浅草は東京の観光名所のひとつ。浅草寺を中心に仲見世や花やしきなど見どころが多く、外国人観光客に絶大な人気を誇っている。落語や漫才などの大衆演芸の歴史も古く、「浅草演芸ホール」「東洋館」は “東の笑い” の中心地といっても過言ではない。
そんな浅草で、お笑いライブのビラ配りをしている若手芸人の姿をよく見る。気になったので、劇場に行ってみたらめちゃくちゃ面白かった! ただ私は個人的少し気になることが……。
・浅草リトルシアター
ビラ配りは「奥山おまいりまち」の通りと「ホッピー通り」の交差点でよくやっている。この界隈は飲食店や食べ歩きのお店が数多く立ち並んでいて、昼間でも人通りが多い。観光客に紛れて、若手芸人の皆さんは熱心にビラを配っているのだ。
どこでライブをやっているのか? ビラを1枚もらって尋ねると、交差点からすぐの「浅草リトルシアター」でやっているとわかった。
世界で1番小さな劇場、こんなところにあったとは。何度もこの通りを歩いていたはずなのに、気づかずにずっと素通りしていた。
「爆笑! お笑い六区 笑う門には福来る」、ビラには総勢約70組のイラストが記載されていて、出演者は日替わり。各回10組ずつ出演するとのことだった。
1回目が11時にスタートして50分間。以降10分休憩を挟んでライブは6回行われる。一般入場税込1500円、途中入退場可能で、再入場することもできる。
・気が付けば声を出して笑っていた
11時の回の途中から入場した。平日昼間ということもあってか、お客さんは私を入れて3人しかいない。他のお2人はご年配の女性の常連さんだった。なぜ常連とわかったかというと、あるコンビの「今日初めて来られた方~?」との問いかけに挙手したのは私だけだったからだ。
プレッシャーを感じずにはいられない。どう考えても、お客さんよりも出演者の方が多い。登壇する芸人さんたちに、めちゃくちゃ見られている気がする。見ているはずのこっちが見られていて、緊張してしまう……。
その緊張は知らない間にほぐれていた。世間的にあまり知られていないとはいえ、日々ステージで研鑽を積んでいる皆さんだ。たとえ少人数が相手でも惜しみなく実力を発揮して、こちらの笑いを上手に引き出している。
正直なところ、そこまで期待していなかった。だが、気づけば声を出して笑っている自分がいる。自分の笑い声の大きさに驚いてしまったくらいだ。
それぞれの持ち時間はどれだけおおむね5分。その間に、私のような初見のお客さんの心をつかまないといけないわけだ、上手いコンビは、最初の一言目からつかみに来て、一瞬で場の空気を作る。それに感心している間に、もう笑わされていた。
申し訳ないが、ここまで笑わせられるとは思っていなかったので、とても得した気分になれた。少しだけ見てシアターを出るはずが、2回目の10組をフルで50分間見てしまい、それが本当にアッという間の出来事に感じられたのである。
・そう呼ばれる歳なのか……
大変満足したのだが、個人的にほんの少しだけ気になることが……。
先にも述べたように、新規の客は私だけ。全3人のうちの1人だから、どうしても目立ってしまう。で、演目中に私に話が振られることが何度かあったのだが、その時に私はこう呼ばれていた。
「あちらのおとうさん」
おとうさん……。まあたしかに、私のような白髪の50歳に「お兄さん」とは呼びづらいだろう。否めない、そういう歳であることは否めないのだが、芸人さんに「おとうさん」と呼ばれると、現実を突き付けられてるような気がして、ちょいと心苦しい。もう少し若い気でいたいのだが……。
それはさておき、もう1つ気になることがあった。それは、10組も出てくると芸人さんの名前が覚えられない。面白かったコンビは、名前だけでも覚えていきたいのに、最初の呼び出しでコールされて、登壇時に「〇〇で~す!」と言ったきり、再度名乗ることはあまりないので、「あのコンビ、また見たいけど、なんて名前だっけなあ……」となってしまった。
わずか5分の持ち時間でも、名前を覚えられるようにしてもらえるととても有難い。とにかく、また機会をみつけて見に行きたいと思う。普段素通りしているという人も、チャンスがあれば、一度ご覧あれ。
・今回訪問した施設の情報
名称 浅草リトルシアター
住所 東京都台東区浅草1-41-7
時間 11:00~17:00(爆笑! お笑い六区)イベントによって時間は異なる
定休日 木曜日