先日「セリアのクッキー型がトリッキー過ぎる」という記事を書いたのだが、訂正させてほしい。

正しくは「セリアの製菓用品は全体的にトリッキー過ぎる」。つまりクッキー型に限らず他のアイテムに関しても、なんだか様子がおかしく思わず首をかしげるような状況なのだ。

本記事ではセリアのアイテムを使って美味しいお菓子を作っているハズなのだが、ちょっぴり閲覧注意な画像が挟まる点に注意して読んでほしい。

・トリッキー過ぎる製菓用品

今回見つけてしまったのは、チョコレートやグミを作るためのモールド(型)だ。

売り場には星やハートといったスタンダードなものもあったのだが、その数を大きく上回る品数だったのが、えらくニッチで「一体どんな人が買うんだろう?」と首をかしげたくなるようなモールド。

例えば将棋の駒や恐竜は可愛い方で、パソコンのキーや虫、推し活グッズ柄など 市販品では見たこともないようなモチーフが取りそろえられていたのだ。


中でも筆者が気になったのが、コチラの2点。

カブトムシ&クワガタムシと、推しへの愛を叫ぶロリポップである。


考えてもみてほしい。チョコレートが虫の形になったとして、果たして食欲が湧くのだろうか?(しかも、なんだか妙にリアルだし)


推しへの愛をチョコで叫んだとして 手作り菓子は本人に渡せないだろうし、どんな意味があるんだろうか?

筆者は二次元・三次元ともに推しを持たない人間なので、このあたりの解像度が低いということもあるが……それにしても、変わったチョコレートであることは間違いない。


材料は板チョコを除き、すべてセリアでゲットできた。

モールド、チョコペン、ロリポップスティックのすべてが税抜100円で買えるので、手軽にデコチョコを作るにはベストといえるだろう。


・推し活は宗教!?

さっそくデコチョコを作っていこう。まずはチョコペンをお湯につけて溶かし、モールドの模様部分に流し込んでいく。

幼虫たちの顔や手足、模様を描きこんで、


推しへの愛をカラフルに彩っていく。

……それにしても、である。


セリアの中の人に聞きたいんだけど、この推し活モールドの文字、あまりにも細かすぎないだろうか!?

特に「優勝」なんて 竹串で点置きしているのにどんどん潰れていくし、そもそも鏡文字だからワケがわからなくなってきた。せめて明朝体はやめてほしい。全部ゴシックにしようぜ、ゴシック!


はじめはそんなことをブツクサと言っていたのだが、一文字ずつ丁寧に進めていくうちに頭から雑念が消え失せ、気が付けばチョコだけに向き合って1時間が経過していた。あれっ、そんなに集中して作ってたの!?


──ここで筆者の脳裏にある記憶がよみがえってきた。

それは学生時代、とあるお寺へ行った時のこと。普段は神や仏をまったく信じていない筆者だが、その日はひょんなことから写経をすることになり 机に向かっていた。


お経の内容はぶっちゃけよくわからない。

しかし厳かな雰囲気にのまれ、さすがの無宗教者も「もしかしたら神様が見てるかもしれないし、自分にできる限りの誠実な気持ちで向き合おう」と、あらん限りの集中力と気力をもって書に向き合った。

あの時も、気が付けば1時間ぐらいが経っていたんだっけ。


もしかして。推し活ってあの日の写経に近いものがあるんじゃないだろうか?


こうして愛を込めてチョコを作ったところで、推しにプレゼントはできない。

だが「○○さんお誕生日おめでとう!」などとSNSにアップすれば推し本人の目に入る可能性はあるし、例え二次元の推しであっても、自分の中のイマジナリー推しに見てもらうことはできる。

自分にできる限りの誠実な気持ちで、丁寧に愛を形作る。まさにこれって、宗教に近いんじゃないだろうか?(違ったらごめんなさい)


そんな新たな発見をしつつ、完成した文字がコチラ。

はみ出た部分も多いが、読めなくもないし許容範囲だろう。


最後に土台となるチョコを流し込んでロリポップスティックを差し込めば、作業完了。

あとは冷やして固めるだけだぜ~っ!


・虫も推し活も意外とアリ

ってなワケで、一瞬悟りを開きながらもセリアのデコチョコが完成した。まずはカブトムシ&クワガタムシから見ていこう。

ちょっぴりリアルなので虫が苦手な方は閲覧注意、目を細めてスルーしてほしい。


残念ながらクワガタムシの足が1本折れてしまったが、それ以外は結構満足のいく出来に仕上がった。

気持ち悪いんじゃないかと心配していたが、意外とカッコよくてアリ。甘い香りにちゃんと食欲も湧くし、子供や虫好きな人へのプレゼントにピッタリだろう。


特に幼虫は、丁寧に模様をつけただけあってキモ可愛くできたんじゃないかな。


続いては推し活チョコ。ところどころチョコペンが剥がれてしまったが、全部読めるからオッケーとさせてもらおう。


特に上手くできたのは、やっぱり文字が大きい「すきぴ」「天使じゃん」「きゅん」の3点。

カラフルな配色&土台をホワイトチョコにすることで写真映えしたので、多少面倒くさくても頑張るべきだろう。

──図らずも推し活の心を知って悟りを開きかけたセリアのデコチョコ作り。残念ながら筆者にはこのチョコを捧げる相手がいないため、1日1個ずつ消費して自分に愛を送ることにしよう。

執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.