海外のネットを見ていたら「日本アニメの影響が凄い」と話題になっている映画があった。『クリードⅢ』というハリウッドのボクシング映画なのだが、試合シーンと色んなアニメとの比較動画も話題になっており、『はじめの一歩』や『ナルト』からの影響を感じ取る声もあがっている

さらには、監督兼主演のマイケル・B・ジョーダンさんもインタビューで『はじめの一歩』や『ナルト』『ドラゴンボール』に影響を受けたことを公言している。ちょっと面白そうやんコレ。アニメ好きである私(中澤)は興味を惹かれたわけだ。

・『ロッキー』シリーズ

そこで調べてみたところ、2023年5月26日に『クリード 過去の逆襲』という邦題で日本公開されたばかりの様子。映画館もTOHOなどの大きいところでやっていてハリウッド映画という感じの展開だ。

っていうか、『ロッキー』シリーズだったんだコレ。『クリード』は『ロッキー』の王者アポロ・クリードの遺児であるアドニス・クリードの話で『クリードⅢ』はその3作目。アドニスがチャンピオンを引退してからの話である。

・良いところ

クリードシリーズは存在自体を知らなかったので、念のため、これまでのストーリーを調べた上で見に行った。ビッグタイトルだし海外ネットの話題を見た後なので、満員の可能性も考えていたが、5月29日新宿バルト9の11時からのドルビー上映の客は私含めて3人であった。めちゃ見やすい。

映画の内容は全然ついていける。また、ロッキーシリーズだけありストーリーも分かりやすいのは良いところ。Ⅲから見ても、「誰やねん」とはならずに入っていける

さらに良かったのは、始まってすぐに試合シーンが一発来ること。私のように、試合シーンの噂を聞いて見に来た人にとっては、早々に求めていたものに出会える構成になっていてストレスがない。

そして、その最初の試合シーンにおいて、アドニスがレバーブローを決めるシーンがあるのだが、このシーンはたしかに『はじめの一歩』のガゼルパンチの描写がデジャビュった。


・う~ん

ただ、動き自体は普通にボクシングにある動きなのでアニメ的かと言われるとピンと来ない。確かに、顔のアップや部分のアップが頻繁に入るカット割りとか、グルングルン回るカメラアングルとかは臨場感があるけど、なんかアニメ的というよりも『マトリックス』的に見えてしまう

マトリックスのアクションもアニメに影響を受けているから広い意味ではアニメ的と言えるんだけど、音楽で例えるなら、THE YELLOW MONKEYしか知らない人がグラムロックに影響を受けましたと言ってる感じがしてしまった。いや、イエモンは好きなんだけどね。

・日本アニメのバトルについて考えたこと

というわけで、アニメ好きの私は正直言うと、「もろ日本アニメっぽい」という感覚にはならなかった。ナルトとかドラゴンボールの影響に関しては普通に見た感じ全然わかんない。まあ、それゆえに、アニメ好きじゃない人も見られる作品になっているかもしれないのだが。

日本のアニメやマンガのバトルってカット割りも大事かとは思うが、個人的には展開に合わせて回想でキャラの裏の気持ちが垣間見える感じが熱いのだと思う。

マイケル・B・ジョーダンもインタビューでそれっぽいことには触れているのだが、それにしては試合の外で語りすぎなように感じた。試合自体がもっと長く局面がコロコロ変わって、その局面の流れの中で物語が語られていったなら、私でももっと日本アニメ感を感じられたかもしれない。

とは言え、これはあくまで日本アニメっぽいかどうかという視点で見た時の話。映画がダメという意見ではないことを追記しておきたい。気になる方は自分の目で判断してみてくれ。

参考リンク:クリード 過去の逆襲
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

▼映画『クリード 過去の逆襲』予告編