東京、35度超えである。猛暑である。ハッキリ言ってこんな日に外を出歩くのはどうかしているが……それでも! わざわざ電車に乗って「かつや」新商品の発売日に駆けつけるのが、正しき “かつや者” の姿なのである。

そんなワケで、干からびそうになりながら最寄り店舗に辿り着いた私(あひるねこ)。もちろん目当ては本日2024年7月5日より販売が始まった『海鮮たまごチキンカツ』……だった。しかしそこで目撃したのは、掛け値なしの修羅場だったのだ。

・「かつや」新商品

『海鮮たまごチキンカツ』はいつも通り丼(税込869円)と定食(税込979円)の2種類が用意されており、私が注文したのは丼である。詳細が発表された時点で「これは絶対おいしい」と確信した “かつや者” も多いはず。


ふわっと漂うごま油の香り。見るからにとろっとした玉子が食欲をかき立てる。メインの具材であるエビとイカが、思った以上にたっぷり入っているのも嬉しい。


味付けは「かつや」らしく、シンプルに塩だれベースだ。単調っちゃ単調なんだけど、ずっと食べていられるのは、それが芯を食った味だからだろう。これが嫌いという人は、そんなにはいないんじゃないか。



ウマい。実に穏やかでウマい。まるで凪(なぎ)のような時間。たまにはこんな平和な「かつや」もいいものだな。ところが……。玉子をめくった私は、直感的に理解した。


修羅場であると。

・ここから本編

“かつや者” 同志諸君よ、いつからこの『海鮮たまごチキンカツ丼』がまともで大人しい商品だと錯覚していた? もう一度よく見て欲しい。……どうだ? こんな訳ありな他人丼が他にあるか? ここで登場人物を整理しよう。


①海鮮


②玉子


③チキンカツ


言うまでもなく玉子とチキンカツは実の親子である。しかし今回は、血縁関係にない海鮮と玉子がガッツリ結びついている。



まあそれ自体は珍しくないことだと思うが、ここでヤバイのは、その現場にチキンカツが同席しているという事実だろう。以下の相関図をご覧いただきたい。



昼ドラかよ! 何だこの面倒くさいトライアングル!! 先ほど不用意に「平和」と書いてしまったが、海鮮と仲良く戯れる玉子を見て、果たしてチキンカツは何を思うのか? きっと心中穏やかではあるまい。その証拠に……


海鮮玉子が中華風の味付けであるのに対し……


チキンカツがまとっているのは、海鮮玉子とは真逆の出汁のきいた甘旨醤油ダレ。むっちゃ和……! 完全に敵意むき出しである。これでは食事どころじゃないぞ!!



この炎天下の中、わざわざ電車に乗ってやって来たのに、なぜ私はこんな珍妙な修羅場を見せられているのか? そもそもチキンと海鮮が小競り合いしてんじゃねぇ! 生粋の “かつや者” として、私から言えるのはこれだけだ。


お前らもう一緒に暮らせ。

・争うな

ハッキリ言ってこの『海鮮たまごチキンカツ丼』、味に関してなら今年出たメニューの中でも屈指である。何より、海鮮と玉子、そしてチキンカツが織りなす絶妙なアンバランスさ加減が最高なのだ。おかげでボリューム満点の割に最後まで飽きずに食べられた。



海鮮玉子とチキンカツ。別に仲良くする必要はない。世の中にはこんがらがったままでいいこともあるさ。こうして『海鮮たまごチキンカツ丼』に、人生の一つの在り方を見た私だったが……店の外に出た瞬間、暑さですべて忘れたのだった。

皆さん、熱中症にはくれぐれもお気を付けくださいね。ではまた来月。

参考リンク:かつや
執筆:かつや者・あひるねこ
Photo:RocketNews24.

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