いきなりこんなことを申し上げるのもどうかと思うが、私はここ数年、完全なる「丸亀製麺派」である。丸亀と出会う前と後では、うどんを食べる頻度が全く違う。今さら丸亀抜きの食生活は想像しにくい。
そんな丸亀っ子の私なので、チラホラと話題になる『資さんうどん』にも大して興味は持っていなかった。……が、最近福岡県に出かける機会があったので「人生で初めての資さんうどん」に挑戦してきた次第だ。
・読めない
当サイトでもたびたび記事になっている『資さんうどん』。正直に告白すると直接店舗を訪れるまで「資さんうどん」を「しさんうどん」を読んでいたことをお伝えしておく。いや、すけさんとは読めなかった。
さて、調査によると『資さんうどん』は、福岡県北九州市発祥のうどんチェーン店とのこと。「北九州のソウルフード」として福岡県を中心に68店舗を展開しているようだ。
そもそも福岡県のうどん文化が独特であることは、少年時代から「クッキングパパ」を見て育った私はよく存じている。ざっくり言えばバキバキのコシよりも、やわらかさを重視するのが福岡流という理解だ。
・やわらか系(困惑)
ぶっちゃけ、うどんに限らず「やわらかい麺」が好みではない私。なので当初は「美味しくなかったら書けないからボツになるかもな~」なんて思っていた。……が、資さんうどんは私の想像を軽く凌駕していったのだった。
で、私が訪れたのはJR小倉駅からほど近い店舗。かなり座席数があるにもかかわらず、12時にはきっちり行列が出来ているではないか。その顔触れは地元のサラリーマンから観光客までかなり多彩な印象である。
注文したのは『資さんうどん』の基本中の基本と聞いた「ごぼ天うどん」で価格は490円。実はその直前にも食事をしていたため、まあまあお腹がいっぱいの状態で “初資さん” を迎えることになってしまった。
10分ほど待ち、到着したごぼ天うどん。クリアなお出汁の中にそびえ立つゴボウはなんと5本! 早くもそのコスパの良さにはビビらざるを得ない。え、待って。資さんうどん、メッチャ安くない?
・ウソ?
ただし、大事なのは味。もっと言えば「うどんの味」である。まあでもやわやわなんでしょ? ちょっと伸びちゃってる系なのかな? なんて思いながらうどんを食べてみると……
え、シルク?
真っ先に頭に浮かんだのは「絹(シルク)」というワード。服の素材で言うならば「ポリエステル」でも「コットン」でもなく、王族に献上されるかのような極上のシルクである。
そのなめらなかさはどこまでも優しく “伸びてる感” が全くないことには驚いた。あまりにソフトな口当たりは、まだ乳幼児だった頃の娘の肌を思い出さずにはいられない。
また単純に「やわらかい = コシが無い」というワケではないこともよくわかる。少なくとも水分を吸い過ぎた “ブヨブヨ感” は一切ない。スッと一瞬で口に馴染むというか何というか。いや、これはこれでウマいわ……!
・お恥ずかしい
丸亀製麺のうどんがゴリゴリの男性ボディビルダーだとするならば、資さんうどんのうどんは新体操の女性選手。どちらもアスリートであることは変わりないが、その方向性は全く違っていた。
また私自身が一瞬で資さん派に転身することはないものの「丸亀と資さんの選択肢がある環境は最高だな」と率直に思った。その日の気分に合わせ「丸亀 or 資さん」を選べる極上のうどんライフをいつの日か過ごしたい。
当然、キリッと辛口のお出汁も、とんでもないボリューム & アツアツのごぼ天も文句なしのウマさ。加えてこっそり注文していた「ぼた餅(160円)」に関しては、毎日食べたいくらいウマい! 資さんうどん……死角が見当たらねえ。
というわけで、結果的には己の浅はかさを思い知ることになった、初めて資さんうどん。聞くところによると福岡には「牧のうどん」や「ウエスト」もあるとのことなので、いつかそちらも挑戦してみたい。
参考リンク:資さんうどん
執筆:P.K.サンジュン
Photo:Rocketnews24.