見た! 見たぞー!! スタジオジブリの新作『君たちはどう生きるか』を! 宮崎駿10年ぶりの長編作品がついに本日2023年7月14日に公開されたのである。

特報や予告など広告を一切出さなかった本作。内容について触れると全てネタバレになると言ってもいいだろう。ゆえに、面白みが損なわれないように気をつけているものの、これから書く内容にはネタバレも含まれている。何の情報も入れたくない人は閲覧注意でお願いします。

・映画館の様子

ジブリファンの私(中澤)は新宿バルト9の公開初日一発目8時30分から見て来たのだが、8時に着いた時点では売り切れている回はなかった。とは言え、ほとんどの回が「◎」ではなく「〇」で、19時20分からの回は「△」になっている。

そこで当日券購入のため、座席指定の項目に進んだところ、端は空いているけど真ん中側はほぼ満席。平日朝一でこれほど映画館が埋まっているのを久しぶりに見た気がした。これは今週土・日は厳しいかもしれない。

・垂れ幕とかパンフレットもなし

また、映画館においても広告類は見受けられなかった。あるのはバルト9外の上映中作品が並ぶ看板と、シアター入口の上映作品ポスターのみ。もちろん、どちらも描かれているのはすでに公開されている鳥みたいなヤツだ。

それにしても、絵だけ見ると「この映画を観に行きたい!」とはならない絵である。鳥だしな。でも、外に出るたった1枚のイラストという重要ポジションに顔出ししているということは主人公なのだろうか?

・この先ネタバレあり

もし鳥とか動物しか出てこない物語だったら少なくとも私の趣味とは違う。では、実際どうだったのかと言うと……おっと、ここから先は閲覧注意。オチとか重要なことは言わないけどネタバレを含むため、間違って開いちゃった人は回れ右してくれ。念のためスペースも開けておこう↓

















・始まり

では気を取り直して。宮崎駿10年ぶりの長編作品『君たちはどう生きるか』……その主人公はちゃんと人間だ。物語は戦後すぐの日本で、母親を火事で失くした御曹司・眞人(まひと)が主役の物語である。

時代設定的に『風立ちぬ』を連想する人も多いだろうが、出だしの雰囲気はまさにそんな感じ。暗めの色調も似ており「こっちか」と思った。壮大なファンタジーで育った駿チルドレンなので『風立ちぬ』の至極現実的な世界観は個人的にはなんか違うんだよね。

でも、木造の階段を駆け上がるシーンや、人波をかき分けて走るシーンのスピード感はさすが。どっちだろうと、始まってすぐに一発かましてくるところにはジブリっぽさがある。魅せ場ここかな

と、リアルタイムで見ている時は、正直そんなことを感じてしまったのだが、全部観終わった今こう言わずにはいられない。「そんなふうに考えていた時期が俺にもありました」と。とんでもないぞコレは。

・バッドトリップ

そう言えば、公開前の情報でも「冒険活劇ファンタジー」とされていたが、冒険活劇はまだしも、あの出だしからまさかガチのファンタジーになってしまうとは。これは何かの夢だ。バッドトリップだ。

例えるなら、『風立ちぬ』だと思っていたものが『となりのトトロ』になり『千と千尋の神隠し』になって『風の谷のナウシカ』になる感じ。その入口になるのが人の言葉を話すアオサギ。そう、ポスターのアイツである。

そして、アオサギの登場から世界が浸食されるようにファンタジーに引きずり込まれていく。こういった世界の切り替わり方で言うと個人的には『千と千尋の神隠し』がスタジオジブリベストだったが、現実世界が並列して存在感を放っている分、本作は怖さが尋常ではない。もはや新たな扉を開いている

・集大成か

それでいて、これまでの宮崎駿も感じられるのは前述の通り。これは本当に最後の長編になってしまうかもしれない。集大成と言われても納得の出来だったからだ。昔の作品はもはや思い出補正がかかってしまって並べられないけれど、少なくともここ20年の宮崎駿で最高の作品だと思う

ちなみに、私が確認できた範囲で映画の情報を言うと、作画協力に「スタジオカラー」「ufotable」「STUDIO4℃」「Yostar Pictures」の名前があった。あと、主題歌は米津玄師。

・賛否両論ありそう

見終わった後、完璧というよりも勝負している印象を受ける本作。1つ衝撃を受けた点をあげるならラストだろうか。どうやって着地するのか気になって注目していたらラストがかなり衝撃的だったのである。嘘だろ……!

ガチのネタバレになるからどんなシーンかは伏せるが、とりあえず私はこう思った。「この2時間は夢だったんじゃないか……?」と。あれはひょっとしたら賛否両論あるかもしれない

そういう部分も含めて、スタジオジブリの『君たちはどう生きるか』は語られる作品であると思う。宮崎駿ファンは必見の映画なので、気になる方は自身で目撃することをオススメしたい。

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]

▼見終わった直後の投稿がこちら