年に一度の激安揚げ物フェス「年末感謝祭」の熱も冷めやらぬまま、昨日2022年12月14日に発売された「かつや」の新商品『味噌たまカツ丼』。どういうワケか俺たちの「かつや」は師走に味噌カツを食べさせたがる傾向にあり、今回約2年ぶりの登場とあいなった。

詳細については当時の記事をご覧いただきたいが、ぶっちゃけるとこのメニュー、「かつや」の新商品としては少々地味な部類に入る。平凡、と言い換えてもいいかもしれない。ところが……。

こちらの予想に反して今年の味噌カツは、近年まれに見る鬼畜仕様へとアップデートを遂げていたのだ。おかげで人生初の〇〇をすることになったぞ……。

・かつや新商品

新メニューの発売に際し公開された「かつや」のニュースリリースには、以下のような一文がある。


「冬本番に、とんかつ専門店『かつや』で思い浮かべる期間限定といえば、『味噌カツ』です


……言うほど思い浮かべるか? という疑問はさておき、今年最後の期間限定メニューを盛大に味わうため、私(あひるねこ)は最寄りの「かつや」店舗へ駆けつけた。正式名称は『味噌たまカツ丼』。税込715円なり。

・2年ぶりの味噌カツ

丼に隙間なく詰め込まれた肉厚な味噌カツは、それぞれが一口大にカットされている。2年前と違い、今回はカツの下にキャベツが敷いてあるようだ。その中央では、見るからにトロっとした卵が箸で割られる時を今や遅しと待ちわびている。とくれば……


割ってやるのが礼儀というものだろう。

※テイクアウトは温泉たまご。


・味噌で殴ってくる

味噌カツはご覧の通りの超濃厚な味付けで、「甘すぎないかな? 濃すぎないかな?」と心配するような気配は一切なし。むしろ脳裏に浮かぶのは、「これでも食らえェェェェエエエ!」とばかりに味噌ダレを口に突っ込んでくる「かつや」の姿だ。客に何してくれてんねん。

カツの物理的な重みによって、相手をタコ殴りにするのが「かつや」の基本的戦法であるが(戦法と言えるのか?)、今回の『味噌たまカツ丼』はいつにも増して攻撃特化型というか、もはや「たたかう」以外のコマンドが見当たらない。すべての打撃がフルスイングだ。自分のことを「おで」とか呼びそうである。


「おで、アイツ、やっつける。おで、強い」

・味噌バーサーカー

このいかにもな脳筋戦士ぶり。さすが俺たちの「かつや」である。だがしかし……。胃袋に残るガツンとした衝撃と共にお店を出ようとした、その時だった。私はこたびの戦が、実はまだ終わっていないことに気付いてしまったのだ。どうか、どうか驚かずに聞いていただきたい。


なんと「かつや」の新商品……


もうひとつありましたァァァァアアア!!

・寝耳に味噌

ほ、ほんげェェェェェェエエエエ! そう、『味噌たまカツ丼』の他に、『味噌タルカツ丼(税込715円)』なる別の新メニューも用意されていたのである!! 90年代のラルクかよ! 何枚も同時にリリースしてくるんじゃないよ!!

なるほど、どうりでいつもと違って定食がないワケだ。まさか味噌の二刀流とは……。これは極めて珍しく、かつ非常に厄介なパターンだぞ。

店を出た私は、厳しい選択を迫られていた。いっそのこと『味噌タルカツ丼』はスルーしてしまおうか? いやでも完全に別の商品だし、かと言って2記事に分けるのもなぁ……。繰り広げられる思考に次ぐ思考、そして思考。結果、最終的に導き出された結論は……


まさかの「かつや」ハシゴだった。

・人類初

さすがに同じ店でカツ丼おかわりはジャイアンすぎるため、移動した別の店舗で改めて『味噌タルカツ丼』を注文することに決めたのである。

場所を変えて飲み直したりすることをよく “河岸(かし)を変える” と言うが、「かつや」から「かつや」へ河岸を変えた人間は私が初めてではないか。1時間に2店舗訪問はいくらなんでも行きすぎだろ。エリアマネージャーじゃねぇんだぞ!

2軒目の「かつや」に到着した時点で、私の満腹度は驚きの85%に(俺調べ)。ここからカツ丼をもう一杯キメるのはいささか危険であるような気がしたが……運ばれてきた『味噌タルカツ丼』は、なかなかどうしてイイ面構え。これは期待できそうだぞ。

・限界との勝負

とは言え、一口目からすでにレース終盤であることに変わりはないので、ここはパパっと要点をまとめてしまいたい。『味噌タルカツ丼』は『味噌たまカツ丼』と比べ、一つの丼の中での味のバリエーションが多岐にわたっている。

味噌、タルタル、ネギの多い少ない、またその組み合わせによって、驚くほど様々な表情を見せてくれるのだ。特に味変の意味でのタルタルの存在は大きいと思われる。

『味噌たまカツ丼』の直後に食べるとそれはより顕著に感じられ、まるで万華鏡を口にしているような気分になった。同じ味噌カツでも、超近距離パワータイプの『味噌たまカツ丼』とはまったくの別物。こちらは多種多彩な攻撃パターンを有するテクニシャンタイプと言えよう。

・ひとつでいい

こうして私は、生まれて初めて「かつや」のハシゴを敢行。約1時間の間にカツ丼を2杯完食したのだった……が、「かつや」よ。俺もう37歳やぞ。「年末感謝祭」の後に期間限定メニューを2種類もブチ込まれたら、こっちの体がもちまへんて。ひとつで十分だって!

これまで膨大な数の「かつや」記事を書いてきたが、新商品が1種類であることのありがたみを改めて実感した2022年、冬だった──。“かつや者” の皆さん、来年もどうぞよろしくお願い致します。

参考リンク:かつや
執筆:かつや者・あひるねこ
Photo:RocketNews24.

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