先日スーパーの卵の食べ比べをしたところ、大量の卵を手に入れることになった。

傷まないうちに消費しようとスクランブルエッグや中華スープなどなど、様々な方法で食べたが食べ切れなかった。冷蔵庫にはいまだに大量の卵が残っている。

なにか面白可笑しく卵を消費する方法はないかな? ……あ、そうだ! ずっと前から気になっていた 『反転ゆで卵』 を作る実験をしてみようじゃないか!!!!

・反転ゆで卵の材料

反転ゆで卵とは、黄身と白身が入れ替わったゆで卵。江戸時代に考案され『万宝料理秘密箱』(1785年)という料理本に紹介されているのだそうだ。

現代ならまだしも、当時はイリュージョン的激ヤバ料理であっただろう。こんなゆで卵を出されたら目を疑ってしまう!


材料はこちら。意外とシンプルだが、料理というよりは工作と言った方が近いように見える。

・卵
・ストッキング
・懐中電灯
・テープ
・輪ゴム

ストッキングはひざ丈までの長さで十分。理由は後述するが、タイツではなく必ずストッキングを用意すること。

テープはセロハンテープがベスト。ただし筆者の家のセロハンテープがちょうどなくなってしまったため、今回は別で代用した。


・反転ゆで卵の作り方

それではさっそく反転ゆで卵を作っていこう!

①ストッキングの中央付近に結び目をつけ、卵を入れて反対側を輪ゴムで固定する


②ストッキングの両端を手で持ち、ぶんぶんゴマの要領で回す。


③黄身の薄皮が破れたらブンブンの作業は完了だ。見分けるにはふたつの方法がある。

ひとつめは「プチ」という小さな音が聞こえること。(残念ながら筆者はこの音を聞くことができなかった)

そしてふたつめは、後ろから懐中電灯で照らしても光が通らなくなること。もともとの卵はこの通り。白身が光を通すのだが、


黄身の薄皮が破れた後はこのように赤黒く光を通さなくなる。


④卵にセロハンテープを貼り、熱湯の中で転がしながら10分ちょっと茹でる


⑤ゆで上がったら氷水で冷やして、


殻を剥けば完成!

パッと見はどれも黄身が表に出ている。言われなければ卵だとはわからないほどに非日常的な外見に仕上がった!


・半分に切った結果、笑顔になった

それでは完成したゆで卵を半分に切ってみよう! 成功していれば真ん中に白身が集まっているはずだが、


まずは1個目!

ガガーーーーン!!

全部黄色いゆで卵になっている~~~~!?


おそらく反転ゆで卵を作る上では一番ポピュラーな失敗であろう。回転させる時間が長すぎたせいで全部が混ざり、薄黄色の卵が爆誕してしまった。


気を取り直して、2個目は……

白身が真ん中に来ている!


形はちょっとイビツだけど、


なんか笑顔になっちゃう~~~~~~!!!!

模様が笑顔のようにも見えるキュートな仕上がりだ。もしもお弁当に入っていたらつられて笑っちゃうこと間違いなし。大成功とは言えないが、筆者としては十分すぎるほど気に入ったよ!

ちなみに、最後の3個目は残念ながら失敗。1個目と同様に黄身と白身が完全に混ざってしまった。黄身の薄皮が剥がれるプチっという音を聞き逃さないよう、耳を澄ませて作るのがベストなのであろう。


ようやくひとつ完成した反転卵。さっそく食べてみたところ……


ぶっちゃけ、結構マズい。

黄身のホックリ感が一切なく、まるで卵臭がする消しゴムを食べているかのように硬くてツルツルなのだ。完全に見た目が珍しいだけの料理と言って差し支えないだろう……。


実のところ、成功するまでに半日ほどかかっている。

両手の人差し指はストッキングと擦れて赤くなった。この記事を書いている今もジンジンと痛く、これだけ頑張って美味しくないのか! という落胆もあったのが正直なところ。

……だが筆者がここまで苦戦したのはコツに気が付かず、4時間近くも卵をうまく回転させられなかったことに原因がある。一旦できるようになりさえすれば、面白いぐらいにビュンビュンと卵を高速回転させられるようになったのだから!

ということで、最後に反転ゆで卵を作る際に注意すべきポイントをお伝えして記事を締めさせてもらおう。


・反転ゆで卵を作る時に注意すべきポイント

①タイツではなく、必ずストッキングを使用する。

筆者ははじめ50デニールのタイツを使って作ろうとしていたのだが、生地がぶ厚くてうまくねじれず、まったくと言って良いほど回転させられなかった。


②卵を固定する際は縦向きで、なるべく隙間ができないようピッチリと。

とにかく回転時のブレを少なくすることが大切だ。卵がブレると回転速度が落ち、いつまで経っても黄身の薄皮が破れない。


③ストッキングはなるべく長く使い、一気に回転させる。
ストッキングを持つ際はなるべく端っこをしっかりと持ち、できる限りたくさんのねじれを作る。


一旦卵を持って安定させ、一気に引っ張ってねじれを解消させる。

うまくいけば「ブーーーーーン」というプロペラのような低い音とともに、目に見えないぐらいのスピードで卵が回転する。


④茹でる前は念入りにセロハンテープを貼る
意外と重要なのがセロハンテープ。なぜなら茹でている最中にテープが剥がれてしまった卵はもれなく割れてしまったから!

割れただけでなく、黄身が膨らんで飛び出して異様な形になってしまった。実験に失敗して異形の生き物を生み出してしまった博士のような、切なく寂しい気分になる。

最後までテープが剥がれなった1個だけ殻が割れなかったことからも、テープの重要性は間違いない。


以上が筆者の見つけたコツ4点だ。これだけ気を付けて作っても1個しか成功せず、その1個もイビツな笑顔のような形になってしまった。難易度が半端ないぜ……!

真ん丸でキレイな反転ゆで卵ができた読者の方、是非筆者まで教えてくれよな!!

参考リンク:謎の料理「黄身返したまご」を作ってみよう!
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.
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▼これは回転が足りず失敗した卵たち。

▼反転卵たちはポテトサラダに入れて美味しくいただきました。

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