もし自分の子どもが「いじめ問題」に巻き込まれた場合、親としてどんな対応をするべきなのか? 一般的に「まずは学校に相談する」という方が多いと思われるが、もしかしたらこれからの時代は違った対応が必要になるのかもしれない。

つい先日、私(サンジュン)は「小学校でいじめが起き10万円超えのカツアゲが発覚 → 被害者の親の行動に感心した話」という記事を執筆した。今回はその記事をご覧いただいた学校関係者の方に “現場の声” を聞くことが出来たのでご報告しよう。

・学校ではなく警察に相談

詳細については以前の記事をご覧いただきたいが、ざっくり言えばその内容は「いじめを受けた子どもの親が、学校に相談せず警察に話を持ち込んだことに感心した」というもの。この春に一人娘が小学校に入学したこともあり、私自身もいじめをかなり身近な問題として捉えている。

個人的に先生方1人1人には尊敬の念を持ち合わせているが、こといじめ問題に対する “学校組織” の対応には「漠然とした不信感がある」というのが正直なところ。これまでメディアなどを通じて目にしてきた学校組織の対応が、その起因だ。

・現職の関係者

さて、今回話を聞かせてくれたAさんは「教師ではなく学校で働いている専門職員」としておく。私が執筆した記事をご覧いただいた結果、思うところがあったようで連絡をいただいた。私としても「現場の方がいじめを警察に相談することをどう思うのか?」には非常に興味がある。


──まず、学校でいじめが報告された際の対応を教えてください。

「はい。学校の先生はどんなに小さなものでも、いじめの疑いが出た時点で、事実確認を行わなければなりません。いわゆる隠蔽体質の学校もまだあるのかもしれませんが、今まで私が働いてきた学校は、全てきちんと対応していました

──具体的にはどんな対応なのでしょうか?

「はい。訴えがあった子と保護者から話を聞き、関係する子からも聴き取りを行います。最終的には被害者側の希望を踏まえた指導にあたるのが基本的な流れでしょうか。人との関わり方の未熟さが招いた出来事がほとんどで、一方的な被害 – 加害関係である場合は少なく、双方のフォローが必要です」

──ふむふむ。大変そうだ……。

「その間も授業は通常通り進めなければならないし、授業の準備もあれば、先生の仕事は部活や行事の準備、事務的な書類の作成なんかもあります。平常時でも定時内に仕事が終わる先生はほとんどいません」

──頭が下がります……。

「さらに言えば1つの問題に対応している間、他の子がお利口にしていてくれるかといえば、そんなわけはありません。毎日色んな出来事があり、複数の指導にあたっているんですね」

──そうですよね。いじめ問題に付きっ切りにはなれませんもんね。

「そのいじめ対応もなかなか大変でして……。子どもの能力の未熟さもあり、聴き取りも容易ではありません。何があったか時系列に沿って明確に覚えている子どもなんてほとんどいませんから。そもそも教師は警察官と違って聴き取りの技術なんて身につけていないんです」

──確かに子どもから正確な情報を引き出すのは難しいでしょうね。

「そうなんですよ。先生方が必死に対応していても、両サイドの保護者からは「うちの子が嘘をついていると言うんですか」などと責め立てられます。結果的に大きないじめ事案の対応後に休職に追い込まれる先生は後を断ちません」

──休職したくなる気持ちもわかります……。

「サンジュンさんも記事に書かれていましたが、私としても保護者の皆さんには是非積極的に警察に相談していただきたいです。当事者が警察に相談してくれないと、学校から警察に働きかけることは難しいんです」

──ですよね。確かに警察に届けるにしても、両サイドの両親の承諾も必要でしょうし。

「本当に個人の私見ですが、いじめについては学校の先生方も「警察に相談してほしい」と思っていらっしゃる方が多い印象です。そうすることが子どもたちの教育の場を守ることに繋がるのではないでしょうか?」


ご覧いただいた内容は、あくまで「学校関係の一職員の私見」である。ただし、現場でのいじめ対応を聞く限り「学校だけで解決するのはかなり難しい」と思わざるを得ない。先生方はいじめ対応だけに付きっ切りというワケにはいかないからだ。


また、小耳に挟んだところによると「警察がいじめくらいでは取り合ってくれない」という問題もあるらしい。学校、警察、そして何よりも子どもたちにとってどんな選択がよりベターなのか? 真剣に考える時期に来ているのかもしれない。

執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.