国歌とは人々が奏でる国へのラブソングである、と言っても過言ではないだろう。願いや希望を歌詞に綴り、自分たちの話す言葉で愛する国について歌う。

そんな国歌を僕はYouTubeでほぼ毎日聞きまくってる(なぜ?)ので、今回は個人的に思う「素晴らしい国歌5選」を紹介したい。

・なんで???

まず、なぜ僕が国歌を聞きまくってるのか疑問に思う人がいるはず。そもそも僕(インドネシア生まれインドネシア育ち)は言語が大好きで、様々な国の言語を知り、実際に話すところを聞くのが好きなんだ。

僕が思うに、「国歌」は世界中の言語にもっとも簡単に触れられる方法でもある。だから僕は聞きまくる。僕はある意味変態なのかもしれない。



もちろん、どの国の国歌も美しい。でも中にはグっと来るような国歌が存在する。それは歌詞だったり、使われる言語だったり、メロディーだったり……要因は様々だ。

読者の皆さんともその素晴らしさを共有したいと思い、5つを選んでみた。あっ、順番は適当だよ〜。


・自由の大地、勇者の故郷

1番に紹介していくのはアメリカ合衆国の国歌『星条旗(Star Spangled-Banner)』だ。これを初めて聞いたときは心をえぐられた。

歌詞、メロディーともに本当にかっこいいし、自分の国じゃないのに凄い誇らしさを感じる国歌になっている。英語なのもあって、すぐに覚えることができた(歌えるわけではない)。


「And the rocket’s red glare, the bombs bursting in air, Gave proof through the night that our flag was still there;(砲弾は赤くひかり、爆弾が空中で炸裂する中、我らの旗は夜が明けても立ち続けた証だ)」


特にグッと来たのはこの部分。どんな辛い戦いであろうと、彼らの旗(希望)は立ち続け、何としても旗が折れることを許さない気持ちが窺える。

メロディーもめっちゃ良い。他の国歌と違い、なんかポップな気がする。そのメロディーには元があるようで、イギリスの酒飲み歌『To Anacreon in Heaven (天国のアナクレオンへ)』からメロディーを取って歌詞を変えたようだ。

っていうか、酒飲み歌って何ぞ??? 皆飲む時は歌うの???? てかなんでこんなに綺麗な曲なの?????


・苔のむすまで

次は日本の国歌『君が代』だ。もっとも古い国歌はオランダの『Wilhelmus van Nassouwe』だが、もっとも古い歌詞は『君が代』である。

ラッパ(かな? 楽器わからない)からゆっくりと始まり、曲全体は重く、終わりに進むに連れ段々と力強くなっていく。曲中のスネアドラムが波の音のように聞こえる。

歌詞こそ短いが、込められた願いは偉大である。素晴らしいポイントとして、歌詞に「栄光あれ」「永遠なれ」など意味そのまんまの言葉を使うのではなく、


「さざれ石の
巌となりて
苔のむすまで」


といった、自然を使った表現が素敵だなと思った。

正直に言うと、日本に来て初めて聞いたときは元気の無い曲だなと思った(すんません)。母国の国歌『Indonesia Raya(偉大なるインドネシア)』と比べると確かに重く、ゆっくりした曲だ。

でも日本を理解するに従い、歌詞に込められた意味、願い、希望を感じ取ることが出来た。


・「共に来たれ」と、我らは共に立ち上がる


次は南アフリカ共和国の国歌『National Anthem of South Africa (南アフリカの国歌)』。なんとこの国歌は5つの言語が使われているのだ

しかもしかも、既存の曲『Nkosi Sikelel’ iAfrika(アフリカに祝福を)』と『Die Stem van Suid-Afrika(南アフリカの呼び声)』を合わせた歌になっている。これは色々と凄いぞ!

前半部は『Nkosi Sikelel’ iAfrika (アフリカに祝福を)』が元となっており、歌詞はアフリカの言語「コサ語」「ズールー語」「ソト語」から成り立っている。

後半部は『Die Stem van Suid-Afrika (南アフリカの呼び声)』が元で、歌詞は「アフリカーンス語」と「英語」。もちろん全部南アフリカの公用語だ。凄い、凄いぞ。

曲自体は、力強い『Nkosi Sikelel’ iAfrika』から『Die Stem van Suid-Afrika』へ切り替わると雰囲気が変わる。それも含めて素晴らしい

なお、歌詞は南アフリカの地を讃え、神様へ祈り、最後に国民へ呼びかける内容になっている。愛国心が刺激されるような歌詞だ。

2つの曲、5つの言語を上手く1つにまとめ上げ、聞くものに愛国心を呼び覚ますこの国歌は本当に素晴らしいと思う。

個人的に、複数の言語を取り入れた国歌は大好きだ。1曲から2つ以上の言語に触れられるのが良い。南アフリカの国歌は特に、アフリカに元あった言語とゲルマン語系を一気に堪能できるから凄く良き!!


・モーゼル川とブドウの花の香りは、天をワインで染める

お次は、ルクセンブルク大公国の国歌『Ons Heemecht(我らの母国)』だ。ルクセンブルクという国も言語も、実はこの曲を知る前は知らなかった。

ちなみにルクセンブルクはドイツの下らへん、フランスの右隣りにある国だ。ルクセンブルク語はドイツ語、オランド語にフランス語を混ぜたようなもの。正直言って可愛い

この曲を知ったきっかけはIan Berwickさんが投稿したルクセンブルク国歌のビデオだ。初めて聞いたときは、正直何もかも可愛いかった。

歌声はもちろん、メロディーっていうかルクセンブルク語自体なんか可愛かった(失礼)。しかし、メロディーは優しいだけじゃなく、力強くもある。

優しく始まって、途中で控えめな感じになり、そこから力強く盛り上がっていく。歌詞はルクセンブルクの地を讃える歌詞になっており、聞いているとなんだか自分も誇らしくなっていくのだ。自分の国じゃないのに。


・花の如く根付き、歌の如く流れる、我が国よ!

最後はカザフスタン共和国の国歌『Менің Қазақстаным(我らがカザフスタン)』だ。カザフスタン共和国はロシアの下らへん、モンゴルの左隣りにある国である。キリル文字を使っているが、言語的にはトルコ語と共通点が多い。

さて、この曲がまたメッチャかっこいいのだ。曲自体が男らしく、とてつもなく力強い。本当にかっこいいぞ。語彙崩壊するほどかっこいいんだ。なんというか、これから戦闘に向かうゴツい男たちが馬に乗っている場面が脳裏を横切る感じ。

加えて、メロディーは本当に力強い。最初から最後まで抜かりなく力強い感じがする。さらに、歌詞も力強い。自分の国にめっちゃ自信を持ち、誇らしく思ってることがめちゃくちゃ感じられる。

もうかっこいいよ、語彙不足でかっこいいしか出ないよ……。ちなみに本記事に使われた国旗のイラストは全部手描きだが、カザフスタン共和国の国旗めっちゃクチャ描くの大変だった。



・まとめ
てなわけで、以上が色んな国の国歌をほぼ毎日聞きまくってる僕が選ぶ「素晴らしい国歌5選」だ。もちろん、どの国の国歌も美しい。どれが1番なんて、僕は選べない。

国歌を通して国々の歴史を、言語を、人々を学べるので、ぜひ皆も僕みたいな変態になって一緒に毎日聞きまくろう!!

それでは、Sampai Jumpa Lagi!!


参考リンク:Wikipedia「国歌の一覧」、YouTube、Google検索「Sampai jumpa lagi
執筆・イラスト:アキル
Photo:RocketNews24