今年もこの季節がやって来た。そう「冷やし中華」の季節である。ムシムシと暑い中、ツルリ & ヒンヤリとのどを通り抜ける冷やし中華は最高! 個人的には「中華三昧」の一択である。

それはさておき、その冷やし中華は温めても意外とイケるのではないだろうか? 理由については後述するが、もしかしたら人類は大きな見落としをしていたのでは? 気付いたが吉日、すぐに試してみることにした。

・逆転の発想

ここ数年、飲食業界では「冷やし○○」がちょっとしたブームになっている。「冷やしカレー」や「冷やしおでん」が登場し、もはや「冷やし茶漬け」くらいでは物珍しさすら感じないほど、多くの冷やしグルメが展開中だ。

その極限にある「冷凍ドーナツ」はかなりのウマさで、特にオールドファッションは普通に食べるより絶対にウマい! これはまさに「逆転の発想」の大勝利ではないだろうか?

それなのに、だ。令和になってから6年が経つというのに、なぜ「冷やし中華」は冷たいまま食べられているのだろう? 私も含め大勢の人が「冷やし中華」というネーミングに捉われすぎているのかもしれない。

さらに言えば冷やし中華自身は「俺まだ本気出してないけど?」と思っている可能性すらあるのでは? 令和6年、ついに禁断の「ホット冷やし中華」の誕生だ。



・やってみよう

というわけで、今回はコンビニで購入した冷やし中華をレンチンしてみることに。あらかじめスープだけを取り出し、スープは湯せんで温めることにした。レンチン時間は表記が無いため500Wで3分ほど。すると……



容器がひしゃげてたでござる。


想定はしていたが、そうか。冷やし中華も、まさか自分がレンチンされるとは思っていなかったか。ひとまず電子レンジから取り出し、あとは手早く温めたスープを絡めれば「ホット冷やし中華」の完成だ。

見た目は完全に冷やし中華そのもので、香りも決して悪くない。むしろ冷たい状態よりも温かい方が香りは広がる。ここまでは「ホット冷やし中華」の1歩リードと言えるだろう。



・結論

で、一口食べてみると……はい、わかりました。結論を申し上げる前に肝心なことだけお伝えしておくと、味自体は決して悪くない。加熱したことによりタレの味は微妙に変わっているが、それも誤差の範囲であった。

また、具も美味しさはさして変わっていない印象で、むしろチャーシューは加熱した方が本来の良さが出ていたのではないだろうか? 温められたきゅうりもそこまで気にならない。

一方で「麺」に関してはかなり劣化していた。ツルツルとした食感こそキープしていたものの、コシの無さは比べ物にならない。要するに「伸びきった麺」のような状態である。

それでも食べられないほどではないが、美味しいとも思えない伸びきった麺。歴史的発見かと思われた「ホット冷やし中華」であるが、初めて食べてみた感想はただ1つだけ。


わざわざやる必要は、ない。


──完──


執筆:P.K.サンジュン
Photo:Rocketnews24.