かねてから疑問に思っていたのだが、たこ焼きの具材はイカではダメなのだろうか? 同じことが気になっている人は他にもいるようで、たとえばライターのK.Masamiは2023年9月公開の記事で検証している。
しかし、これは自分の舌で確かめないと気が済まない。なにせ、私(佐藤)は たこよりもイカの方が断然好きだ。きっとイカにした方が美味いに決まっている!
というわけで、イカを具材にしたたこ焼き……いや、イカ焼きを作ってみたところ、真理にたどり着いたのだった……。
・イカでもいいんじゃないか?
早速、たことイカをそれぞれ調達しようと買いに出かけたところ、意外と苦戦した。どこででも買えそうなものだが、たこはあるけどイカはなかったり、イカはあるけどたこがなかったりで、3~4軒のスーパーを回ってようやく2つを買い求めることができた。
大概のスーパーにあるイカは、「イカそうめん」なんだよね。たこ焼きにするのに、イカそうめんは向かん……。
さらにたこ焼き粉などを調達して、調理開始。まずは卵と水、たこ焼き粉を合わせて生地を作り、たこ焼き器に流し込む。紅しょうが・ねぎを散らして、たこ・イカをそれぞれ放り込み、あとは頃合いを見てひっくり返して、焼き上がるのを待つだけだ。
そういえば伝え忘れていたが、私はたこ焼き素人である。西日本(島根県)出身とはいえ、粉もの文化圏(関西)の影響をまったく受けていないので、たこ焼きもお好み焼きも馴染が薄く、こだわりもない。
そんなわけで適当に粉を合わせたもんだから、なんかたこ焼きっぽくないものができてしまった。ベビーカステラみたいでんがな。
カットしてみると、生地がフカフカ過ぎた。おそらく水が少なすぎて、パン生地みたいな仕上がりになってもうたやんけ。コレはコレで美味しいけど、本来の主旨に反するので、ちゃんと計量して作り直すことに……。
改めて粉と水を正確に計った上で、試作を作って生地の具合をたしかめておこう。今度は良い感じで焼けてるみたいやな。
カットしてみると、さっきよりもずっといい。水の量は分量通りだけど、もう少し水を足しても良いんやろか? 関西の人、どないでっしゃろ?
とりあえず、この生地で行きましょう。1回失敗しちゃったから、たこ焼きを焼くのに丸1日を費やしてしまった。正直、舐めてました。たこ焼き難しい……。
今度こそ、ちゃんと焼けた。さて、私ひとりでは食べ比べを評価するのに心細いので、大阪出身の中澤星児にも意見を求めることにした。
たこ焼きの出来栄えについて中澤は「悪くないっすね。ちょっと焼きすぎかも。もっと早めに上げちゃった方が、中がトロトロで美味しくなると思います。これでも悪くないっすけどね」と、1日を費やして苦戦した私の労をねぎらってくれた。たこ焼きは遜色のないものに仕上がったと考えていいだろう。
それで本題のイカ焼きを食べたところ……、「物足りない」と感じてしまった。正直、イカの存在感があまりない。油断すると、イカを認識する前に飲み込んでしまったりする。私の想定では、たこよりも美味くなるはずだったのだが……。
中澤いわく「多分、たこの方がイカよりも歯ごたえがあるから、それで美味しく感じるのかもしれないですね。イカは柔らかすぎるんじゃないかなあ」
なるほど! つまりたこ焼きは、生地のトロトロとたこのコリコリがあるからこそ美味いのか!!
ってことは! もっと歯ごたえのあるものなら、たこをしのぐ美味さを実現できるかも!! そんなわけで、「さきいか」と「焼ほたて貝ひも」、2つの珍味を買ってきた。これならたこを超えられるんじゃないの?
再度たこ焼き器に生地を流し込み、さきいかと貝ひもを投入して焼き上げた。これらは「さきいか焼き」「貝ひも焼き」ってことになるのかな?
食べてみると、さきいかは細すぎて、トロトロ生地の中で泳いでしまってどこに行ったかわからなくなってしまう。具材は塊じゃないと、ふさわしくないようだ。
一方の貝ひもはかなりいい線行ってる! もうひと押しといったところだ。きっとホタテの干し貝柱なら、たこに打ち勝つに違いない! ただし、コストパフォーマンスはとても悪くなりそうだが……。
・真理
ということで、たこ焼きはたこの歯ざわりがあるからこそ美味しく感じるとわかった。それと同時に「たこ焼き」は料理として完成されていて、美味しさに疑問を挟む余地がほぼない。つまりたこ焼きはたこでやるのが1番イイ!
とはいえ、きっとつけ入る隙があるに違いない。魚介類で対抗する必要もないのだから、あらゆる食材で試せば、きっとその牙城を崩せるはず。いずれまた何かで挑みたいと思う。「たこ焼き」からたこを引きずり下ろしたい……。
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
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