令和6年能登半島地震によって、酒どころである石川県奥能登地域の酒蔵は大きな被害を受けた。東京新聞の1月の記事によると、11の酒蔵のうち少なくとも8の酒蔵は今期の酒造りが困難だという。

そんな中、奇跡的に地震の破損被害を免れた日本酒が販売されていることを知り、購入してみた。能登町にある「数馬酒造」の『NOTO』という銘柄だ。

・能登の日本酒

先月の話。メールをチェックしていると、『能登地震 復興支援品のご案内』というタイトルが偶然目に留まった。どうやら以前ご紹介した日本酒のサブスク「saketaku(サケタク)」から届いたメールらしい。

そこには今回の地震によって「数馬酒造」が大きな被害を受けたこと。「数馬酒造」のブランド『NOTO』シリーズの多くが、奇跡的に地震の破損被害を免れたこと。

そして、それらを復興支援として一斉販売することが書かれていた。売上金の一部は能登地域全体支援のため、日本赤十字へ寄付されるという。もちろん生産者の方々の直接的な支援にもなる。


能登の日本酒をおいしく飲むことが支援に繋がるのなら、日本酒好きの一人として飲まない手はないだろう。

というワケで、『NOTO 純米大吟醸 2023 無濾(ろ)過生原酒』という商品を購入してみた。価格は税込3280円、送料990円である。原料米は石川県産の五百万石で、精米歩合は48%だ。



よくぞ割れずに私(あひるねこ)の元まで辿り着いてくれたな。それではさっそくいただきます……と思った次の瞬間、横にいた妻の口から予期せぬ一言が飛び出す。


「この日本酒、前にも飲んだことなかった?」


ええ? 気のせいじゃない? 2023って書いてるよ? と返すも、妻は『NOTO』という名前に間違いなく見覚えがあるという。そこで昔の画像を掘り起こしてみたところ、衝撃の事実が明らかになった。

なんと今から約7年前、結婚前の妻と初めて旅行に行った時に飲んだ日本酒が『NOTO 純米大吟醸』だったのだ。画像を拡大してみると、デザインこそ異なるものの、『NOTO』とはっきり書かれている。


・原点との再会

すると私の中に当時の記憶がサーっとよみがえってきた。そうだ、そういえばそうだった。あの時、妻と一緒にホテルの部屋で『NOTO』を飲んだんだ。

当時の私は日本酒の知識をほとんど持ち合わせておらず、純米大吟醸がどういうお酒なのか、他にどんな種類があるのかもよく分かっていなかったが、口に含んだ瞬間の『NOTO』の華やかな香りがとても印象的で、日本酒ってこんなにおいしいものだったのかと感動した記憶がある。



それがきっかけで日本酒に興味を持つようになり、いろいろ試すうちに、今では一番大好きなお酒となった。つまり私にとって『NOTO』は、日本酒の先生のような存在なのだ。

まさかあれから7年経って、こういう形で師と再会するとは。不思議な感慨と共に開栓し、ゆっくりと口に運ぶと……


おお……! まるで完熟メロンのような鮮烈な香りが、口から鼻へと一気に駆け抜けていく。甘くなめらかな口当たりとジューシーな旨み、それでいてキレのある力強い味わい。7年前に飲んだ時と何も印象は変わらない。日本酒ってスゴイ……! と改めて思わせてくれるお酒である。


・一歩ずつ着実に

浸水等により酒造りを断念していた「数馬酒造」だが、生き残っていたもろみ(酒米が発酵している状態)が金沢市の酒蔵「福光屋」によって救出され、無事に今年の新酒を醸造することができたそうだ(予約販売中)。



能登へ直接行って応援することはできないが、能登の日本酒を飲んで生産者の方々、そして能登地域全体の復興を支援することは私にもできる。この素晴らしい日本酒が、一人でも多くの人に飲んでもらえることを祈っている。

参考リンク:KINMI Sake東京新聞
執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.