じゃんけんのかけ声は一般的に「じゃんけんぽん! あいこでしょ!」である。もしくはかの偉大なコメディアン、志村けんさんによって世に広められた「最初はグー!」がつく場合もあるだろう。これはいわば一般ルールであり、日本における共通認識のひとつだ。しかし地方に行けば、そのかけ声も微妙に異なる。

実際にどう違うのか? 当編集部のメンバーに子ども頃のじゃんけんのかけ声を尋ねたところ、私(佐藤)の地元島根県だけブッチギリでおかしくて泣いた。うちだけだったのか……。


・じゃんけんのかけ声

この話は、「都道府県別 全国方言辞典」という興味深い辞典がきっかけだった。北は北海道から南は沖縄まで47都道府県の特徴的な方言が紹介されている


私も島根の方言をパラパラと見ていたところ、意外な言葉が方言であると気づいた。50年間、それを方言だと疑ったことがなかった。その言葉というのがじゃんけんのかけ声だったのだ。

西日本を中心にそのかけ声を使われていると思っているのだが、実際はどうなのか? それを確かめるため、当編集部のみんなにじゃんけんのかけ声を聞いたところ、以下の回答を得た。


北海道(あひるねこ) 「最初はグー、じゃんけんぽん」
東京(羽鳥) 「じゃんけんぽん」
東京(Yoshio) 「最初はグー、じゃんけんぽん」
千葉(サンジュン) 「じゃんけんぽん」。たまに「いんじゃいほい」「ちっけった」
埼玉(砂子間) 「じゃんけんぽん」「じゃんけんほい」
群馬(古沢) 「最初はグー、じゃんけんぽん」。もしくは「グーパージャス」
和歌山(瓦野) 「じゃんけんぽん」「じゃんけんほい」「じゃいけんほい」。たまに「いんじゃんほい」
大阪(中澤) 「じゃんけんぽん」「いんじゃんほい」「ぐ・ちょ・ぱ」
福岡(原田) 「最初はグー、じゃんけんぽん」
長崎(御花畑) 「最初はグー、じゃんけんぽん」


やはり主流は「じゃんけんぽん」だ。少ないサンプルではあるが、それでも全国的にこれが占めていると見て間違いない。「最初はグー」は冒頭で述べたように、志村さんが生み出したじゃんけんの新しいリズムとして、しっかり浸透している。


「じゃんけんぽん」に次いで見られるのが、「じゃんけんほい」「いんじゃんほい」だ。決まった分布があるのかと思ったら、千葉でも大阪でも使われているようだ。

珍しいところでは古沢の挙げた「グーパージャス」。グーとパーは分かるがジャスは何なのか? 彼いわく公平を意味する「ジャスティス」とのこと。何を理由にジャスティスが持ち出されたかは不明である。

そのほか、御花畑よると長崎ではあいこの場合、「あいこでしょ」のあとに「しょっしょのしょ」と続き、さらにあいこが続くと「しょ」を連呼するのだとか。



・島根のかけ声は……

さて、私の地元のかけ声はこれらと全然違う。かすりもしてないし、被りもしていない。リズムこそ一緒だが、使う言葉がまったく違うのである。

では、発表しよう。島根のじゃんけんのかけ声はコレだ!


「やっきっき」


あいこだった場合はこうだ!


「きーのっき」


一般的なかけ声ではないのはうっすら感じていたがここまでとは……。よそで、このかけ声を使わないことにむしろこっちが驚いている。結構ショックだ……。



このほかにも地域ごとに独特なかけ声は存在するはず。皆さんの地域ではどんなかけ声でしたか? 教えて頂けるとありがたいです

じゃんけんだけでなく、子どもの遊びのかけ声には、地域ごとに特徴的なものがもっとありそうだ。さらにリサーチして再び報告したいと思う。ではまた次の機会に……。

執筆:佐藤英典
Photo・イラスト:Rocketnews24