いまスーパーヒーロー映画界隈は、2023年2月23日に公開される映画『マダム・ウェブ』の話題で持ち切りである。残念ながら “悪い意味で” だ。

SNSをほじくれば数多の酷評が出てくるが、ちょっと待って欲しい。評価が出る前に同作を鑑賞した私は「マダム・ウェブ、おもしろかった!」と素直に思えた。

なぜ私とアメリカの批評家たちの感想がここまで違うのか? 日本ウケうんぬんは関係なく「マジで批評家たちの言うことはアテにならんな」と感じた次第である。

・ソニー系のマーベル作品

2月23日(金)に劇場公開される映画『マダム・ウェブ』。本作はマーベル作品でありながらディズニーとは一線を画す「ソニー・ピクチャーズ」系列の作品だ。

ウェブ(糸)が示唆する通り、スパイダーマンのエッセンスが随所に盛り込まれたストーリーであるが、失礼を承知で言うとこれが予想外に最高の出来であった。

当初、私がさほど期待していなかった理由は「マダム・ウェブのキャラ自体が地味すぎる」というもの。原作のマダム・ウェブは戦闘能力が極めて低く、何なら老人であったからだ。

要するに「たまに出てきてスパイダーマンをサポートするチョイ役」としか思っていなかったのだが、それでも映画『マダム・ウェブ』は最高! 正直、普通に泣いたことをお伝えしておく。

・ダコタ・ジョンソンが最高

さて、映画はダコタ・ジョンソン演じるキャシーが「マダム・ウェブ」になるまでのオリジンストーリーが描かれている。また映画の宣伝文句は「マーベル初の本格ミステリー・サスペンス」だ。

実際にはさほどミステリーでもサスペンスでもなかった点はイイとして『マダム・ウェブ』はダコタ・ジョンソンがめっちゃイイ! 天涯孤独な女性が力強く生きる様子を見事に演じ切っていた。

他にどんな作品に出ていたかは全く知らないのだが、それでも映画を観終えて「ダコタ・ジョンソン良かったわ~」という余韻は止まらない。ダコタ・ジョンソン、マジで素敵っス。

加えて将来スパイダーウーマンになる3人のティーンも、それぞれキャラが立っていたのではないだろうか? 大人の女性であるキャシーと、3人のティーンのギャップも上手に描かれていた。

また「スーパーヒーローとしては戦闘能力が極めて低い」という点は原作と同じで、そこが『マダム・ウェブ』の面白さである。ヴィラン相手に腕っぷしの無さをどうカバーしていくのか? この点にも注目だ。

・は?

総じて私は「おもしろかった。人にもオススメできる」と感じて試写会を後にした。「スパイダーマン以外でもソニーは着々とキャラを立てて行っているなぁ~」と思っていた……のだが。

冒頭でもお伝えした通り『マダム・ウェブ』はアメリカの批評家たちから集中砲火を浴びている。見るに堪えない悪口が書かれているが、正直私の感想とは真逆のものばかりで全くピンと来ない。

確かに「アベンジャーズ:エンドゲーム」以降はヒーロー映画がパッとせず、中には「ヒドい」と感じた作品があることも事実だ。……が、ヒーロー映画を一括りにして酷評する風潮はいかがなものだろう?

私の映画の基準は「上映中に長いと感じないか?」つまり「退屈じゃないか?」である。全く映画ツウでも何でもないのだが、それでも劇場に足を運ぶのは映画人ばかりではあるまい。

それとも全ての新作映画が「ショーシャンクの空に」や「ユージュアル・サスペクツ」級の名作だとでも思っているのか? そうだとしたらちょっと強欲すぎやしないだろうか?

『マダム・ウェブ』の酷評を見た私は「批評家なんてアテにならない」と感じたし「自分を信じるだけ」と再確認させられた。感じ方は人それぞれ。私も含めて批評家の言うことなど本当に真に受けなくていい。

そんなことを言ってる私が言っても全く説得力はないのだが『マダム・ウェブ』は大変良い作品である。約2時間退屈することは無かったし、普通に泣いた。

世の中は情報であふれている。どんな感想を抱くにせよ、意地悪な気持ちを持たず「フラットな視線で自分がどう感じるか?」が大切だと感じさせられた『マダム・ウェブ』であった。

参考リンク:マダム・ウェブ公式サイト
執筆:P.K.サンジュン
Photo:[c] & TM 2023 MARVEL.

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