JR中央線の終点・高尾。都心に住んでいる者の感覚で言うと、高尾の奥から先は旅行である。そこに何があるか知らない人も多いのではないだろうか。中央本線に乗り換えて、さらに奥に進んだ場合、相模湖駅を経て藤野駅がある。

緑豊かな山間の街である藤野。実は、私(中澤)は先日、藤野の山奥で働いてきたのだが、その際農家の人に「見たことない実」をおすそ分けされた。なにこれ? 果物

・近隣住民から

なんでそんなところに行ったかと言うと、以前の記事でお伝えした『そらにわ』というフェスを手伝うためであった。そして、『そらにわ』スタッフに対する差し入れの中にその謎の実があったのである。

アボカドの中身みたいな見た目をしているが、表面は乾燥していてカチカチなので皮を剥いたアボカドではないらしい。サイズもひと回りくらい大きいしなあ。

・記憶に刻まれた味

そこで藤野在住のそらにわスタッフであるミス・ばたこに聞いてみたところ、これは「ハヤトウリ」という野菜なのだそうだ。え! これがあのハヤトウリ!? そう聞いて私が思い当たったのは前日の夜の記憶だった。以下、回想。ほわほわほわ~……


「夕飯までご馳走になって申し訳ございません」


ミス・ばたこ「いえいえ、もらいものだから」


「(なんだろ? このやる気のあるきゅうりみたいな漬物は……)ポリポリ。クソウメェッ! なんじゃこりゃあ!?」


ミス・ばたこ「ハヤトウリ」

──ということがあったのである。聞いたことのない名前のウリの漬物を食べたら、ポリポリとコリコリの間のような食感とハーモニーを奏でる甘み。臭みもないし、これまで食べた漬物の中で一番ウマかったと言っても過言ではない。

・そらにわスタッフに聞いた食べ方

あの時は、ひょっとしたらブツを見たら「あーこれね」とピンと来るかもしれないとも思ったが、こんなの東京のスーパーで置いてるの見たことないぞ。しかし、藤野では結構当たり前のものらしく、家庭ごとに秘伝のレシピがあるのだという

そこでそらにわスタッフにレシピを聞いて家で作ってみることにした。教わった作り方は以下の通りである。


1. 醤油、みりん、酒を1:1:1で混ぜ火にかける


2. 沸騰したら火を止め、ひと口サイズに切ったハヤトウリを投入


3. そのまま放ったらかしで完成

──とのこと。ほぼ放ったらかしなところが家庭料理っぽい。なお、味をもっと染みさせたい場合は、2回沸騰させたりもするらしい。さっそく食べてみたところ、あの食感や!

ただし、味は前夜に食べたものとは違って若干しょっぱめだったので、本当に家庭によって秘伝レシピがあるようだ。それにつけても、箸が止まらん

研究のしがいがある奥深さを感じたハヤトウリの漬物。今度作る時はちょっと砂糖とかお酢も入れてみようかな。ハヤトウリが手に入ればだけど。

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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▼なお、ネットを検索すると、「汁を素手で触ったら手荒れがヤバイ」的なことが書かれていたが、私の場合、素手でさばいても特に問題は起きなかった。肌が弱い人は手袋した方が良いのかも。

▼藤野のメシはウマかった

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