東福寺と言えば……京都駅から祇園四条駅まで行く途中で乗り換える駅。そういう印象だった。そばにあるビッグなお寺の名だと把握してはいたが、寺はスルーし続けていたのだ。
しかし、ちょうど2024年の夏のキャンペーンを開始した「そうだ京都、行こう。」のプレスツアーで、ついに訪れたところ……うぉぉおおお! これほどのものが見られるとは……!!
・東福寺
京都に観光に行った事のある人で東福寺の名を知らぬものは、例え外国人でも少ないのではなかろうか。
京都駅から清水寺や八坂神社付近へ電車で行く方法を調べると、だいたい東福寺駅で乗り換えるルートが示唆されるからだ。
秋には境内にある橋の1つ、臥雲橋から撮った紅葉の写真がSNSで毎年バズりまくっているため、その方面から認知している人も多いかもしれない。今の時期も木々の青さが極まっていて見応えがあった。
臨済宗東福寺派の大本山であり、創建は1236年。広大な境内地と多数の文化財を有しているため、今さら紹介の必要など無さそうなくらいにビッグなのだが……今回紹介する部分については、見たことのない人も多いだろう。そう、三門の内部だ。
・至宝巡り
外からであれば、いつでも眺め放題の巨大な三門だが、内部は一般非公開。しかし1日5組限定の特別拝観「東福寺の至宝巡り」で、見ることが可能な場合があるのだ……!
微妙に歯切れが悪いのは、時期や行事など各種事情で拝観コースが変わるそうなので。
ただ、私がお寺に聞いた時点での予定だと、しばらくは光明宝殿と三門、本堂の3か所を、約1時間半ほどかけて回るスケジュールとのことではあった。いちおう予約の際に三門がコースに含まれるか聞くと良いだろう。
詳しくは東福寺の公式HPで確認していただきたいが、その「東福寺の至宝巡り」は1人5000円から。
直近の拝観コースである本堂内部には天井に凄まじいサイズの「蒼龍図」が描かれており
「光明宝殿」の内部には平安時代や鎌倉時代に作られた重要文化財の仏像などが複数収蔵されている。
これらをお寺のスタッフによるガイド付きで、少人数でゆったり見て回ることができるのだ! 終わったら抹茶も出るもよう。充実度がヤバすぎるだろ!!
・三門
そして三門だ。なぜ私がここだけ特別扱いしているのかというと、三門内部は本当に圧巻で、ギアの入り具合が違ったからだ。
まず、門自体が東福寺にある建造物では唯一の国宝である。現存する禅寺の三門の中では最も古いのだそう。見ての通り、門が3つある仕様。
上にあがることができて、内部には宝冠釈迦如来と脇侍の善財童子および月蓋長者、そして十六羅漢像が安置されている。扉が開いて合計19体の像が並ぶさまを目にし詠嘆しない人間はいないだろう。
見どころは像だけではない。室町のレジェンド画僧 吉山明兆らによる天女や迦陵頻伽(上半身が人、下半身が鳥の生物)、文様などが柱と天井を埋め尽くしているのだ……!
しかもこの空間のそれらは、鮮やかさがダンチ! 室町クオリティがだいぶ良く残っている。剥離防止措置こそとられているが、そもそも頻繁に解放されない空間だから劣化が少ないのではないか……とのことだった。
内部の柱や梁も、力強さと美しさの両方を感じさせる仕上がり。屋根は見た目にも明らかに重い。それを支え続けられる構造は伊達ではない。
そもそも同様の形式(五間三戸二階二重門)の三門自体が、そう多くない。これほどのものを見られる機会は限られているだろう。東福寺の三門内部はガチだ! 東福寺まで来てこれを見ずにいるのは余りに勿体ない。
参考リンク:東福寺、そうだ京都、行こう。
執筆・撮影:江川資具
写真:JR東海、東福寺
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▼門からの眺めも圧倒的だぞ! こちらが本堂方面。
禅堂は最古にして最大で、中世から残るものでは唯一だそう。その向こうには東寺の五重塔と京都タワーが見える。新旧タワーの共演だ。
足利義持の筆による「妙雲閣」(みょううんかく)の扁額。