ボリューミーなことで知られるコメダ珈琲店。一応、コーヒー屋を名乗っているが、想像を絶する爆盛りっぷりで「逆写真詐欺」とまで言われることも。

そんなコメダ珈琲店のハンバーガーをアメリカ人が食べたらどう思うのか? 気になったので、アメリカ人の男女に食べてもらい意見を聞いてみたところ衝撃の事実が判明したでござる

・やれんのか!コメダ!2022

パティが肉厚でバンズもふわっとボリューミー。なにより、マクドナルドの2倍くらいのサイズがあるコメダのハンバーガー。今回はスタンダードである「自慢のドミグラスバーガー」を食べてもらう。

なお、価格は公式サイトによると650円~720円。来店した旭川店では680円であった。2022年11月28日現在、1ドルは約138円なので、約5ドルということになる。個人的にコメダのハンバーガーはコスパが良いと思うが、相手は本場の人。やれんのか! コメダ! 2022。

・対戦相手は

というわけで、お越しいただいたのはテキサス州在住の男性エリオット・フレイザーさんと女性のアレックス・ゲーリングさん。2人はロックバンド『リンゴ・デススター(Ringo Deathstarr)』のメンバーでもあり、日本にもよく来るとのこと。好きなものは焼き鳥、寿司、ラーメン

ちなみに、リンゴ・デススターには『Nagoya』という曲もある。ひょっとしてコメダ珈琲店も知ってるんじゃないかと思って聞いてみたところ、さすがにコメダの存在は知らなかった様子。This is フェイマス・カフェ・イン・ジャパン。

・本場オーラ

エリオットさんのオーダーはソース全抜き。パン、肉、チーズ、野菜の素材の味を味わうタイプのようだ。本場感を感じる食べ方である。ちなみに、1週間に1~2回はハンバーガーショップに行くという。

一方、アレックスさんのオーダーはケチャップもマスタードも全トッピング。しかし、残念ながらコメダ珈琲にはケチャップがないらしい。マスタードも辛子マヨネーズしかないようだ。トッピングをオーダーしたことがなかったので知らなかったが、こちらはこちらで本場のカスタマイズの広さを感じる


・ファイッ

さて置き、ハンバーガーが到着。どうやら、お腹が空いている様子の2人。いくらでも食べてええんやで。


今、ここに闘いの火ぶたは切られた。信じているぞ、コメダ。お前ならできるさ、コメダ。ファイッ


だがしかし……

何か様子がおかしい


・エリオットさんの感想

ひと口食べて明らかにテンションが下がったように見えたのである。ど、どうした!? まずは、エリオットさんに話を聞いてみたところ……


エリオットさん「これで5ドルは高いかもしれない。バンズは大きいけどパティは小さいからね。アメリカだと、バンズも大きいしパティがもっと大きい。でも、味は美味しいよ」


──確かに、バンズの比率が多いのはおっしゃる通りですね。味の違いとかありますか?


エリオットさん「アメリカだとパティをもっとカリカリに焼いててクリスピーな感じ。(コメダ珈琲店は)焼き目もついてないから、俺はやっぱり料理してる感じがするテキサスのハンバーガーの方が好きだな」


──では、テキサスでオススメのハンバーガーショップはありますか?


エリオットさん「よく行くのは『ピーテリーズ(P.TERRY’S BURGER STAND)』かな。もっと肉がガッツリしていて3ドル~4ドルくらいだし」

──とのこと。話している感じだと好みではなかったようである。もっと肉ガッツリしてて3ドル~4ドルは確かに安いし、シンプルに本場を感じた。

・衝撃

続いて、アレックスさんにも話を伺ってみよう。心なしか笑顔に元気がなくなったようにも感じるのだが……

アレックスさん「このブラウンソース……味わったことがない味だわ」


──ドミグラスソースですか? 食べたことないんですか?


アレックスさん「今日初めて見て、食べてみたけどちょっと合わないみたい。アメリカではシンプルにケチャップ、マヨネーズ、肉という感じだから、なんでハンバーガーにこんなソースがかけられているのか……」

地獄みたいな空気になってしまった


もともと、ケチャップがないなどアレックスさんのトッピングができなかったため、ある程度好みとは違うかとは思っていたのだが、ドミグラスソースにここまで拒否反応を示すとは。すみません、悪気はなかったんです。

・衝撃に事実が続々

それにしても、アメリカでドミグラスソースを見たことがないというのは衝撃の事実と言える。だって、ドミグラスソースって日本独自のものではないでしょ?

しかし、エリオットさんも特にそのことに異を唱える様子がないので、アレックスさんが特に変なことを言っているわけではなさそうである。そこで念のため、日米どちらの文化も知るロケットニュース24の英語版soranewsのアメリカ人記者・ケーシーさんにも聞いてみた。アメリカにドミグラスソースがないってマジですか

ケーシーさん「ないっていうのは言いすぎだけど、アメリカでドミグラスソースが普及していないのは事実だな。大体一般人は食べたことがなくて言われても具体的なイメージがつかないレベルだと思う」


──へー、知らないのも無理ないくらい普及してないのはガチなんですね。じゃあ、ハンバーグに何かけるんですか?


ケーシーさん「普及していない理由の1つがそれ。アメリカ人はハンバーグを食べないんだ。つまり、日本で一番デミグラスソースが馴染んでいるきっかけはアメリカ人にはない」


──え!? アメリカってハンバーグないの? ハンバーガーの本場なのに? それも衝撃なんですが。


ケーシーさん「ハンバーガーなら普及しているけど、ハンバーグを提供する店や家庭料理でハンバーグを作る人はほぼゼロと言っていい。そして、ドミグラスソースが普及していないのにはもう1つ大きな理由がある。それはフランス料理自体がそこまでアメリカでは普及していないことだ」


──そうなんですか?


ケーシーさん「フランス料理屋はあるにはあるけど、他の種類の洋食屋と比べたら数が少なくて、値段が高くて日常のメシより特別な食事の時に使うイメージ。ドミグラスソースは元々フランス料理のものなので、アメリカでもあえてフランス料理屋にいけばあるかもしれないが、そもそもフランス料理屋に行かない人が多いです」


──とのこと。確かに、その環境ならドミグラスソースは普及しないかもしれない。それにしても、思ってもみなかった事実が続々と。アメリカにそんな側面があったことを全く知らなかった。

・必ずしもドミグラスソースが苦手なわけではない

なお、ケーシーさんは、日本に来てドミグラスソースのハンバーグを初めて食べた時美味しいと感じたという。他の日本で生活しているアメリカ人の友達や同僚も、ドミグラスソースが特別苦手というわけではないそうなので、アレックスさんは単純に合わなかったのだろう。

とは言え、このままだとエリオットさんとアレックスさんにとって今回北海道に来たことがトラウマになりかねない。そこで翌日リンゴ・デススターと一緒に札幌の回転寿司を食べに行ったところ……


この笑顔である


守りたい、この笑顔


<完>


執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

▼Ringo Deathstarr『Guilt』

▼寿司食ったら元に戻りました

▼別れ際にアレックスさんにもう1度「ごめんね」って言ったら、「ええよ。気にすんな」ってハグしてくれました