
最近ニュースを見ていると「食糧危機に備えて」といった話をよく聞く。なんでも国連によると2050年には世界人口が97億人になり、タンパク質の確保が難しくなると考えられているのだとか。
新たな食糧の確保など、個人的には面白い試みが誕生しつつあると感じている──が、1番重要なのは今ある食べものを無駄なく消費することだっていう思いもある。
そういう意味では、合鴨の卵は今後もっと普及してもいいんじゃないだろうかと感じているんだよね。だって、その合鴨の出どころは……
・合鴨農法の副産物
「合鴨の卵(有精卵)」と書かれた卵を見つけたのは、長野県の道の駅 大桑。6個パックで税込440円と、一般的な鶏卵よりもかなり高めの値段設定であった。
合鴨。名前は聞いたことあるし、どんな鳥かもなんとなくイメージできる。
しかしどうやって卵を収穫するんだろう? ひょっとして……野生の合鴨の巣からササッと採ってくるの??(編集注:合鴨はマガモとアヒルを掛け合わせた人工種なので、野生には存在しません)
筆者の疑問に答えてくれたのは、レジ打ちをしてくれたおじさんだ。
「合鴨農法ってあるでしょ? 田んぼの虫や雑草を食べてもらうことで、農薬減らしたり不使用にしたりするやつ。あれで合鴨を飼ってる農家がいるんだけどね、その卵を集めて売ってるんですわ。珍しいみたいでそこそこの人気商品ですよ」
なるほど、つまりこの卵は合鴨農法の副産物ってわけなのだ。それにしても、今までまったく見かけたことがなかったけど、通常は破棄されているものなんだろうか?
・殻が超割れにくい!
合鴨の卵は、比較用に準備したMサイズの鶏卵よりも一回りほど大きく、シルエットもちょっと長細い。
色は透明感があるクリーム色。あまり鶏卵では見かけないタイプの色な気がする。
有精卵ということで、不安になって光に透かしてみた。
全体的にオレンジ色で、過去に逆転卵を作ったときの鶏卵と同じ雰囲気だったため安心した。
後ほど調べたところによると、合鴨も鶏も卵は生まれたその日に出荷されるということなので、有精卵だからといって中にヒヨコがいることはまずないと思ってよいだろう。
合鴨卵の最大の特徴は、殻を割る時にわかった。キッチンカウンターにコンコンとぶつけて割ろうとしたところ……
割れねぇぇぇ~~~!!
正確にいうと殻にヒビは入っているが、殻の内側にある薄皮が破れないため卵をパカッとできないのだ。最終的に親指を突き刺すようにして破り開けることになった。
薄皮だけ剥がしてみるとこんな感じ。障子紙に再利用できそうなぐらいにしっかりしている。
──ふと、以前読んだニュースを思い出した。
ニュースでは、窓ガラスに透明なフィルムを貼ることで防犯になると報じられていた。ガラスが割れても飛び散らないため穴が空きにくく、泥棒が侵入を諦める可能性が高いのだそうだ。
読んだ時は「そこまでの効果があるのかな?」と不思議に思っていたのだが、こうしてなかなか割れない卵を目の前にすると理解した。フィルムが貼られた窓は間違いなく手ごわい。
・黄身がビッグサイズ
殻を破りながら合鴨卵をフライパンに割り入れた。「うわぁ、デカい!」と思わず声が出る。
鶏卵に比べると卵の全体量に対して黄身が占める割合が多く、ハリがあって球に近い。白身も粘度が高めで「プリン」という効果音が似合いそうな質感だ。
こちらが鶏卵。Mサイズなのでそもそも小さいのだが、割合でみると黄身が小さいことがわかるだろうか。
出来上がった目玉焼きはこんな感じ。
改めて並べて見ると両者の差はサイズ・色がわずかに違うぐらい。親鳥がまったく違う種類であることは、鳥類学者でなければわからないんじゃないかと思うほどだ。
・高級卵の味がする!
まずは白身から食べてみよう。
幽霊のような青白さをもつ合鴨の白身は、生の時と同様に弾力がある。
味に関してはこれといった特徴がないのだが、しいて言うならば、心配していたような生臭さ(野性っぽさ)がないことにはホッとした。普通に美味しい卵だ!
黄身はといえば、以前卵の比較をした時に食べた平飼い卵を思い出す味。
まるで菜の花畑の前を通り過ぎた時のような、蜜みたいな酸味と甘み、香りがある。
価格で見ると1個あたり約73円とかなり割高なのだが、買ってガッカリする人はいないだろう。しっかり高級卵として楽しむことができた。
考えてみたら当たり前の話で、合鴨農業のために飼われている鴨たちは当然平飼いされている。そして虫や草といった栄養豊富なご飯を食べて育っているのだ。
──ということで、合鴨の卵はシンプルに美味しい! 高級卵として十分通用するクオリティと言えるだろう。いつか食品として当たり前のように流通する時代がくればいいのにな!
参考リンク:人口と開発 国連広報センター
執筆・イラスト:高木はるか
Photo:RocketNews24.
高木はるか











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