税別600円の白州缶ハイボールが発売された2023年夏、その衝撃は忘れられない。ここ最近は入手困難な白州の缶をここそこで目にすることが出来るだなんて。

缶にしては少々値が張るが、そんなことは気にならない、これぞ白州な美味しさ。期間限定販売だったため、記念にと数本ストックして今に至る。

そんなある日、白州ハイボール缶に新作が出たことを知る。2023年12月26日に発売となった『プレミアムハイボール白州〈シェリー樽原酒ブレンド〉』である。


・まさかの新作

ジャパニーズウイスキーは数あれど、これまで飲んだ中では白州が断トツで好きだ。ビターさとスモーキーさ、そして爽やかさとほんのちょっとのフルーティーさが唯一無二。

大瓶を常時家に置いておきたいところではあるが、購入しようにも最近は売っているところをほとんど見かけない。市場に出たら、即買われてしまうのだ。

転売ヤーも多いようで、通常より随分高い値段のものをネットで見ることもある。昔はそこまで手の届き辛い商品ではなかったのに……人気が出るのは嬉しいが、やや遠い存在になりつつあることも事実。

そんな時に登場した缶の『プレミアムハイボール〈白州〉』はまさに救いの神だった。1本税別600円という強気価格ながら、売れに売れたことを覚えている。


飲んでみれば納得で、缶でありながらしっかり白州のあの味。氷を入れて飲むタイプなので2~3杯分あるし、むしろ600円が安すぎて申し訳ない気さえする美味しさ。

冒頭に書いた通り、期間限定販売だったので目にすることがあれば1本ずつ買って持ち帰り、大事に大事に取っている。毎日缶を眺めては開けたいなと思いつつ、もったいないので余程特別な時でないと開栓しないと決めている。だってもう、手に入らないし。

そんなある日、酒屋で缶の白州ハイボールを目撃。売れ残っていたのかと駆け寄ったところ、様子が違っていることに気付く。ラベルに〈シェリー樽原酒ブレンド〉とあり、明らかに前回のものとは別物だ。

……これ、新作だわ。また缶の白州と出会える日が来ようとは。サントリーさん、やってくれるじゃないか。



・飲み比べてみる

新作『プレミアムハイボール白州〈シェリー樽原酒ブレンド〉』は前回同様350mlでアルコール度数9%、税別600円。グラスに氷を入れて注いで飲むタイプのハイボール缶だ。

前回と大きく違う点は、シェリー樽で熟成した原酒をアクセントに加えた〈シェリー樽原酒ブレンド〉であるところ。どれくらい味と香りに違いが出るのだろうか。


確かめるためには、大事に取っているプレミアムハイボール〈白州〉を開けて比べるしかない。正直、開けないまま取っておきたい。新作が出たとはいえ、旧缶はもう売っていないんだもの。1本でも減らしたくない。


しばらく悩んだが、きっと違いを知りたい人もいらっしゃるだろうと、今年一番の思い切りを発動させ開栓。氷を入れて旧缶の液体を注いで飲むと、やはり美味しい。めちゃめちゃ美味しい。


手に入れてから半年の時間が経っているが、全く香りも味も落ちることなく、しっかり白州だ。改めてクオリティの高さに感動し、缶とは思えない洗練された味わいに驚く。

ここからどう変化をつけているのか、興味津々で『プレミアムハイボール白州〈シェリー樽原酒ブレンド〉』も開けてみる。こちらはまだ手に入る可能性があるので、心に余裕をもって開栓することが出来た。

グラスに注いだ瞬間わかる違いがまずひとつ。色が違う。旧缶も黄色がかってはいるのだが、新作はそちらよりやや濃くて深い。旧缶が購入から時間が経っていることを差し引いても、明らかな違いだ。


そして気になるのは味。シェリーもクセの強い酒であるので、シェリー樽原酒をブレンドとなると当然ながら風味が変わってくることだろう。

とは言え、明確にわかるほどの違いはないのでは、なくても絶対に美味しいのでそれはそれで良しなどと思いながら飲んだ新作。なんとまあ……全然違う。

味や香りはもちろん白州だが、余韻(よいん)がすごい。比べるとあの味わい深い旧缶ですら、さっぱり目に思えてくるほどだ。

ビターさとスモーキーさ、フルーティーさ、ひとつひとつの主張が強く、喉にガツンとくるものの、それらを柔らかくまとめ上げている。簡単に言えば、旧缶より全てにおいて濃く感じるのだ。

缶にしては恐ろしいほどに美味しくて、衝撃である。これ以上のハイボール缶はないと思っていた旧缶のイメージを、余裕で塗り替えて来た。


爽やかさでは旧缶にかなわないが、普段白州をストレートまたはロックで飲む人は、恐らく〈シェリー樽原酒ブレンド〉の方が好みだろう。記者がそうだ。

いやはや、かなりの驚きだ。同じプレミアムハイボール白州で、ここまでの変化が出るだなんて。個人的な好みはどちらか選ばざるを得ないのであれば新作だが、どちらが良い悪いというのでなく、どちらも同じくらい美味しい。

もしこの両缶いずれも手に取れる環境であれば、その日の気分で飲み分けたいところである。夏は旧缶、冬は新缶、程良い疲れの時は旧缶、ものすんごい疲れた時は新缶という感じに。

せっかくなのでこちらの新缶もストックしようと、先ほど最寄りのコンビニやスーパーなどに行ったが姿は見えなかった。元から販売していないのか、はたまた売り切れたのか。

旧缶同様、数量限定のため、また各所で人気が勃発しているに違いない。もしかすると、もう出会えないのかもしれない。せめて今手にあるものをじっくり大事に味わおうと、最後の一滴まで奇麗に飲み干した。

参考リンク:サントリー プレミアムハイボール〈白州〉
執筆:K.Masami
Photo:Rocketnews24.
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