日本伝統の霊能力集団・イタコ。Wikipediaによると、青森県の「津軽のイタコの習俗」と秋田県の「羽後のイタコの習俗」は、国の選択無形民俗文化財となっているそうだ。一度でいいからお目にかかってみたいものである。
と思っていたらイタコの末裔に出会った。その人の名前はマエケンさん。家系のルーツが東北にあり、先祖がイタコのためか子供の頃から普通に霊が見えるらしい。そこで今までで一番怖かった場所を聞いてみた。
・意外な答え
それにしても本当に霊っているんだなあ。私(中澤)は霊感が全くないため見たことはないのだが、不思議な体験なら何度もあるので、いると言われたら「あの時いたんだろうね」という心当たりはある。
だが、見える人となるとそんなものではないはずだ。普段、出張の多い仕事をしているというマエケンさん。さてさて、ヤバイのはビジネスホテルか、それともトンネルか……と思いきや、意外な答えが返ってきた。
マエケンさん「自分が生まれ育った家ですね」
──まさかの実家。ちなみに、青森ではないですよね?
マエケンさん「はい。東京生まれなので」
──それって霊関係あります?
マエケンさん「はい」
・来た
ほっ。とりあえず良かった。リアルな方のヤバイ話が出てこなくて。さて置き、1人暮らしのマンションならともかく実家が怖いってのはなかなか辛い。簡単には移動できないからな。
そう、賃貸やビジホってこっちが入るものである。すなわち、怪談も基本的には “出る” ポイントにこっちが行ってしまうケースが多い。しかし、マエケンさんの場合、向こうから “来た” のだとか。
マエケンさん「まず、21歳の時でした。実家のガレージでドライブに行く前に運転席に座って写真を撮ったら、助手席に写っちゃいまして。知らない女の人が。キツネ目で着物を着た女性でした。
で、不思議に思い、ちょっと調べてみたんですが、そこで何かあったとかそういうことはなく……。それ1回だけだったので、そこまで深い意味を感じなかったんですね」
──ドライブで事故るとかそういうこともなく?
マエケン「ええ。ドライブは普通でした。忘れちゃうくらいでしたよ。もう1回来るまでは」
──と言うと?
マエケンさん「それから15年くらい経ったある日、自分の部屋で寝てたら金縛りになりまして。体がものすごく重くて動かない。目だけは開けられそうだったので開けてみたら、お腹の上に着物の女性が正座してました。そこですぐに15年前のことがフラッシュバックして。部屋の中に入ってきた……! と。
よく見たら、その女性の手が私の首にかかっていて、女性が手を持ち上げると同時に視界の端に見える景色が20~30cmくらい上がりました。布団がベッドになったみたいな浮き方といいますか。初めての幽体離脱でした」
──その後、どうしたんですか?
マエケンさん「殺られる! と思い、全力で暴れたら、「ドスン!」って感じで急に体が落ちて、視界が元の位置に戻り、女性は消えてました。その女性が何だったのかは結局分からないんですけど、もう忘れることはできないですね」
・またいつ来るか分からない
とのこと。本来、心安らぐはずの部屋で恐ろしい霊体験をしてしまったマエケンさん。こちらが出向いて霊体験をしたなら、その場所に行かなければいいし、賃貸なら引越しすればいい。だが、実家に向こうからやって来るというのは逃げようがなくて嫌すぎる。言われてみると、またいつ来るか分からないところは心霊スポットなんかよりも怖い。
そんなわけで、イタコの末裔に聞いた今までで最も怖かった場所は、心霊スポットなどではなく「実家」とのこと。普通に見えるだけに、「霊がそこにいる」ということ自体には怖さは感じないらしい。へー! 信じるか信じないかはあなた次第だ!!