本日、5月5日はこどもの日。別名「端午の節句」で、男の子の健やかな成長を祝う日である。
屋根より高い鯉のぼりも、最近は見かけることが少なくなってしまって寂しい限りだが、お子さんがいる家庭は思い思いにお祝いしているだろう。おめでとうございます!
さて、こどもの日に食べるお菓子といえば「柏餅」だと思うが……私の地元・長崎では柏餅とは別のお菓子を配っていた。
・鯉の形の「鯉菓子」
長崎には、端午の節句に「鯉菓子」なるものを配る風習がある。
名前のとおり、鯉の形をしたお菓子なのだが、これを男の子の初節句のお祝い返しとして配るのである。
これがなかなかリアルなサイズ感で、さらに鯉のヌメッとした質感も再現されており、ギョッとするような見た目なのだ。ちなみに、外側は求肥でできていて、中にはあんこが入っている。
柏餅みたいに、こどもの日だからってみんなが買って食べるわけじゃない。お祝い返しで配られるお菓子なので基本は受注生産。親戚に男の子が生まれたらもらうことがある……って感じ。
長崎では4月の中旬から鯉菓子のチラシやサンプルがお菓子屋さんの店頭に並び始めるので、それを見ると「そろそろ、こどもの日か〜」と思っていた。
ちなみに、なんで鯉の形かというと、「滝を登り切った鯉が龍になった」という中国の故事から、鯉は出世の縁起物とされているそうな。そして、鯉が急流を勢いよく上っていく様子を男の子の成長と出世になぞらえている……といった説明もあった。
・他の地域にもあるのか?
所変われば風習も変わる……。自分の地元しか知らなかったら、それが「当たり前」として過ごすので、特殊な風習であるってことに気づかないこともある。
というわけで、男性が多いロケットニュース編集部のメンバーに、端午の節句に
・鯉のぼりを出す
・柏餅を食べる
・五月人形を飾る
以外で何か特別なことをしていたか聞いてみた。
・Yoshio(東京都出身)
「かぶとを飾ってたよ。母は東京出身、父は宮城出身だけど、たぶん、母が買ってくれたんじゃないかな」
なるほど、かぶとか。聞いたことある。調べたところ、五月人形といっしょに関東ではかぶと、関西では鎧を飾るところが多いらしい。あと、Googleで検索したら「兜 どちらの親が買う」みたいなサジェストが出てきた。お祝いごとって、こういうので無駄に大変になっていくよね。
・かわらの(和歌山県出身)
「僕のときは鯉のぼりしか記憶がないですが、自分の子供に実家では、兜に加えて金太郎も飾ってました。あ、あと、柏餅は和歌山では出ず『ちまき』です」
え、ちまきを端午の節句に食べるの? 全然知らない習慣だな〜と思ったら、関東の「ちまき」と関西の「ちまき」とは指すものが違うらしい。竹の皮に入ったおこわみたいなものを思い浮かべてたけど、関西だと笹の葉に入った細長い白い団子みたいなものらしい。食べたことない!
・GO羽鳥(東京都出身)
「五月人形や、兜のほかに、『武将なのか武道の神なのかわからないが、とにかく強そうな男がド迫力な浮世絵風に描かれたデカい布(畳一畳よりデカい)』を飾っていた。母にあれは何だったのか聞いてみたところ『ち』と呼ばれるモノだったらしいが、Googleで調べても出てこないので詳細は不明とのこと。父方の祖父母は埼玉で、母方の祖父母は神奈川です」
いきなり全然知らないものが出てきた。なんなんだ『ち』って……。「ち」の一文字でGoogle検索しても引っかかるわけもなく、途方にくれていたら、かわらのが「もしかして鍾馗様(しょうきさま)ですか?」と教えてくれた!
羽鳥が確認したところ「ち」=「鍾馗様」で間違いないとのこと。「鍾馗様」は中国の民間伝承に伝わる、頭がいいうえに鬼退治までした最強の男だとか。それにちなんで学問と疫病除けの神様として祀られているそうな。
おもに関東で端午の節句に「鍾馗様」の人形とか掛け軸を飾ることがあるらしい。ちなみに近畿だと魔除けとして瓦屋根の上に祀ることがあるとか。
しかし『ち』と呼ぶ……みたいな話は見当たらなかったので、なぜ羽鳥家で『ち』と呼ばれていたのかは不明である。知ってる人いたら教えてください。
ちょっと聞いただけで、地域性が出た「端午の節句」のお祝い。他の地域でもいろいろおもしろい風習とか変わった風習がありそうな気がするぞ……。