びっくりした。インド人に「カレーが最強にウマかった」とオススメされた店に行ったところ、券売機にカレーがなかったのである。
とは言え、店はここで間違いないはず。これは一体? そこで店員さんの話を聞いてみたところ……マジかよ!?
・話を聞いたインド人
またもや私(中澤)をびっくりさせてきたインド人は、言うまでもなくへマント監督。北インド・ウッタラーカンド州出身で現在は日本在住の映画監督である。
本人いわく、あまり気にしないタイプなので牛肉も豚肉もOKという彼。それゆえか、日本のカレーも普通に食べられて、なんなら「インド料理屋よりココイチの方がウマイ」と証言している。詳細な理由については以前の記事をご確認いただけると幸いだ。
・インド人「最強にウマかった」
さて置き、そんなへマント監督にここ最近で1番ウマかったカレーを聞いてみたところ、「最強にウマかった」と下北沢のある店をオススメされた。下北沢と言えばカレー激戦区。インド料理屋も日本カレーもいっぱいある。いっぱいありすぎて選べないくらいだ。
そんな中、インド人はどんな店をオススメするのだろうか? インド料理屋? それとも日本カレーの有名店? と思いきや、へマント監督のオススメしてきた店に行ってみたところ……
まさかの担々麺専門店だった。
その名も『金威(かむい)』。下北沢南口商店街の坂の途中に、丸亀製麺と隣の店の間に階段だけの入り口がひっそり開いている。その階段を上ると、確かに2階の踊り場に「営業中」の看板が出ていた。
・びっくり
下北沢にはよくある形式の店ではあるものの、へマント監督よくここに飛び込もうと思ったな。日本人でも何気なく入るような感じではないぞ。入口の隠れ家感にそう思いながら扉を開けたところ、衝撃が私を襲った。
券売機にカレーがないッッッ!
え~と、金威特製担々麺(980円)、五目海鮮餡かけ焼きそば(1300円)、四川麻婆豆腐と白米(980円)……左上から順に確認しても、カレーはない。何周確認しても、そこには担々麺や麻婆豆腐が並ぶばかり。一体何が起こっているのか?
・まさかの
びっくりしすぎて立ち尽くしていると、店員さんが声をかけてくれた。「あっ、カレーですか? 券売機にないので口頭で注文してください」と。まさかの裏メニュー!?
そこで口頭注文してみたところ価格は1100円。店内の雰囲気は担々麺の名店として知られていてもおかしくないオーラがあるだけに、おそらくこの店に入った人はとりあえず一発目は担々麺を注文してみるのではないだろうか。そんな中華料理屋で口頭だけで注文できるカレーとは? その正体はこちら。
カレー? いや、麻婆茄子? カレーと言われずに目の前に出されたら、頭をひねってしまいそうな見た目である。じゃがいもが入っていてカレーっぽいソースなのだが、周りに染み出した油分とゴロッとした茄子、ミンチ状の具材がソースの一部になっている感じに麻婆茄子がオーバーラップするのだ。
・味
カレー半分、麻婆茄子半分という感じの1品で、見た目からオリジナリティーを感じたのだが、食べてみると味も相当特殊であった。まず、辛みはカレーよりも麻婆寄り。舌がシビシビする辛さが非常にビビットである。
それでいて、コクはカレー。しかも、普通のカレーのコクではなく、松屋のカレーくらい濃厚なコクがある。ゆえに、スプーンが止まらず、汗が噴き出してきた。
しかしながら、肉はゴロッとした鶏肉が入っており、ふんわりとパクチーみたいなハーブ系の香りが漂っているところには中国より下のアジアっぽさも感じられる。
・インド人「発明」
という風に、ひと皿で多国籍を感じさせるんだけど味がまとまっているのが凄い。そう言えば、へマント監督はこのカレーについて「発明」という言葉を使っていた。「インドにも似たようなカレーはあるけど、この店のカレーはうまく調合されすぎている。あまりにウマイ」と。
なお、店長に話を聞いてみたところ、カレーは来週で終わるのだそうな。幻のカレーやん。
・来週まで
最後に、店の外観を改めて見たところ、メニュー看板の横にカレーの看板を見つけた。どうやら『ザラクカレー』という名前のようで、説明によると中華とネパールの融合なのだそうな。「専門店を超える味!」と書かれているが、専門店どころかインドを超えていたなんてお店の人もびっくりだろう。
それにしても、まさか、下北沢にひっそりある町中華でインド人も衝撃を受けるカレーが味わえるとは。奇跡ってあるんですね。食べてみたい人は、繰り返しになるが展開が来週4月1日週までなのでご注意を。
・今回紹介した店舗の情報
店名 美食天堂 金威
住所 東京都世田谷区北沢2-14-3 喜多ビル 2F
営業時間 11:00~16:00、17:00~22:00
定休日 火曜日
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.