その詐欺SMSはあまりにも急展開だった。「郵便局からのお知らせ」と書かれていたから、てっきり郵便局を装った画面が出てくるのかと思いきや……詐欺師たちは私の想像を軽く越えてきたのだ。

・1番大事なこと

本題に行く前に、最初にもっとも大事なことからお伝えしたい。もしあなたのスマホに「【要確認】郵便局からのお知らせ、下記よりお確認願いください(※原文まま)」というSMSが来たらそれは詐欺。そのSMSごと削除すればOKだ。

なお、郵便局(本物)は公式サイトで不審メールおよび架空Webサイトに対して注意を呼びかけており、「当社ではショートメールによるご不在連絡のお知らせは行っておりません」としている。

というわけで、本来は詐欺SMSのURLをタップするのはNGなのだが、今回は記事のためにあえてやってみることに。


・急転直下すぎる

では本題に行こう。まず、私に来たSMSは以下。


日本語といいURLといい怪しさ満点だが、内容を考えると「受け取るためにはこちらにログインしてください」的な画面がリンク先で表示されるのだろうか?

そのログイン画面でメールアドレスやパスワードを入力させることが詐欺師たちの目的だろう──と予想していた。だがしかし、実際にURLをタップすると……


いきなり差押最終通知!?


いやいやいやいや……展開早すぎ! 「郵便局からのお知らせ」から「最終差し押さえ通知」まで階段を何段飛ばしているのか? 急転直下にも程がある。

おそらく、詐欺師としては一気にビビらせようとしたのだろう。ただあまりにも揺さぶりが激しすぎるので、焦るよりも先に頭の中が「?」でいっぱいになる人が多い気がする。

なぜ急に大ピンチになってるのか? なぜいきなり財産を差し押さえられるのか? なぜ郵便局がそんなことをするのか? なぜ本人確認のためにメールアドレス等を入力しなければいけないのか? なぜ日本語が微妙に怪しいのか? ──という感じで。

私自身あまりにも意味不明すぎて混乱したが、何とか先に進んでいくと、滞納したことになっている金額は4万円だった。くしくも以前の「ソフトバンクを装った支払期限切れ料金の詐欺」と同じ金額で、「ビビリはするが払えないほどではない」という詐欺的に絶妙なライン。


ちなみに、このSMSが私の元に来たのは2023年3月6日で、リンク先のURLに記載されている納付期限は3月6日。カツカツのスケジューリングで納付を促しておきながら、「支払期日の延長不可」と超強気である。

その勢いに押されて、本人情報の欄に自分の電話番号やらメールアドレスを入力しちゃう人だっているかもしれないが、当然ながら絶対にやってはいけない。

そもそも、「本人情報の確認を入力」の欄は適当なことを書いてもログインできる仕様。詐欺師的にはカモを先へ誘導するのが目的だから、何でもOKなのだろう。


そして、本人情報の下にあるのが「お支払い方法の選択」。詐欺師たちの目的地だ。


では一体どのような方法でお金をかすめ取ろうというのか。画面を見てみると、クレジットカードとコンビニ払いは「メンテナンスに伴うサービス一時停止」との表示。


とんでもない偶然により、Vプリカでしか支払えない状態になっている。このあたりも以前の「ソフトバンクを装った支払期限切れ料金の詐欺」と全く同じなのだが、今回はさらに不気味さが増していた

というのも、Vプリカにチェックを入れて適当な個人情報を入力し、「次へ」をタップしたら「お客さまへ重要なお知らせ」と急に口調が優しくなるのだ。


「最終差し押さえ通知」というブチギレモードから一体何があったというのか。豹変っぷりが怖すぎる。なお、Vプリカ発行コードを適当に入れたところ「発行コード番号が一致しませんでした」と冷静に言われたので、今回はここで引き返すことに。


振り返ってみると、全体的に情緒不安定さが目立つ詐欺であった。急転直下の展開で激しく揺さぶってきたかと思いきや、支払いの説明になると急に丁寧モード。

「怖い」という意味では、私が今まで体験した詐欺系SMSの中で過去イチかもしれない。ただそれだけに、記憶に残りやすいとも言える。パターンを覚えておけば簡単に撃退できる人は多いだろうから結果的に良かった……のかな?


というわけで、上のような詐欺SMSが存在することをお忘れなく。「自分は絶対に騙されない」と思っていても、実際に自分のスマホに来たら焦ってしまう人だっているだろうから。

参考リンク:日本郵便
執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.