日本のトップブランドたる味の素の冷凍食品、実はヨーロッパの色んな国でも売られている。メインはもちろんギョウザ。そして同じくらいよく見かけるのが、日本には無い『黒い箱に入ったヤツ』だ。

黒い箱には『Yakiniku(ヤキニク)』『Teppanyaki(テッパンヤキ)』などといった、日本の料理名が記されている。しかし……不思議なことにプリントされた画像は、どう見ても『ヤキソバ』と『チャーハン』なのだ。この矛盾は一体何を意味しているのか?

・焼肉……か?

今回はたまたまフランスで購入した『味の素の黒い箱』。大きめのスーパーかアジア食材店を探せば、他の国でも見つけられる可能性が高い。

いかがだろう……メーカー名であるはずの『AJINOMOTO』が商品名より大きく配置された黒い箱。『Yakiniku』と書かれているのに、なぜか画像はヤキソバにしか見えない。価格は4.25ユーロ(約613円)。

ドチャッとした袋を手持ちの皿に移し……

レンジで5分加熱。

完成品がこちら。果たしてコレを見せられて「ヤキニクですね」と言い当てる日本人が1人でもいるだろうか? どっからどう見ても麺料理……それも日本のではなく、圧倒的な中華のソレではないか。

おそらく具材に使われた牛肉が『ヤキニク』を名乗る根拠と思われる。味は……硬くて臭みがあって “安い牛肉を強火で焼いたら水分が全部抜けました” って感じ。他の具材はパプリカ3種類とタマネギ。一体どういう料理なんだろ?

これが『中華風タレそば』とかなら全く問題ないのだが、『ヤキニク』と言われると「コレじゃない」って気持ちが強くなってしまう。なぜ味の素はこれを『ヤキニク』と命名したのか? 謎は深まるばかりなり……。



・鉄板焼き(?)もある

『テッパンヤキ』(4.25ユーロ / 約613円)の箱も同様に、チャーハンにしか見えない画像が配置されている。

具材はチキン、パプリカ(2種類)、エダマメ、グリンピース、ニンジン、タマネギ、コーンなど盛りだくさん。使われているのはタイなどで食べる細長い米。

味は……「塩、入れ忘れたのかな」ってくらい薄い。ゴロリとしたチキンはおいしいが、このチキンひとつで「テッパンヤキです」と言い張るのは、さすがに理屈が通らないのではないか。

たしかに「チャーハンも鉄板で焼いたもの」と言えなくない。しかし日本で『テッパンヤキ』といえば、やはり肉や魚を指す場合がほとんどだと思うのだ。「これがテッパンヤキなんだね」と外国人に思われては、やはり釈然としないものがあるよな〜。

黒い箱シリーズには『Ramen Poulet(鶏ラーメン)』(3.5ユーロ / 約505円)もある。さすがにパッケージの画像はラーメンと近い。

今回ご紹介した3つの商品全てにパプリカが乗っていた。ヨーロッパの人はそんなにパプリカが好きなのか。

味は……トンコツのような、ポタージュのような、ジャガイモ入りの味噌汁のような。ラーメンスープにしてはあまりに薄味であり、よほどハラペコでなければコレを食べようとは思わないかもしれない。味の素は素晴らしい冷凍ラーメン作りのノウハウを持っているはずなのに、一体なぜ?

あくまでも予想ではあるが、やはり「ヨーロッパの人はこういう料理が好き」と考えるのが妥当なセンだろう。ちっとも味の素っぽくない味の素のブラックボックス、ヨーロッパへ行ったら興味本位で試してみてほしい。

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.