
突然だが、千葉県の「常盤平(ときわだいら)団地」をご存じだろうか。
筆者もぼんやりと、昭和の高度経済成長期にはマンモス団地が次々登場し、ライフスタイルが大きく西洋化した……という知識がある程度なのだが、松戸市立博物館にその一角を丸ごと実物大で再現したユニークな展示がある。
写真撮影OKの体験型博物館ゆえに、SNSで写真を見た人のあいだで「エモい」「実家みたい」と話題に。
とはいえ写真は撮影者の腕次第でいくらでも盛れるもの。「写真マジックじゃないのぉ~?」と思って実際に訪ねてみたら、想像以上にノスタルジックでエモーショナルで涙腺崩壊だったのでシェアしたい。
・松戸の3万年の歴史
松戸市立博物館は旧石器・縄文時代から近代まで3万年の松戸の暮らしを概観できるミュージアム。出土品などの実物展示はもちろん、模型やミニチュアなど立体的な展示が多数。「説明文を読む」ことばかり迫られる一般的な博物館に比べ、感覚的に理解できそう。
近代以前の展示も実はかなり面白かったのだが、今日は昭和の団地をご紹介したいので3万年を一気に駆け抜けよう。実際の展示も、人類の誕生から昭和時代までワンフロアで表現されているから相当スピーディだ。「さっきまで石器使ってたのに、もう大名行列かよ!」ってなるぞ。
展示室の最奥まで進むと、外観から再現された団地が登場する! 実際はごく一部なのだけれど、すごく立体的でどこまでも部屋が続いているような錯覚に陥る。実物は4800戸を超えるという。
誰かの部屋をのぞき見しているみたい……と書きかけて手が止まった。少し違う。
筆者も集合住宅で生まれ育ったくちなのだが、夕暮れどきに自宅に帰ってきて、蛍光灯のともった台所の小窓から母親が料理をしている気配を感じるみたいな……。やばい、すでにエモい。なんだこの生活感は。
棟の入口部分。これはエモくないな。現代でもこういう作りのマンションやアパートはよくあるし、ロケットニュース編集部にも似ている気がする。
さっそくお邪魔してみよう。
玄関から入ると、左手に台所。所狭しと調理器具や食器などの実用品が並ぶかたわら、カレンダーなんかの装飾品もあってディティールがすごい!
再現されているのは昭和37年当時の暮らし。筆者が生まれるよりも遥かに前なので、よく見ると「知らないなぁ」という生活用品もあるのだけれど、なぜか既視感がある。それは、住んでいる人の暮らしが脳裏に浮かぶほどリアリティがあるから。
整然と「資料を並べました」という展示ではない。おそらく住んでいる人の年齢、家族構成、生活動線など、細部までしっかりシミュレートして配置してるのだと思う。
子鹿ちゃんのクッションにビニール張りのベビーチェア! 一周まわって「レトロでカワイイ!」ってZ世代でブームになるヤツだこれ。
ベランダに面したメインの部屋はリビング。白い蛍光灯で照らされている。
この雑多な感じ、狭いところにぎゅうぎゅうに家具を押し込んでいるレイアウト、畳の部屋に洋式の応接セットを置いているところ……すべてが実家!
日本式の家屋に、西洋式の家具家電が混ざって独特のスタイルになっている。ものすごく懐かしい。っていうか、筆者ここで生まれ育った……?
リビングの隣には寝室らしき部屋。ベビーベッドがあるから赤ちゃんがいるんだな。間取りとしては2DKになるのかな?
昔の女性はちょっとした服なら自分で作ったという。筆者の実家にも、こういう家具と一体化したようなミシンがあった。
台所に片隅に、おもむろに洗面台が登場する。現代のような独立した洗面脱衣所はなかったようだ。ちなみに洗濯機はベランダにある。
風呂。さすがにこれは筆者でもわからない! 田舎のばーちゃんちでもステンレス風呂だった。
地面まで作り込まれている。神は細部に宿るというが、見落とされそうな部分まで妥協なく手をかけることがリアリティを生み出している。「時間が止まったよう」とはこのことだ。
大げさに聞こえるかもしれないが、本当に人が暮らしているかのような不思議な空気感に包まれている。エアポケットになって別の世界線につながっていてもおかしくない。どこからか「おかえり」って声が聞こえてきそうだ。
・かつての「理想の住まい」
ダイニングキッチンや水洗トイレなど最先端の住宅設備が取り入れられた常盤平団地は「理想の住まい」と考えられ、“団地族” という言葉が流行するほど注目を集めたという。しかし現在、建物の老朽化や住民の高齢化などが社会問題となっている側面もあると聞く。
難しいことは抜きにしてSNS映えする写真を撮りに来てもいいし、もう一歩踏み込んで日本の近代化の歴史に思いを馳せるのも意義深い。秋の博物館探訪、いかがだろうか。
参考リンク:松戸市立博物館
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]
▼「都市へのあゆみ 常盤平団地の誕生」のコーナー
▼再現された外観部分
▼玄関からお向かいさんを見たところ
▼水洗の洋式トイレを備えていた
▼ベランダに置かれた洗濯機
▼さりげなく配置された小道具が雰囲気を作っている
冨樫さや

























宮古島にそびえ立つ「ドイツの古城」の由来とは? 実物大の城を再現した『うえのドイツ文化村』を巡ってみた
【刑務所の文化祭】「第40回府中刑務所文化祭」に行ってみた / ビビるほどの激混みイベントだった!
【気になる物件】築57年の団地がリノベーションをして…キャンプやアウトドア、DIYや家庭菜園も楽しめる超人気団地に生まれ変わっていた / 東京都足立区
日本からわずか2時間半のロシア…いま思い出すとちょっと怖いウラジオストクの記憶
東京国立近代美術館「ハニワと土偶の近代」展が凄いぞ! 俺たちの文化は、こんなにも彼らの影響を受けていたのか…
サーティワンで「バニラ」を食べたことがない → せっかくなので市販のバニラアイスと片っ端から食べ比べてみた
【4コマ】魔王軍はホワイト企業 2019話目「休暇明け㉑」
ベローチェの「切り落としパン(30円)」でサンドウィッチをサンドすると格安で満足感が倍増する / 独自の物価高対策
マニアが「最高にB級」と語る筑波山のガマランドが2027年復活へ! この空気は今しか味わえないかもしれない
【4コマ】魔王軍はホワイト企業 2018話目「休暇明け⑳」
【4コマ】魔王軍はホワイト企業 2013話目「休暇明け⑮」
【関西限定】ファミマの500円福袋を買ってみたら、一瞬ガッカリ → よく見たらめっちゃエエやんけ!
1400円でカレーや唐揚げが食べ放題! 創業28年のネパール料理店『マナカマナ』のランチに感じた「信頼の積み重ね」板橋区大山
【4コマ】魔王軍はホワイト企業 2015話目「休暇明け⑰」
【4コマ】魔王軍はホワイト企業 2014話目「休暇明け⑯」
【1000円以下食べ放題】900円のランチ定食注文で炒飯食べ放題! 唐揚げや水餃子もついてくるガチ中華『四川厨房 随苑 内神田店』
定額で遊び放題! 福生『ゲームセンター タンポポ』は、行き場のない “みなし機” の新たな活躍場所 / 懐かしの名機に会える楽園
都内の「天下一品」跡地に10店同時オープンした「伍福軒」が全店一斉閉店 / 6月中旬で店舗ゼロに
覚悟して「2つ折りスマホ」を買って1年2カ月が経過。今の端末の状態と、購入を検討している人はむしろコレを気にしてほしい
【実録】心筋梗塞になりました / 第1話「かつてない胸の痛み」
【事件】久しぶりに「串カツ田中」に行ったらほぼ別の店になっていた / 豚もエビもレンコンも食べずに帰ることになった理由
【本日発売】「ローソンの福袋」(2160円)があまりにパンパンに詰まってて、持って帰るのちょっと恥ずい
中国「渡航自粛要請」から2週間が経った京都市内「祇園」「清水寺」「錦市場」の様子を見に行ってみた
黄ばんだスマホケースを『オキシ漬け』したらこうなった / TPU素材の変色は復活するのか?
【青切符】4月から自転車新ルール! ヘルメット9種比較
長いパンを求めて「石窯パン工房サフラン」常盤平店に行ったら、給食でお馴染みだった懐かしのアレを発見! 今でも売ってるのか~!?
イギリスの動物園でウンチ博物館がオープンすることに! 歴史ある3800万年前のウンチの展示もあるらしいぞ!!
獄中生活の理想がランチセットに!? 網走監獄の新メニュー「出獄祝い膳」を食べてきた
【11月27日で生誕75周年】ブルース・リー聖地巡礼の旅 / 映画『燃えよドラゴン』のロケ地は今
セブンイレブンの新コンセプト店舗「SIPストア」が最強すぎる! 生鮮食品・焼きたてピザ・ダイソー・ロフト・アカチャンホンポの商品まである!!
ジャパンモビリティショーで実物大の『ミライドン』『コライドン』に遭遇! ポケモン×最新モビリティにワクワクが止まらない!!
【工場直売所】備蓄米も買えないから「フレッシュヤマザキニュー小金原」で1000円セットを購入 → 驚くほどパンを買えたから、しばらくパンでいいや
『るろうに剣心』の「逆刃刀・真打」が史上初の日本刀として誕生&展示!! 見に行って、作刀したスゴ腕の刀匠に製作秘話を聞いてきたよ!
不潔なトイレへの挑戦! なぜだか徹底的に汚したくなる「和式便所」のプラモデル
【ガチャガチャ】これ実家にあったわ! 「保存」がテーマのミニチュアがエモい