日本各地に点在する「レトロ自販機コーナー」。懐かしい軽食や雰囲気を楽しめる人気スポットである。ドライブがてら立ち寄ったことがある人もいるのではないだろうか。

神奈川県にはレトロ自販機の聖地と呼ばれる場所があるが、群馬県にも人気のレトロ自販機コーナーは数多く存在する

たとえば、みどり市にある「丸美屋自販機」。むかしからテレビなどでよく取りあげられている人気スポットだ。今回は全国からレトロ自販機ファンが訪れるという「丸美屋自販機」を紹介していこうと思う。


・群馬の山の中にヒッソリと佇むレトロ自販機コーナー

わたらせ渓谷鐵道「花輪駅」から徒歩約10分、国道122号線沿いに「丸美屋自販機」はある。グンマーらしさ全開のワイルドな自販機小屋だ。


窓ガラスは色とりどりのシールで埋めつくされている。おそらく車・バイク好きの人々がお手製シールを記念に貼っていったのかもしれない。来た証を残したくなるくらい、この場所は魅力的なのだろう。


さっそく小屋の中に入ってみると、どこか懐かしさを感じさせる自販機がズラリとお出迎え。

機体には、オーナーさん直筆の操作ガイドがあちこちに貼り付けられていた。わかりやすくて助かるし、昭和レトロ感が “さらに” 増しているようにも見える。


屋内はレトロ自販機が大半を占めているのかと思いきや、意外にも新しめというか一般的な自販機も結構設置されていた。

ちなみにレトロ自販機のほうは、お札と500円硬貨が投入不可。まわりに両替機が設置されていないので、あらかじめ100円玉や50円玉などを用意しておくといいだろう。


・人気の麺類やトーストをチェック

レトロ自販機のラインナップは主に「うどん・そば」、「ラーメン」、「トーストサンド」となっている。

出てくる料理はすべて手作りらしい。24時間営業のため、1日に何度も補充をしているとのこと。手間暇かかった一品が250円〜300円という安さで販売されているのは驚きだ。

さて、それでは食レポをひとつひとつ進めていくとしよう。


まずは「うどん・そば」。どちらを選んでも「天ぷら」が付いてくる模様。そばもいいが、群馬は “うどん大国” である。今回は『天ぷらうどん(300円)』をチョイス。


硬貨を投入してボタンを押すと……「調理中」のランプが点灯。できあがりまでのカウントダウンがスタートした。

待ち時間はたったの25秒、爆速である。ちなみに、この機体には「当たりくじ」機能が備わっているようだ。

中当たりなら「カボチャ・サツマイモの天ぷら」、大当たりなら「エビの天ぷら」がプラスされるらしい。ハズレの場合は、かき揚げ天ぷらだけがうどんに乗っかってくるのだろう。遊び心があって実に愉快。


はたして具材は豪華になっているのか、やや期待しながらできあがったうどんを手にする。アツアツなので容器を持つ際は若干の注意が必要だ。さっそくテーブル席でいただくとしよう。


かき揚げ天ぷらを添えたシンプルなうどん。

どうやら「当たりくじ」には外れてしまったようだ。麺は、やや太めでモチモチの食感が特徴的。

おつゆは、あっさりとしていて口当たりが優しい。なかなか美味である。ピリッと刺激的な青唐辛子がそのまま1本入っているのもポイント。


うどんを食べ終わると時刻は午前11時ちょい過ぎ。つい数分前まで空いていた屋内が一気に混み始めてきた。人の熱気や厳しい残暑、エアコンなしの狭い空間では汗が滝のように流れ出てくる。そんなときは……


キンキンに冷えた瓶コーラ(120円)!

いやぁ懐かしい……瓶のままグビグビと飲むコーラなんていつぶりだろう。あいかわらずウマいし、ひんやり気持ちいいのでクールダウンにオススメ。


続いては「ラーメン」。具材は唐揚げとチャーシューの2種類から選択可能。価格は両方とも300円……本当に安くて嬉しい限りだ。

どちらにするか迷っていたところ、機体に『唐揚げラーメン』のイラストが貼ってあるのを発見。その可愛らしさに惹かれて、ついつい唐揚げのほうをポチってしまった。


こちらができたてホヤホヤの『唐揚げラーメン』。

むかしながらの醤油ラーメンといった感じで結構おいしい。麺の横には唐揚げが2個添えられている。柔らかくジューシーで歯ごたえがよかった。


ラーメン自販機にも「当たりくじ」機能が備わっていて、当たりだと「煮玉子」、ハズレだと「うずらの卵」が入っているとのこと。

で、筆者が引いたくじは後者。ちょっぴり悔しかったが、「おみくじ」を引くときのようなドキドキ感が味わえて楽しかった。

最後は「トーストサンド」でシメるとしよう。もうそろそろ満腹かと思いきや、不思議とまだイケる。


この自販機はデザインが特にすばらしい。昭和の喫茶店を彷彿(ほうふつ)とさせるポスターが最高。トーストサンドとともに優雅なティータイムを過ごせそうだ。


『ハムチーズトースト』の価格は250円。うどんやラーメンよりも50円安いので、ついつい手を伸ばしたくなる。調理タイムは40秒、麺類に比べてほんの少し長め。


焼きあがるとアルミホイルに包まれた状態で出てきた。

取り出し口に貼ってあった注意書きのとおり、焼きあがりはめちゃくちゃ熱い! ハンカチなどで掴まないとヤケドするレベル。


激アツのアルミホイルを広げてみたところ、こんがりと焼き目のついたトーストサンドがこんにちは。

なんとも食欲をそそる色合いだ。試しにトーストサンドをめくってみる。すると……


チーズがトロットロに糸を引いているではないか!

このビジュアルはヤバイ……見ているだけで唾液があふれ出てくる。サクサク食感のトーストに、まろやかなチーズとハムがベストマッチ。小麦の素朴な香ばしさが口いっぱいに広がるのもポイント。

おいしかったのでもう1枚追加しようかと思ったが、さすがにお腹がいっぱいになってしまった。今度来るときは『ハムチーズトースト』を何回かおかわりしてみたい。

帰り際にお客さんたちの顔をチラリと覗いてみたところ、みな汗だくになりながらも実にいい表情で食事を楽しんでいた。

読者のみなさんも機会があれば「丸美屋自販機」へ足を運んでみてはいかがだろうか。何度でも通いたくなること請け合いだぞ。


参考リンク:みどり市観光ガイド
執筆:古沢崇道
Photo:RocketNews24.
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