ここ最近、私のFacebookのタイムラインに流れまくっているのが「イーロン・マスクによるTwitter公式デジタル通貨」の広告である。それも1つではなく複数。すべてに共通しているのは “どう見ても怪しい” ことだ。

それぞれの怪しい『イーロン・マスク広告』に書いてあることは、「政府による支援」や「Twitter買収の背後にある目的」、「銀行を怒らせている」「Tesla coinに3万7000円投資すれば毎月65万円を保証」など。

……どう考えてもウソだろう。だが、なんなんだ、この出現頻度は? ってくらいに表示される。一体全体、彼らは何を狙っているのか。調査のために潜入したところ、まさかの結末を迎えたので情報共有しておきたい。

・ざっくり&じっくり

今回も、時間がない人のための「ざっくり解説」と、より深く知りたい人のための「じっくり解説」の2段構成で解説していきたい。手っ取り早く結論が知りたい人は、ざっくり解説だけを見てもらえればOKだ。


【ざっくり解説】


Facebookに「イーロン・マスクによるTwitter公式デジタル通貨」なる広告が表示されるので押してみる。

ニセ日本経済新聞による「特報:テスラが最新プラットフォームXBT Pro 360を開始」なる謎の記事が表示される。

「XBT Pro 360」とは「3〜4ヶ月以内に誰もが億万長者になれる新しい仮想通貨取引プラットフォーム」とのこと。

初回3万円を入金すれば、あとは自動取引アルゴリズムが機能して、放っておけば大金持ちになれるとのこと。

開始するためには「無料アカウントにサインアップ」 → 「最低金額3万円を入金」 → あとは自動的に利益になる。

無料アカウントにサインアップした後、海外から電話がかかってくるが、それは親切な「アカウントマネージャー」なので安心してほしいとの予告。

とにかくサインアップを! と促してくるので、名前とメールアドレスと電話番号を入力。

その後、性別、年齢、軍資金を入力すると「いつでも電話に出られるようにしておいてください」と念押しの予告。

その後、「アカウントに移動する」のボタンを押すと、なぜか「エラーコード1011」と書いてある404ページへ。

え? ページないの……? と思った直後、イギリスから本当に国際電話がかかってくるも、3コールほどで切れる。

折り返しても、誰も電話に出ず……。


【完】



・やはり狙いは情報収集?

まさか本当に電話がかかってくるとは思っておらず相当にビビったが、電話番号的にはイギリスからのコールだった。また、のちに相手の電話番号をネットで調べたところ、どうも “警戒すべき電話番号” なもよう。

たとえ電話に出たところで、おそらく英語での説明だと予想されるので、私のように英語の苦手な人なら騙されようもないとは思うが、気になるのは3万円を入金するためのページが無かった(404ページだった)こと。

これは単なるエラーだったのか。つまり相手は「最低金額3万円を入金」を狙っていたのか。

それとも本当に最初から用意していない……つまり、「氏名とメールアドレスと性別と年齢と電話番号と “カモれそうな金額” を収集しているだけ」なのかは、結局のところ不明である。


・なぜ詐欺広告が無くならないのか

いすれにしても、“3万7000円投資すれば毎月65万円を保証” なんてウマイ話があるわけないので、騙されないようにご注意を。

また、もしもあなたのまわりに騙されそうな人、信じてしまいそうな人がいたら、ぜひともその人に一声かけておいてほしい。この記事を見せても良いと思う。なぜなら、このような広告を出す輩は、そういう人を狙っているのだから。

そして、いつまでも騙される人がいるから、このような広告が無くならないのである。


執筆:迷惑メール評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24.
こちらもどうぞ → 『GO羽鳥の【ざっくり解説】シリーズ』、『GO羽鳥の【実録】迷惑メールシリーズ

【ここからじっくり解説】


▼まずは、とにかく無数に「イーロン・マスクによるTwitter公式デジタル通貨」広告が存在することをお見せしたい。これでも氷山の一角だ。



【潜入開始】


▼まずはFacebookにこんな広告が表示される。広告を出しているアカウントは、おそらく「乗っ取られたアカウント」だ。んで、「詳しくはこちら」ボタンを押してみると……


▼クッソ長い「ニセ日本経済新聞の記事」に飛ぶ。長すぎるので飛ばしてもOK。余談だが、日本経済新聞は、このように “信用のある日経なら本当かも?” と信じさせるために自分の名前が使われているのだから、この事例も日経の記事にして注意喚起をすべきだと私は思う。
【追記】2023.3.3
昨年の11月の時点で注意喚起されておりました。大変失礼いたしました! → 日経からのお知らせ「日経電子版を模倣した偽サイトにご注意ください」


▼ともあれ、自分の人生を変えたいので、本名とメールアドレスを入力。


▼電話番号も、正確な調査のためにちゃんと使えるものを使用。


▼しばし待たされ……


▼まだアカウントは保留中。


▼まだ設定中! なげえ!


▼3つの質問が始まった。「答えたくない」もOK。


▼年齢も答えないと人生は変えられない。


▼この質問は、「このカモから、どのくらい引き出せるかな……」という値踏みの意味合いもあると思う。


▼そしてまた待たされて……


▼よっしゃ、アカウントが出来上がった〜! 真ん中あたりに「いつでも電話に出られるようにしておいてください」と不気味な文言が。そして、「アカウントに移動する」を押してみると……


▼え〜、なんで〜〜〜!? なんで肝心の入金ページがないわけ〜?


〜と、その直後!〜


▼ガチでイギリスから電話がかかってきた。しかし、出ようとしたら切れてしまった。


▼その後、すぐに電話番号を調べてみると、どうも警戒すべき電話番号との情報が書いてあった。


▼なお、その後、何度も折り返してみても電話が通じることはなかったという……


【完】