「おむすび権米衛」といえばおにぎり(おむすび)であり、おにぎり(おむすび)といえば「おむすび権米衛」である。それほどに、おむすび権米衛は「おにぎり1本で勝負しているイメージ」が強いかもしれないが、実は一部店舗で “たい焼き” を販売している。ご存知だろうか?
かくいう私も数日前に公式サイトを見て「マジで?」となったので、「ご存知だろうか?」などと偉そうなことを言えた口ではない。しかしながら実際に食べると、どうしてもお伝えしたいことがあったので今こうして記事を書いている次第だ。
・販売店舗
現在のおにぎりブームが到来する前から、手作り感あふれるおにぎりを販売していた「おむすび権米衛」。関東圏以外の人には馴染みがないかもしれないが、東京では結構な頻度で店を見つける。
スタバやマクドナルドと同じレベルでどこにでもあるとは言わないものの、ロッテリアと同じくらいは見かける印象だ。気になって調べたところ、「おむすび権米衛」も「ロッテリア」も都内の店舗数は40弱だった(2023年8月4日時点)。
さて、それら「おむすび権米衛」の店舗の中で、たい焼き(正式名称:米粉のおやつ権米衛焼き つぶあん)を販売しているのは西武新宿ぺぺ店とフレンテ仙川店。
今回は西武新宿ぺぺ店に向かった。すると……あったあった。うん、想定通り。
ただ想定外だったのは、『北海道産つぶあん(150円)』の他に『明太じゃがチーズ(170円)』も売られていたこと。
一般的に「たい焼き」と言えば『北海道産つぶあん』の方だと思うが、なぜか『明太じゃがチーズ』の方から「私もたい焼きですけど何か?」という空気が出ている。
なんなら「たい焼きじゃなくて権米衛焼きですけど? 私に対して違和感を覚えるようでしたら、それはあなたが従来のたい焼きの概念に縛られて権米衛焼きを理解していないからですよね? 化石ですか?」と言われているような気さえする。
なんだか自分の柔軟性が試されているみたいで悔しいので、『北海道つぶあん』に加えて『明太じゃがチーズ』も注文。それに店の前でググると『明太じゃがチーズ』もレア商品だと判明したから、「せっかくなので」という心理も働く。
そしてこの「せっかくなので」という気持ちが沼にはまるかどうかの分岐点だった。なぜか。説明するまでもないかもしれないが、簡単に説明しよう。
『明太じゃがチーズ』はほんのりしょっぱい。一方、『北海道つぶあん』はほんのり甘い。よって、『北海道つぶあん』と『明太じゃがチーズ』を同時に注文することで、甘い&しょっぱいの無限ループへと落ちていくことが確定してしまうのである。
『北海道つぶあん』をちょっと食べたら、すぐさま『明太じゃがチーズ』をひと口。それから『北海道つぶあん』とかやってたら……手が止まらん! いつもの5倍食える!!
ちなみに、当初の目的だった『北海道つぶあん』は米粉が使われているからか、普通のたい焼きよりカリカリ感が強めな印象を受けた。普通に美味しい。ただそれを普通じゃないレベルに引き上げているのは、相方である『明太じゃがチーズ』の存在。
つまり、おむすび権米衛のたい焼きに “沼る” かどうかは、注文の際に「せっかくだから『明太じゃがチーズ』も頼んどくか」となるかどうかで決まると言っていい。
そしてレア商品だからこそ「せっかくだから」という気持ちが生じやすいのだ。そう考えると、おむすび権米衛が『北海道つぶあん』と『明太じゃがチーズ』を店舗限定にしているのは理にかなっているように思う。
実にお見事。これはもう、おむすび権米衛の上手さに脱帽だ。──と、沼に沈み込みながら思ったのだった。
参考リンク:おむすび権米衛・米粉のおやつ権米衛焼き「つぶあん」「明太じゃがチーズ」
執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.
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▼こちらがたい焼き(米粉のおやつ権米衛焼き つぶあん)。それほど大きくはないが、独特の食感で美味し
▼あんこは尻尾の真ん中くらいまで入っていた
▼ダークホースだった『明太じゃがチーズ』
▼手で割るとこんな感じ。あんこと合わせると、無限ループが発生する