フランス発の冷凍食品ブランド『picard(ピカール)』は、日本国内にも約10店舗を展開する人気店。日本だと「ちょっと高くてオシャレな冷凍食品」という位置付けだが、本場フランスでは「味の素の冷食」くらいのノリで売られている印象である。

日本のピカールで買えるのはパスタ、グラタン、クレープ等といったオシャレ洋食。しかしフランスのピカールでは、逆にアジア系の料理や食材も豊富に取り揃えられているのだ。今回パリを訪れた私は『ピカールの冷凍チャーハン』を体験してみることにしたぞ。逆に!

・ピカールのシーナ料理

これがピカールの冷凍チャーハン。

フランスのピカールには「世界の料理シリーズ」的な枠があり、これはその中国編という位置付けらしい。

中国を表す「チャイナ」は英語だと「china」だが、フランス語だと「Chine」と表記するようだ。読み方は「シーナ」。初めて知った。

中国シリーズには肉まんもあったので併せて購入……と思ったら、よく見ると「ベジタリアン向け」と書かれている。

この形状の食い物に肉が入っていないパターンを、我々アジア人はなかなかイメージしづらい。わざわざ中国の名を冠したうえでベジタリアン向けにする必要はどこにあるのだろう? 考えても一生分からないと思うが、気になるところではある。



・食べてゆく

気になるので先攻は肉まん、もとい野菜まん。

業務用ですか? ってくらいシンプルな包装。中身を皿に並べて2分チンする。

ピカピカで美しい肉まん、もとい野菜まん。

わぁ〜! 皮フワフワでおいしい! 中の「あん」はシイタケの風味が強く味が濃いため、言われなければ肉無しだと気づかないかもしれない。中華料理っぽさはあまり感じられないが、ベジタリアンもそうでない人もオヤツ感覚でパクパクいけちゃうことだろう。



・異国のチャーハン

それでは本命のチャーハン。日本の多くの冷凍チャーハンと同様、皿に広げてチンするタイプ。

「900Wで3分加熱」とある。日本のレンジにはそもそも900Wという設定が無いものも多い。

米の細長さが完全にタイ米のソレ。調べたところ、中国ではインディカ米(細長い米)とジャポニカ米(短い米)の両方が生産・消費されているのだそうだ。この時点で少なくとも、日本のチャーハンとは別モノである。

まぁ、なんにせよ長らくフランスパン生活を送っている身の上として、久々の米食は素直に嬉しい。さっそくいただきま〜す!


くっせぇぇぇぇええええええ!!!!!!



・くさすぎた

え? なにコレ? くさい。すげぇくさい。ここでいう「くさい」とは必ずしもネガティブな意味ではなく、「いかんともしがたいアジア料理のにおい」というニュアンス。

若干ネガティブに例えるとすれば “アジアの市場の肉コーナーのにおい” といったところだろうか。具材の肉がニオイの正体か? と思ったら、どうも違う。グリンピース、にんじん、卵にいたっては無味無臭。

だとすれば、残るは米……? いや、これも違う。ちなみに米はラードをまぶしたタイ米って感じで、正直全然おいしくなかった。じゃあ、ニオイの正体は何? ……ウッ! くせぇ!!!

結局においの正体はつかめなかったが、ポジティブに捉えると “ガチガチのガチ中華のにおい” と言えるかもしれない。「おいしい豚骨ラーメンはくさい」的なノリだ。果たしてこの商品はフランス人向けなのか、それとも現地に住む中国人向けなのだろうか?

日本人にはちょっと判断が難しいが、フランスのピカールへ行ったら興味本位で試してみるのもアリっちゃアリ……かもしれない。

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.