地元をよく知るタクシー運転手さんにオススメのお店を紹介してもらうシリーズ。真冬の仙台へやってきたのだが、今回ばかりはさすがの私も、牛タン屋へ連れて行かれる覚悟を決めていた。だって仙台といえば、牛タン以外は考えにくいもんなぁ。
が……ちょっと思いもよらない理由で、牛タンにありつくことが困難と判明。その結果、私は牛タンの100倍くらい味わい深い体験をすることになったのである。ここに記すことは仙台旅行の有益な立ち回りなので、みんな絶対にマネしてほしい!!!
・仙台駅周辺 混みすぎ問題
仙台駅の中には『牛たん通り』『すし通り』と呼ばれるレストラン街があって、名だたる牛タン店が勢揃いしている。
運転手さんに「牛たん通りへ行きなよ」と言われたら、その時点で企画が終了してしまいそうに思われた。
が……
どの店も、気絶しそうに混んでいるのである。
牛たん通りのみならず、駅周辺の牛タン屋も軒並み大行列。ってか、牛タン屋以外も全部混んでいる気がする。この日は日曜日。平日はどうだか知らんが、少なくとも土日の仙台駅周辺は、他地方と比べてランチ難民化率が圧倒的に高い。
ところが意外にも、これが逆にコトをスムーズな方向へと導いた。私がタクシーに乗り込み「オススメのお店へ……」と言い終わるより先に、運転手さんのほうから「あぁ、どこも混んでるからね。乗りなよ」と歩み寄ってくれたのである!
実は本シリーズで非常に多いのが「お店が近いから、歩いて行ったほうがいい」と乗車を断られるケース。そこへきて仙台には “駅周辺の飲食店が激混み” という説得力の高い事情が存在するため、じつに都合よくタクシーグルメにありつくことが可能だったのだ。
仙台旅行を計画している方、 “駅周辺の店が混んでて入れません作戦” はマジでオススメ! マネしていいよ!!
・仙台の人って優しい
ちなみに仙台の数ある牛タン屋の中で、運転手さんのオススメは『たんや善治郎』らしい。「県外に出店していないので、観光客にも勧めやすい」とのこと。こんど空いてる時に行きます!
運転手さんに「(運賃の)予算はいくら?」と聞かれ、「2000円くらい」と答えたところ、ほぼ2000円ジャストで目的の店に連れて行ってくれた。仙台駅から北西へ約20分。毎度ながら「こんなことがなければ、この道を通ることは生涯なかった」と考えると感慨深い。
ハイ! こちらが運転手さんイチオシのお店『中華れすとらん とらの子』。牛タンほぼ確状態から、よもやよもやの中華料理店である!!
・郊外の超人気店
運転手さんいわく、ここは地元の人なら誰でも知ってる超人気店。「僕はいつも酸辣湯麺(スーラータンメン)を注文します」だって! 了解しました!
店内ほぼ満席。メニューをひらくと、ひときわ大きな酸辣湯麺の画像の横に「一番人気!」と書かれている。『食べチャイナ天丼セット』も死ぬほど気になるが、あの優しい運転手さんを裏切るワケにはいかない。
ってことで、こちらが『とらの子』の酸辣湯麺(税込1045円)。
卵、キクラゲ、シイタケ、エノキ、菜っぱ、タケノコ、ネギ、豆腐……私の知っている酸辣湯麺よりかなり具沢山な気がする。さっそくいただきま〜す!
Oh!!! 大胆なコショウの利かせ方!!!
酸辣湯麺といえば一般的に “酢の酸味” が特徴的な食べ物だが、この酸辣湯麺は酸味より先に強烈な “コショウっ辛さ” が来る。ちなみに私は黒胡椒をホールでキロ買いするほど気合いの入ったコショウ大好きっ子。このダイナミックなコショウづかいは中華では滅多にお目にかかれないレベルのものであり、感動の涙を禁じ得なかった。コショウ苦手っ子はいきなり「ズズッ」といかないよう注意な!
万人好みの中太麺がスパイシーなとろみスープと絡んでメチャクチャおいしいが、私がこれまで食べたどの酸辣湯麺とも違う味がするため、酸辣湯麺として論じていいのか分からない。これって、何の味なんだろう? シイタケがポイントな気もするが、自信はない。
よく分かんないけど、とにかく非常にクセになる味であり、酸辣湯麺ファンなら一度は食べてみるべき! 近所にあったら週2で通うタイプの町中華だ。
・仙台が好きすぎて
半分食べ進めたところで「お好みでどうぞ」と置かれた黒酢で味変。
うん、これはこれでウマい。なお黙っていたが先ほどから発汗がヤバい。お会計を終えて外へ出ると、吹きすさぶ仙台の北風が、サウナの水風呂みたいに心地よく感じられたものだ。
とらの子のもう1つの名物は『かき丼』らしい。これは果たして「かきどん」と読むのか、それとも「かきどんぶり」なのか? 次回来たときに確認してみよう。
ちなみに……実は私と運転手さんは、皆さんが想像している以上に意気投合していた。「帰りも送る」と言ってはばからない運転手氏は、なんと私が酸辣湯麺を食べ終わるのを待っていてくれたのである。
そして私が「仙台でロクに観光をしていない」と話すと、仙台屈指の観光地だという大崎八幡宮(国宝)へ寄り道してくれた。こんな『男はつらいよ』みたいな展開、ある!? 辺境の田舎町とかならいざ知らず、大都市たる仙台でこのクラスの人情を体験できるとは思わなかった。
なにはともあれ、仙台が死ぬほど大好きになったタクシー旅。私は生まれて初めて運転手さんと連絡先を交換したのでした。仙台、また来るよ〜!
・今回ご紹介した店舗の詳細データ
店名 中華れすとらん とらの子
住所 宮城県仙台市青葉区中山5丁目19-13
時間 11:30〜15:00、17:00〜21:30(平日) / 11:30〜21:30(土日)
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24. / Googleマップ
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