あまり人に自慢できるものがない筆者だが、数少ない誇りの一つとして、かの高品質スーパー「成城石井」の福袋をリピートしていることが挙げられる。そんな同店の福袋について記事を書く季節が、今年もやってきた。

仮にこの記事の影響で次回の購入者が増えた場合、筆者の希少な強みは相対的にゴリゴリと擦り減っていくわけだが、しかしそれでも筆を折るという選択肢はない。同店の福袋の素晴らしさを広めねばならない。

というわけで、今回購入したのは「成城石井バイヤーセレクト! 人気のお菓子おすすめ7点セット」である。

この福袋は、成城石井のバイヤーが「お菓子・おつまみ」のカテゴリから商品を7点セレクトして詰め合わせにしたものだ。ちなみに同店は店頭とオンラインショップでは福袋のラインナップが異なっており、今回は後者で購入した。価格は3500円。以下に内容を羅列しておく。


・黒トリュフフレーバーポテトチップス 125g
・特選味付うずらのたまご 20個
・2種のトリュフ香るミックスナッツ 90g
・和三盆ポルボローネ 120g
・五三焼カステラ 5切
・厚焼き藻塩せんべい 130g
・おさかなスナック アーモンド小魚 115g


自分でオンラインショップにおける販売価格と照合しながら調べたところ、これらの商品は計約4000円相当という計算結果になった。お得感はやや少なめだが、ハズレのないお菓子たちが割安で手に入ると思えば儲けものだろう。

何せ並べた時の充実感がすごい。年末年始というのは人間が最もお菓子を渇望するチャレンジングな時期であるので、その渇きに対して盤石の布陣で備えられるのは有り難い限りだ。すぐに食べてしまっては勿体ない。少しずつ計画的に切り崩していきたい。

と思っていたのだが、そんな筆者の展望を阻む存在があった。「うずらのたまご」である。

成城石井 セントラルキッチン 和食料理長監修 和風だし使用」という強烈な文字列が目に入ってしまったのである。成城石井セントラルキッチン和食料理長と目が合って逃れられる人間などいようか。いや、いまい。

気付けば「うずらのたまご」の封を切り、中身を手に取っていた。あえなく展望は頓挫した。

しかし怪我の功名と言うべきか、単に誘惑に負けただけと言うべきか、いずれにせよこの商品との出会いが筆者の目を開かせた。口に含んだうずらの卵は、人生で食べた中でも最も美味しいと断じてよい逸品だった。

特筆すべきは、その風味の豊かさ。和風だしの香ばしい匂いと甘すぎない妙味が口内にまったりと広がり、味わう者を唸らせる。直前まで出汁に漬け込んでいたのかと思うほど濃厚で、それでいて上品だ。卵の白身が弾力に富み、黄身の癖が少ないのも逸品ぶりに寄与している。

最早うずらの卵ではない。この豊潤具合はうずらの果実と表したい。それほどに衝撃的だった。これ以上弱みを晒したくないので持ちこたえているが、残りの卵を平らげずにいられているのが奇跡的なくらいだ。

福袋を購入していなければ、あやうくこの商品をスルーしていた可能性もあるのが怖い。出会えて良かった。というより、ユーザーと出会わせるためにバイヤーが強権を発動してお菓子の福袋に「おつまみ」を増枠し、この商品をねじ込んだのではないかとさえ思ってしまう。

ともあれ、何だかんだで幸先が良い。これ以外の6つの商品にも期待せずにはいられない。今度こそ計画的に味わっていくとしよう。

皆さんにも成城石井の福袋の素晴らしさが伝わっただろうか。仮に次回の購入者が増えたとて、誰よりも楽しめればそれでよい気がしてきた。あまり人に自慢できるものがない筆者だが、数少ない誇りの一つとして、性格が単純なことが挙げられる。

参考リンク:成城石井 公式オンラインショップ
執筆:西本大紀
Photo:Rocketnews24.