千葉県内でも人口が多い船橋市。東京都心へもアクセスが抜群で、生活の利便性が高いとして、人気上昇中の「首都圏ベッドタウン」である。

そして私(耕平)も、この土地に住んで40年以上が経った。子供の頃から1度も船橋市から出て住んだことがなく、地元はある程度知っていたつもりだった。

しかしそんな折、ある情報を耳にする……それは、船橋市に「日本一小さい東照宮」なるものが存在するということだ。果たして本当なのか? さっそく足を運んでみることにした──。

・JR船橋駅から徒歩10分

まず、東照宮について知らない人もいると思うので、簡単に説明しておこう。

東照宮とは、江戸幕府初代将軍・徳川家康が祀(まつ)られている神社のことだ。有名なのは栃木県にある「日光東照宮」だが、実は全国各地に東照宮は点在しているらしい。

その中でも今回紹介する『船橋東照宮』は、全国で100以上あるとされている東照宮の中でも “日本一小さい” と言われている。

場所は以下の通り。JR船橋駅南口から「山口横丁」と呼ばれる通りを5分ほど歩くと、「船橋市勤労市民センター」という建物が見える十字路がある。


そこを左に曲がり、以前食レポした船橋ソースラーメンで有名な「中華料理 大輦 御殿通店 (だいれん ごてんどおりてん)」を通り過ぎて……


1分ほど歩いて、右手にカフェが見えたところに……


「日本一ちいさい 船橋東照宮」と書かれた道標がある。



・小さすぎる東照宮

その先は、まさに住宅地。こんなところに東照宮なんかあるのか?


そんな疑問を抱きながら、歩くこと数十秒後……噂の小さすぎる東照宮が姿を現した!


「えっ? 小さっ!!」


今まで抱いてきた東照宮のイメージを、完全に覆す光景。いや、これはさすがに小さすぎるだろ。敷地の広さは周りの一軒家と、ほぼ変わらない。

そうは言っても、由緒正しい神社だ。まずは鳥居をくぐる前に一礼して、中に入ってみることにした。


鳥居から本殿まで敷かれた、わずか数メートルの参道を歩く。


そこにある第2の鳥居に、堂々と「東照宮」という文字が刻まれている。


その右側には、お稲荷様が祀(まつ)られている「御殿稲荷」があり……


すぐ近くには世にも珍しい、住宅が背景になっている「手水舎(ちょうずや)」も置かれている。

なお、この神社は商売繁盛や交通安全のご利益があるとのことだ。



・歴史

境内を見渡してみると、この船橋東照宮の歴史が記されている掲示板があった。


色々と書かれているが、要約すると……

「徳川家康が現在の東金市方面に狩猟に行く際に、宿泊用として1615年に建設。当時は「船橋御殿」という12000坪のメチャメチャ広い神社だったんだけど、時が経って中心地である、この東照宮だけが残った」


ということらしい。ちなみにこの解説はざっくりとした個人的な解釈なので、ご了承いただきたい。

ただ「日本一小さい」といえども、約400年の歴史があるということになる。それが住宅街の一角に位置しているというのだから、それだけでも驚きだ。



・「日本一小さい東照宮」論争

いかがだっただろうか? 前述の通り私は40年以上船橋市に住んでいるが、子供の頃から今まで、この「日本一小さい東照宮」を知るきっかけがなかった。それこそ、出身中学の学区内にもかかわらずだ。

その一方で地元で「日本一」を新たに発見できたことは、少し嬉しかったりする。


だがここで、もう一つの「日本一小さい東照宮」を名乗る神社があるという情報を見つけた。それは、埼玉県鴻巣市(こうのすし)にある『御成町東照宮』だ。

私は訪問したことがないのだが、ネットで調べるとこの神社の入口にも「日本一小さい東照宮」と書かれている画像があった。

実際にどちらが本当に日本一かは定かではないが、どちらも住宅地の中にある東照宮というだけでも、1つの魅力と言えるのではないだろうか?

今回初めて訪問してみて、日本一レベルで小さい『船橋東照宮』は地元民である私の中で大きな存在になった。また「船橋ソースラーメン」を食べにきた帰りにでも、参拝しようかな……。

参考リンク:船橋東照宮 
執筆:耕平 
Photo:RocketNews24.
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]

[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]