東京・渋谷のセンター街で営業を続けてきた「ウェンディーズ・ファーストキッチン」が、2023年1月22日に閉店することになった。ビルの建て替えにともなって、44年の歴史に幕を下ろすという。
このお店を利用したことがある人は多いと思う。私(佐藤)もその1人だ。東京に越して以前に遊びにきた時に、立ち寄った覚えがある。その思い出を踏まえつつ、お店の「閉店感謝祭」についてお伝えしよう。
・私とセンター街店
私が上京したのは19年前、2004年のことだ。その当時もこのお店はファーストキッチンとして営業していた。2016年にウェンディーズとブランド統合し現在に至るまで、日本発のファストフードチェーンとして広く親しまれている。
このお店は1978年5月3日オープンし、渋谷センター街のよりどころとして多くの人に利用されている。たしかその昔、センター街にはジャッキー・チェンの中華料理店(ジャッキーズ・キッチン)があったはず。ジャッキーのお店が閉店して久しいが、このお店は今日までちゃんと営業し続けているのだ。
22~23歳頃だったと思う、夜行バスで郷里の島根から東京に来ていた。ガンズ・アンド・ローゼズ東京ドーム公演や、スキッド・ロウの日本武道館公演などを見るために、12時間もバスに揺られて東京に来ていたものだ。
夜行バスの発着場所が渋谷駅だったので、センター街にもよく来た。その度にこのお店を利用していたと思う。知人も少なく電車の乗り方さえもわからない。ほかにどこにも行くあてがなかった私が、安心して入ることができる店の1つだった。
そんな思い出のお店がなくなる……。青春の1ページが白紙になるような寂しさがある。
ビルの建て替えとなれば、仕方がないだろう。建物が朽ちるまで営業を続けるわけにはいかないのだから。入店してフレーバーポテトMとフロートドリンクがセットになった「閉店感謝祭」のメニュー(税込390円)を注文した。選んだフレーバーはバジル、ドリンクはコーヒーフロートである。
袋をしっかりと振ってポテトを取り出し口の中に放り込む。心なしかいつもよりしょっぱく感じる。
すかさずフロートのソフトクリームを頬張ると、これもいつもより甘く感じる。
ビルの建て替え後の再入店は検討中なのだとか。そうか、じゃあもしかすると、ここでこれを食べることはもうないのかも……。
にわかに20代のことが脳裏をよぎる。あの頃の青臭い自分が抱いた、しょっぱくも甘い記憶。たしかにあの時も、そして今も、ここにお店があって自分がいた。ビルが建て替わったとしても、その事実を忘れない。
・今回訪問した店舗の情報
店名 ウェンディーズ・ファーストキッチン渋谷センター街店
住所 東京都渋谷区宇田川町26-11 白馬ビル1F
時間 10時~22時 最終営業日2023年1月22日