と書かれており、見るからにコレステロール値の高そうな料理写真が。
えーと、これはつまりバカ舌の祭典みたいなものなのかな? 5年ほど前に禁煙に成功して以降、味覚がガラス細工のように繊細になった自分には無関係のキャンペーンのようだが、興味本位で店に入ってみることにした。
・期間限定だった
お店の名前は『大阪焼肉ホルモン ふたご』という。
案内されて席に着き、メニューを開くと後ろの方に発見。これだ。「世にも奇妙なバカ舌メニュー」。
いざ頼もうとすると躊躇(ちゅうちょ)してしまうネーミングである。ただ、2024年10月15日までの期間限定と書いてあるから、今回を逃せばもう食べられないかもしれない。
よし、思い切って注文してみよう。ちなみに、私が訪れた店では、QRコードを読み込むタイプだったのでやってみると……
そう来たか。とりあえず、ここでNOを選ぶと先に進めなさそうのでYESをタップ。そしたら……
うん?
ゲテ!?
なんだこれは? 恐る恐るゲテをタップしてみたところ、出てきたのはこの2つだった。
正直に言おう。私はこの写真を見て、ゲテとは1ミリも思わなかった。まぁ『旨辛ラーメンソースマヨディップ』を見て「カロリーヤバそうだな」くらいは思ったが、『トルコアイスのフリースタイル』は普通に美味そうだ。少なくとも、私はそう思った。
そして何より特徴的なのは、それぞれの料理に添えられている文言である。『きのこチーズまみれ』には「血糖中のコレステロールが増加し、心筋梗塞が起きやすくなる恐れがあります」とあるし……
『糖分オーバードライブ』にも「血糖値が上昇する恐れがあります」と書いてある。罪悪感の煽りがハンパない。
だが、それらを含めてバズを狙った戦略だろう。全然いいんじゃないですか。むしろ、美味そうなもので揃えているあたりは割と良心的なのでは?
たとえば、実際に注文した『和牛バターまみれ(1529円)』。
テーブルにやってきた状態を見たときは「バターの量よ!!」と思ったが……
焼き上がった状態は、ちょっとコッテリ目のすき焼きって感じ。もちろん美味い。
それから、『トルコアイスのフリースタイル(649円)』。
これは軽く衝撃だった。納豆のクセをバニラの甘さが包みこみ、同時に納豆がバニラにコクを与えている。まぁ、納豆が嫌いな人にはオススメしないが、納豆とバニラアイスの相性はかなりいい感じ。
他のメニューも、特に問題なさそう。これ系のキャンペーンって大体1つは「そりゃないだろ」ってものを混ぜてくる印象があるが、「世にも奇妙なバカ舌メニュー」は手加減しながらウケ狙いに走っているという意味で真面目である。つまり、全般的に美味しい……
はっ!
いや、待て!
これらを美味しいと感じるってことは……
私自身がバカ舌……
いやいや、そんなことはない。
ありえない。
たしかに、全般的にコッテリ系のメニューが多いから、中には受け付けない人だっているかもしれない。むしろ、「こういう料理はちょっとね」とかいう方がグルメに映るのかもしれないし、なんなら私だってそう言いたい。
だけど、そこで嘘はつけない。認めざるを得ないのだ。美味いと感じていることを。これはつまり私がバカ舌ってことなのかもしれないが、バカ舌の基準がそもそも曖昧だろ……と開き直りながら店を出たのだった。もうどうでもいいやと思いながら。
参考リンク:大阪焼肉ホルモン ふたご「世にも奇妙なバカ舌メニュー」
執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.