コンビニに行ったところ入口にどん兵衛新商品が大きく展開されていた。カップ麺のコーナーではなく、いつもキャンペーン商品とかが置かれている場所のため目についたのである。しかしこれは……

「辛」と大きく書かれた文字に山盛の真っ赤な辛味料。パッケージの辛さ推しが半端じゃない。辛いものが苦手な私(中澤)的には天敵と言っても過言ではないだろう。普段なら絶対買わない。だからこそ、食べてみた

・自分を変えたい

私がどれくらい辛いものが苦手かと言うと、ココイチの1辛が限界なレベルである。2辛になるともう味とか分からない。あとお腹も壊す

そんな私がこの「辛どん兵衛特盛きつねうどん(税込307円)」を食べてみようと思ったのは自分を変えたいから。今までと同じことを繰り返していたら同じ人生が続くだけ。人生を変えたければ自分らしくないことをしろ!

そう自分に発破をかけながら、どん兵衛にも熱湯をかけた。ぬるま湯に浸かってんじゃねえ!!


・色がすでにヤバイ

ちなみに、このどん兵衛は、スープも辛味料も後がけタイプ。辛味料の袋の大きさが液体スープの袋と同じくらい大きいのが特徴的だ。これだけ大きければさすがに真っ赤になりそう。


と思いきや、液体スープからすでにヤバイ色してた


怖い怖い怖い! 辛味料入れてないのにすでにまっかっかだ……!! ちなみに、このスープはパッケージによると豚だしらしい。ジャンキーである。


さらに、辛味料の「特製辛鰹粉」を混ぜてみたところ……


最初から赤いからあまり変わらない……!

エヴァンゲリオンの海かよ……! その景色を見て、自分が何をしているのか分からなくなった。私は何のために辛さを足しているのか? むしろ、辛さとは何なのか? 僕はカヲル、渚カヲル。君と同じ仕組まれた子ども、フィフスチルドレンさ。理屈ではない辛どん兵衛特盛きつねうどんはもはや哲学的なものすら感じる。


・辛さのATフィールド

たった数分の調理で色んなことが頭をよぎった。とてもカップ麺を作っているとは思えない。とは言え、カヲル君も登場したことだし物語もクライマックス。麺がノビないうちに食べないといけない。そこで食べてみたところ……


辛ッ


ビリビリくる辛さで味がほとんど分からない。ただ、奥の方に少しだけどん兵衛がいる気配がしてそれが気になった。そこでもうひと口食べてみたところ……

辛ァァァアアアッ!!


辛さがATフィールド張ってる。でも、奥のどん兵衛の味が気になる! 届きそうだけど、届かない。気づけば、にじむ汗。ほてる体。どん兵衛は向こう岸の存在だよ、我々にとってはね──。そんな加地さんの声が聞こえた気がした。



・決戦

本当にそうなのだろうか? 辛どん兵衛特盛きつねうどんは遥か彼方のどん兵衛と書くのだろうか? 目の周りが濡れたのは汗だったのか、それとも……。これが最後だ! イッケェェェエエエ!!


この大空に翼を広げ飛んで行きたいよ


悲しみのない自由な空へ


翼はためかせ


行きたい

気づけば戦いは終わっていた。油揚げを食べた時、一瞬ATフィールドが中和されどん兵衛がその姿を現したが、基本私がボコボコにされただけであった。

だが、なぜだろう? 心地いいのは。外に出ると6月の風が爽やかに私を包む。そこにいたのかユイ……。


・辛さはいい

酷い戦いだった。しかし、変わったこともある。たった1つ残った口のヒリヒリした痛みに、誇らしいような、ちょっぴり気恥ずかしいような気持ちを覚えながら私はトイレの扉を開けた。ここから私はもう1度生まれ変わるのだ。


辛さはいいね。


リリンの生み出した文化の極みだよ。


そう思わないかい? 辛ジくん


<辛世紀エヴァンゲリオン終劇>


執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.