先日、TikTokを見ていたところ、ある動画が流れてきた。それは「タヌキが日本以外では激レア」とする内容であった。動画によると、海外ではパンダ並の珍獣であり、存在を知らない人やフェアリーなどの空想上の生物と思っている人もいるレベルなのだという。へー。

考えてもみなかった情報が思いがけず知れるのはTikTokの良いところだ。一方で、完全に信用はできない。ソースは提示されてないし語ってるのが何者かもわからないからである。そこで外国人に聞いてみた

・インドネシア人に聞いてみた

まず、話を聞いたのはロケットニュース24記者のアキル君。インドネシア出身、インドネシア在住の20歳である。

アキル君「まず僕の国インドネシアではタヌキはおそらく存在しないですね。日本に来る前はタヌキというものを知らなかったです」


──そう言えば、日本にも住んでたことがあるんだよね。


アキル君「そうですね。だから僕の場合、存在は知ってますが、インドネシア人はおそらく知らない人が多いと思いますよ

アライグマは よく動画(インターネットミームでも良く出てくる)で見かけるんですが、正直言ってタヌキとアライグマの違いが分からないです。他の外国人もタヌキ画像を差し出されたらアライグマだって思うかもしれません」

──知らないってそういうレベルか。空想上の生物と思ってる人とかもいる?


アキル君「一応マリオではタヌキスーツが出てくるので、マリオを知ってる人は『尻尾が太い生き物なんだな』という認識くらいの人もいるかもしれません

あと、タヌキって物語では人とかに化けて悪さをする生き物と語られることが多いじゃないですか。それで日本発のフィクションに触れている人の中には、タヌキのことを空想上の生き物だと思っている人もいるかもしれませんね」

──なるほど。タヌキのイメージだけが一人歩きしてるわけか。


アキル君「ちなみに僕は猫一筋でタヌキのことをもっと知ろうと思ったことが無かったので、僕のたぬきへの認識も物凄く浅いですが、噂をすればこんな投稿を見つけました」

アキル君「タヌキは英語で『Racoon Dog』ですが、コメント欄にはその名前に驚く人がいるほどです」


──とのこと。どうやら、マジでタヌキ知識がなく初めて見るレベルの人が普通にいる模様。また、同投稿のコメント欄には「チョッパー?」というコメントも見受けられるが、これはマンガ『ワンピース』のネタだ。

『ワンピース』では、トナカイであるチョッパーが外見からタヌキと間違われるというネタが繰り返されるので、そのノリだろう。フィクションからタヌキのイメージが一人歩きしている例を見た気がした。



・アメリカ人に聞いてみた

続いて、ロケットニュース24の英語版soranews24の記者であるケーシーさんにも話を聞いてみた。現在は日本在住だが、生まれも育ちもロサンゼルスのレバノン系アメリカ人である。

ケーシーさん「そう、アメリカ/北米にタヌキはいない。『タヌキ』の単語を聞くとスーパーマリオブラザーズの『タヌキスーツ』が思い浮かぶ、タヌキっていう生き物は任天堂が発想したキャラクターと思っているアメリカ人は少なくない


──やっぱりマリオなんだ


ケーシーさん「パっと実物のタヌキを見れば「あっアライグマ」や「ムジナだな」と納得するアメリカ人もけっこういる。地方によるけどアメリカにはアライグマとムジナは頻繁に出る、アメリカの絵本やアニメーションにもよく出るので割と身近な存在の動物って感じ。

しかし、よくタヌキをしっかり見るとアライグマとムジナとまた別の生き物だと気づいて驚くよね、アメリカ人。この前アメリカの家族に横浜の近所に出てきたタヌキの動画を送ったら、特に小学生の姪っ子が驚いていた」

──と、アメリカでもマジで存在が知られていない模様。犬、猫ほど身近ではないが、都市部でもたまに生息しているくらい普通の動物のため、世界的に見るとそこまでレアだったというのは不思議な気分である。なんかタヌキが急に可愛く見えてきたな

・それにしても

それにしても、偉大なのはマリオである。生まれも育ちも全然違う外国人が2人とも「タヌキ=マリオ」だったことには感動すら覚えた

思えば、日本のフィクションにはタヌキがよく出てくる気がする。今まで意識したことはなかったが、逆に言うと、意識できないほどにタヌキは我々日本人の心の中に住んでいる生き物なのかもしれない。タヌキ万歳!

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

▼ちなみに、ノースサファリサッポロの説明パネルによると、ロシア、朝鮮半島、中国にはいるらしい